2014年06月12日

統合失調症の症状と徴候

●統合失調症の症状と徴候


統合失調症はいくつかの段階を経て進行する慢性疾患であるが,各段階の持続期間とパターンは様々である。

医療機関を受診する平均12〜24カ月前には,統合失調症患者は精神病症状を発症していることが多い。

病前期には,患者は症状を示さないか,あるいは社会的能力の障害,軽度の認知的解体または知覚の歪み,喜びを経験する能力の低下(快感消失),および他の全般的対処能力の欠如が認められることがある。

こうした特性は,回顧的にのみ認められる軽度のものもあれば,社会的,学業的,職業的機能の障害を伴い,より顕著に認められるものもある。




前駆期には,引きこもりや孤立,焦燥,猜疑心,異常な思考,知覚の歪み,および解体などの非顕性症状が現れることがある。

顕在的な統合失調症(妄想と幻覚)の発現は,急激(数日または数週間)なこともあれば,緩慢で潜行性(数年間)のこともある。

中間期には,症状のある期間はエピソード的であることもあれば(同定可能な増悪と寛解を伴う),持続的なこともある;機能障害は悪化する傾向がある。

疾患後期には,疾病パターンが確立されて障害が安定するか,あるいは減少することさえある。




一般に,症状は陽性症状,解体症状,陰性症状,および認知症状に分類される。

陽性症状は正常な機能の過剰ないし歪みにより特徴づけられる;陰性症状は正常な機能の低下ないし喪失によって特徴づけられる。

解体症状には,思考障害と奇異な行動が含まれる。



認知症状には,情報処理と問題解決の障害がある。1人の人間が1つのカテゴリーの症状だけを示すこともあれば,全カテゴリーの症状を示すこともある。

陽性症状はさらに妄想と幻覚,あるいは思考障害と奇異な行動とに分類できる。

妄想とは間違った確信である。

被害妄想では,患者は自分が責めさいなまれている,尾行されている,騙されている,スパイされているなどと信じている。

関係妄想では,患者は本や新聞,歌詞,その他自分の周囲にあるちょっとした言い回しが自分のことを指していると信じている。

思考奪取または思考吹入に関する妄想では,患者は他人が自分の心を読める,自分の考えが他人に伝わっている,あるいは考えや衝動が外の力によって自分に押しつけられていると信じている。




幻覚は聴覚,視覚,嗅覚,味覚,または触覚に起こるが,幻聴が最も多くみられる。

患者は自分の行動にコメントしたり,互いに会話を交わしたり,あるいは批判し罵倒する声を聞くことがある。

妄想と幻覚は患者をひどく悩ませることもある。



思考障害には解体した思考が含まれ,話題がとりとめなくあちこちに飛び,何を話したいか定かではない。

会話は多少まとまりを欠くものから支離滅裂で意味不明なものまで幅がある。



奇異な行動には子供じみた愚行,激越,外観や衛生面や振る舞いの不適切さなどがある。


緊張病とは,硬直した姿勢を保ち,動かそうとすると抵抗する,あるいは誘因のない無目的な運動行為に没頭するといったことを含む極端な行動である。

陰性(欠陥)症状には感情鈍麻,会話の乏しさ,快感消失,非社交性などがある。


感情鈍麻があると,患者の顔は能面のようになり,アイコンタクトに乏しく,表情がない。

会話の乏しさは,口数の少なさと質問に対するそっけない答えを指すもので,空虚な内面の印象を生み出す。



快感消失は,活動への関心の欠如と無目的な活動の増加により表されることがある。


非社交性は人間関係に対する関心の欠如により示される。

陰性症状はしばしば意欲の乏しさと目標・目的意識の低下につながる。



認知障害には,注意力,処理速度,作業記憶,抽象的思考,問題解決,社会的相互作用の理解の障害などがある。

患者の思考は柔軟性に欠け,また問題を解決し,他者の見解を理解し,経験から学ぶ能力が減弱することがある。

統合失調症の症状は機能遂行能力を損なうのが典型で,しばしば仕事や社会的関係,自己管理が著しく妨げられる。

失業,孤立,関係の悪化,そしてQOLの低下が共通の転帰である。



認知障害の重症度は,全般的な能力障害の主な決定因子である。



亜型: 統合失調症ではこれまでに5つの亜型が記述されている:すなわち,妄想型,解体型,緊張型,残遺型,および鑑別不能型である。

妄想型統合失調症は,妄想または幻聴により特徴づけられ,認知と感情は保持される。

解体型統合失調症は,会話の解体,行動の解体,感情の平板化または不適切さにより特徴づけられる。

緊張性統合失調症では,不動状態あるいは過度の運動活動性および奇異な姿勢をとるなどの身体的症状が優位である。

鑑別不能型の統合失調症では諸症状が混在している。

残遺型統合失調症では,より顕著な症状をもつ明確な統合失調症の病歴があり,その後に軽度の陰性症状が長期間続く。

これとは別に,統合失調症を感情鈍麻,意欲の欠如,目的意識の減弱といった陰性症状の有無およびその重症度に基づいて欠陥型と非欠陥型に分類する専門家もいる。

欠陥型の患者は他の要因では説明できない顕著な陰性症状(例,抑うつ,不安,刺激のない環境,薬物の副作用)を示す。非欠陥型の患者は妄想,幻覚,および思考障害をもつことがあるが,陰性症状を示すことは比較的少ない。




自殺: 統合失調症患者の約10%は自殺する。

自殺は統合失調症患者における早死の主な原因で,この疾患の患者の寿命が平均して10年短い理由を一部説明するものとなっている。

発症が遅く病前の機能が良好な妄想型の患者―回復については最もよい予後を示す患者―は,自殺のリスクが最も大きな患者でもある。

これらの患者は悲嘆や苦悩する能力を維持しているため,自分の障害がもたらす影響を現実に認識し,絶望のうちに行動しやすいと思われる(自殺行為も参照 )。



暴力: 暴力行為に関しては,統合失調症は比較的軽度のリスク要因となっている。

暴力の脅しや幾分攻撃的なかんしゃくの方が,本当に危険な行動よりもはるかに多い。

重大な暴力をふるう可能性が高い患者には,物質乱用,迫害妄想,または命令幻聴のある人や,処方された薬物を服用しない人が含まれる。

ごくまれに,ひどいうつ状態にある孤立した妄想型の患者が,自分の苦痛の唯一の源とみなす相手(例,権威者,有名人,自分の配偶者)を襲ったり殺したりすることがある。

統合失調症患者は,食べ物や避難場所や必要なケアを得ようと暴力で威嚇し,そのために救急施設にやってくることがある。


(続く)



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2014年06月11日

統合失調症について詳細に述べよ

統合失調症は,精神病(現実との接触の喪失),幻覚(誤った知覚),妄想(誤った確信),会話と行動の解体,情動の平板化(感情の幅の限定),認知障害(推論および問題解決の障害),および仕事や社会的機能の障害により特徴づけられる。

原因は不明だが,遺伝的要素を示す証拠が有力である。

症状は通常,青年期または成人早期に始まる。

診断には,症状のエピソードが1回以上あり,それが6カ月以上持続していなければならない。

治療は薬物療法,精神療法,リハビリテーションからなる。



世界的にみて,統合失調症の有病率はおよそ1%である。

割合は男女同等で,文化間でも比較的一定している。

割合は都市部の社会経済的下層でより高いが,恐らくこれは,能力障害の影響が失業と貧困をもたらすためだと思われる。

同様に,単身者の方が有病率が高いが,これはこの病気ないしその前駆症状が社会的機能に与える影響を反映していると思われる。

平均発症年齢は男性18歳,女性25歳である。

小児期における発症はまれだが,青年期早期または晩年の発症(この場合にはパラフレニーと呼ばれることがある)もありうる。





●統合失調症の病因

特異的な原因は不明だが,脳室の拡大と海馬前部およびその他の脳領域の大きさの縮小といった脳構造の変化と,特にドパミンとグルタミン酸の活性変化に関連する神経伝達物質の変化から明らかなように,統合失調症には生物学的基盤がある。

統合失調症は神経発達上の脆弱性を有する人々に発症し,症状の発現,寛解,および再発はこれら脆弱性の持続と環境ストレス要因との相互作用の産物であると示唆する専門家もいる。


統合失調症に罹患しやすい神経発達上の脆弱性は,遺伝的素因,子宮内・出生時・出生後の合併症,または中枢神経系のウイルス感染が原因である可能性もある。

妊娠第2トライメスターにおける母体の飢餓体験およびインフルエンザ暴露,出生時体重が2500g未満,2度目の妊娠におけるRh不適合,および低酸素症はリスクを高める。

統合失調症を有する人のほとんどは家族歴をもたないが,遺伝的要因が示唆されている。



統合失調症の第1度近親者をもつ人は,この障害を発症するリスクが約10%であるのに対し,一般集団でのリスクは1%である。

一卵性双生児は約50%の一致率を示す。感度の高い神経学的検査と神経精神医学的検査では,眼球の円滑追跡運動の異常,認知と注意力の障害,そして感覚ゲーティングの不全が,一般集団よりも統合失調症患者に多くみられることが示唆されている。

このようなマーカー(中間表現型)は統合失調症患者の第1度近親者にもみられ,脆弱性の遺伝的要素を示すと思われる。



環境ストレス因子は,脆弱性を有する人々における症状発現や再発の引き金となりうる。

ストレス因子には主として生化学的(例,物質乱用,特にマリファナ)または社会的なもの(例,失業あるいは貧困に陥る,大学に行くために家を出る,恋愛関係が破綻する,軍隊に入る)があると思われる;しかしながら,これらのストレス因子は原因となるものではない。



親の育て方が悪いために統合失調症になるという証拠はない。

症状の形成や悪化に対するストレスの影響を緩和する保護的要因には,良好な社会的支援,対処技術,および抗精神病薬がある(統合失調症と関連障害: 治療を参照 )。


(続く)

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2014年06月01日

肝硬変は種々の原因によって生じた慢性肝障害の終末像として考えられる病態である。


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4)基礎医学、薬学の試験問題 274
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問題1.次の文章は正しいか?

肝硬変は種々の原因によって生じた慢性肝障害の終末像として考えられる病態である。

臨床的には肝細胞の機能不全と門脈圧亢進症を呈する。

(1)正しい  (2)間違い







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   正解
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(1)正しい 







問題2.次の文章は正しいか?

わが国における肝硬変患者のほとんどがアルコール性によるもので、肝炎ウイルスによるものは10%くらいと考えられている。


(A)正しい  (B)間違い






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   正解
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(B)間違い

わが国における肝硬変患者のほとんどが肝炎ウイルスによるもので、20%はB型、60%はC型肝炎ウイルスで、アルコール性によるものは10%くらいと考えられている。






問題3.次の文章は正しいか?

肝硬変症の3大死因は食道静脈瘤の出血、肝不全、肝がんであるが、前者2つに対する内科的治療の進歩により生存率が高まり、現在では肝がんが最も問題になる。

(A)正しい  (B)間違い







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   正解
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(A)正しい








問題4.次の文章のかっこに入るのは何番?

肝硬変に伴う肝性脳症は門脈大循環シャント(短絡)により腸管内で産生される( A )などの中毒性物質が門脈より直接大循環に流入することと、肝細胞障害が種々の程度に加わって生じる

(1)ナトリウム  (2)アンモニア









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   正解
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(2)アンモニア


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2014年05月22日

パーキンソン病の治療(2)

●パーキンソン病の治療


●手術:

投薬が無効で疾患が進行した場合には,手術を検討する;視床下核の高周波電気刺激が選択治療となる。

レボドパによりジスキネジアを生じた患者の場合は,後腹側淡蒼球の定位的手術(淡蒼球破壊術)により,オフ効果による運動緩慢およびレボドパ誘発性ジスキネジアが最長4年間にわたって大幅に軽減される。

重度の振戦が認められる患者には,視床の中間腹側核の深部脳刺激が有用なことがある。

胎児ドパミンニューロンの移植は,脳内ドパミンを充実させる実験的治療法である。




●理学処置:

活動性を最大限に引き出すことが目標である。

患者は,可能な範囲でできる限り日常活動に従事すべきである。

もしそれが不可能ならば,定期的な運動プログラムまたは理学療法が,患者の体調を整え,適応方法を指導するのに役立つであろう。

疾患自体やパーキンソン病治療薬,運動不足のために便秘になることがあるので,患者は繊維の豊富な食事を摂るようにすべきである。

栄養補助食品(例,オオバコ)および刺激性緩下剤(例,ビサコジル10〜20mg,経口にて1日1回)が有用である。



以上


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2014年05月21日

パーキンソン病の治療

●パーキンソン病の診断

診断は臨床的に行う。

独特の安静時振戦,運動の減少,または固縮を示す患者の場合には,パーキンソン病が疑われる。

パーキンソン病による運動緩慢と,皮質脊髄路の病変による運動減少および痙縮との鑑別が必要である。

パーキンソン病とは異なり,皮質脊髄路の病変では,特に遠位の抗重力筋の不全麻痺(筋力低下または麻痺)が生じ,また伸展性足底反応(バビンスキー徴候)が生じる。


皮質脊髄路の病変による痙縮では,筋緊張および深部腱反射が亢進する;筋緊張は,筋に加えられる伸張の割合および程度に比例して亢進するが,突如抵抗が失われる(折り畳みナイフ現象)。



その他特徴的な徴候(例,瞬きの頻度の減少,無表情,姿勢反射障害,独特の歩行異常)の存在により,診断が確定する。

他に特徴的な徴候のない振戦は,疾患初期または別の診断を示唆している。

高齢者では,抑うつまたは認知症により自発的運動の減少や小刻みな(リウマチ様)歩行が生じることがあり,こうした症例はパーキンソン病との鑑別が難しい場合がある。

主に病歴聴取と神経画像診断検査により,原因の同定が可能である。

病歴聴取には,頭部外傷,脳卒中,水頭症,薬物および毒素への暴露,他の神経変性疾患の症状または既往に関する質問を含めるべきである。





●パーキンソン病の治療

薬物:

従来,レボドパは最初に用いられる薬物である。

しかしながら,専門家の中には,早期レボドパ治療が副作用の出現および投薬の無効を早めることになると考える人々もいる;彼らは可能な限りレボドパを控え,最初は抗コリン薬,アマンタジン,またはドパミン作動薬を用いる方を好む。

レボドパはドパミンの代謝前駆物質で,脳血流関門を通過して基底核に入り,そこで脱炭酸化されてドパミンを形成する。


末梢性脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパとの併用はレボドパの異化を阻止し,それによりレボドパの必要量が抑えられ,副作用も最小限に抑えられる。

レボドパは,運動緩慢および固縮の軽減に最も効果があるが,振戦もしばしば大きく軽減する。

レボドパを投与した軽症例がほぼ正常に復し,また寝たきりの患者では歩行が可能になることもある。

レボドパの中枢性副作用には,悪夢,起立性低血圧,嗜眠,ジスキネジアなどがあり,特に高齢者や認知症患者では,ときおり幻覚や中毒性せん妄がみられる。

末梢性副作用には,悪心,嘔吐,潮紅,腹部の有痛性けいれん,動悸などがある。

治療が長くなるにつれ,次第に少量でジスキネジアを生じるようになる。

一部の患者では,パーキンソン症状を低減するための最低量を投与してもジスキネジアが生じる。




カルビドパ/レボドパは,10/100,25/100,25/250mg錠,さらに放出制御製剤では50/200mg錠の固定比の錠剤がある。

治療は25/100mg錠1錠を1日3回投与することから始める。

投与量は,忍容性を見ながら最大薬効に達するまで4〜7日毎に増量する。

用量を徐々に増やし,食事とともに,または食後に服用することで,副作用は最小限に抑えられる(ただし,高蛋白食はレボドパの吸収を阻害することがある)。

末梢性の副作用が著しい場合には,カルビドパの増量が有益なことがある。

大部分のパーキンソン病患者には,レボドパ400〜1000mg/日を2〜5時間毎に分割投与することが必要である。

一部の患者では最大2000mg/日を必要とする。


ときには,レボドパによる幻覚または中毒性せん妄があっても,運動機能維持のためにレボドパを投与せざるをえないことがある。

精神病は経口クエチアピンまたはクロザピンにより治療可能な場合もある;これらの薬は他の抗精神病薬(例,リスペリドン,オランザピン)に比べ,パーキンソン症状の悪化がはるかに少なく,全く悪化しないこともある。

ハロペリドールは避けるべきである。



クエチアピンは25mg,1日1〜2回から始めて,忍容性を見ながら最大800mg/日まで,1〜3日毎に25mgずつ増量する。

クロザピンは,患者の1%に無顆粒球症が生じるため,使用が限られる。

クロザピンを使用する際の用量は,12.5〜50mg,1日1回から12.5〜25mg,1日2回までとする;最初6カ月間は週1回,その後は2週間毎にCBCを実施する。

2〜5年治療すると,大部分の患者でレボドパの効果に変動がみられるようになる(オン-オフ効果)。

ジスキネジアおよびオン-オフ効果がレボドパ療法によるものか,基礎疾患によるものかについては異論がある。

最終的には,毎回投与後の改善期間が短くなり,薬物誘発性のジスキネジアにより,強度の無動から制御不能な多動へと症状の変動が生じるようになる。

従来,こうした変動には,レボドパをできる限り低用量に抑え,投与間隔を1〜2時間毎と短くすることで対処している。

これに代わる方法として,ドパミン作動薬の補助的投与,カルビドパ/レボドパ放出制御製剤,セレギリンなどがある。



アマンタジン100mg,経口にて1日1〜3回の投与は,早期の軽度パーキンソン症候群の単剤療法として50%の患者に有用であり,その後はレボドパの効果を増強するのに用いてもよい。

アマンタジンは,ドパミン系の活動,抗コリン作用,またはその両方を増強する。

単剤療法として用いた場合,アマンタジンの有効性は数カ月で失われることがしばしばある。

アマンタジンは,抗精神病薬投与に伴うパーキンソン病を軽減することもある。

副作用として下肢の浮腫,網状皮斑,錯乱がある。




ドパミン作動薬は,基底核のドパミン受容体を直接活性化する。

薬物(いずれも経口)としては,ブロモクリプチン1.25〜50mg,1日2回,ペルゴリド0.05mg,1日1回から1.5mg,1日3回まで,ロピニロール0.25〜8mg,1日3回,プラミペキソール0.125〜1.5mg,1日3回などがある。

単剤療法も可能だが,その場合,数年以上にわたって十分な効果を上げることはまれである。

ドパミン作動薬は疾患のあらゆる段階に有用である。治療初期にこれらの薬を少量のレボドパと併用すると,ジスキネジアおよびオン-オフ効果の出現を遅らせることができるが,おそらくこれは,レボドパよりもドパミン作動薬の方が長くドパミン受容体を刺激するためであろう。

ドパミン作動薬による刺激はより生理的で,受容体をよりよく温存する。

ドパミン作動薬は,レボドパの効果が減弱し,オン-オフ効果が著明になる遠隔期に特に有用である。

ドパミン作動薬の使用は副作用(例,鎮静,悪心,起立性低血圧,錯乱,せん妄,精神病)による制約を受ける。

ドパミン作動薬の副作用はレボドパを減量することで最小限に抑えることが可能である。

まれに,ペルゴリドにより胸膜,後腹膜,または心臓弁の線維症が生じることがある。





選択的B型モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO-B)であるセレギリンは,脳内のドパミンを分解する2大酵素の1つを阻害し,それによりレボドパ1回量の作用を延長させる。

軽度のオン-オフ効果が認められる一部の患者では,セレギリンはレボドパの効果を延長するのに役立つ。

最初にセレギリンを単独で用いると,レボドパの導入を約1年遅らせることができる。

セレギリンは,疾患初期の脳内に残存するドパミンの作用を高め,あるいは脳内ドパミンの酸化代謝を抑制することで,パーキンソン病の進行を遅らせることができる。

5mgを経口にて1日2回投与しても,A型およびB型アイソザイムを遮断する非選択的MAO阻害薬に多い高血圧クリーゼ(チラミンを含有するチーズを食べると起こる)を生じることはない。

事実上,セレギリンに副作用はないが,レボドパによるジスキネジア,精神的・精神医学的副作用,悪心を悪化させる可能性があるため,レボドパの減量が必要である。




ラサジリンはアンフェタミンへ代謝されない新しいMAO-B阻害薬で,疾患初期にも遠隔期にも有効であり,忍容性も良好なようである。

ラサジリンの効果が純粋に対症的なものか,それとも神経保護効果も併せ持つのかは,今のところ不明である。



抗コリン薬は疾患初期に単剤療法として,その後はレボドパの補助薬として用いられる。

一般的に用いられる抗コリン薬として,ベンズトロピンであれば,経口にて夜0.5mg服用から2mg,1日3回までの服用,トリヘキシフェニジルであれば2〜5mg,経口にて1日3回の服用とする。

振戦の治療には,抗コリン作用を持つ抗ヒスタミン薬(例,ジフェンヒドラミン25〜50mg,経口にて1日2〜4回,オルフェナドリン50mg,経口にて1日1〜4回)が有用である。


抗コリン薬(例,ベンズトロピン)は,抗精神病薬投与に伴うパーキンソン病の症状を軽減する。

抗コリン作用を有する三環系抗うつ薬(例,アミトリプチリン10〜150mg,経口にて就寝時服用)は,レボドパの補助薬として,抑うつの治療に有用な場合がある。

抗コリン薬の増量はごく緩徐に行う。

副作用には,口渇,尿閉,便秘,眼のかすみがあり,高齢者では,錯乱,せん妄,および発汗減少による体温調節不全が特に厄介な副作用となる。



カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬(例,エンタカポン,トルカポン)はドパミンの分解を阻害するため,レボドパの補助薬として有用であると思われる。

レボドパ,カルビドパ,およびエンタカポンの併用も行われる。

レボドパ1回につきエンタカポン200mgとし,1日のレボドパ投与回数分を経口にて1日1回,最大1600mg/日まで投与する(例,レボドパが1日5回であれば,エンタカポン1gを1日1回投与する)。


肝毒性があるため,トルカポンの使用はまれである。



(続く)



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2014年05月20日

パーキンソン病とは?

●パーキンソン病

パーキンソン病は,運動緩慢,寡動,筋固縮,安静時振戦,姿勢不安定を特徴とする,特発性で緩徐に進行するCNS変性疾患である。

診断は臨床的に行う。治療はレボドパとカルビドパの併用,他の薬物投与,さらに難治性の症状には手術を行う。



パーキンソン病は65歳以上の人々の約1%,40歳を超えた人々の0.4%が罹患する。

平均発症年齢は約57歳である。

まれに,小児期や青年期に発症するものもある(若年性パーキンソン症候群)。



●病因と病態生理

パーキンソン病では,黒質,青斑,および他の脳幹ドパミン作動性細胞群の色素性ニューロンが消失する。

黒質ニューロンは尾状核と被殻に放射しており,黒質ニューロンが失われると,これらの領域におけるドパミンが涸渇する。

原因は不明である。



続発性パーキンソン症候群は,他の変性疾患,薬物,または外因性毒素により大脳基底核におけるドパミン作用の消失または阻害が生じるために起こる。

最も一般的な原因は,フェノチアジン,チオキサンテン,ブチロフェノン系抗精神病薬,またはレセルピンの摂取であり,これらの薬物はドパミン受容体を遮断する。

頻度は低いが,一酸化炭素またはマンガン中毒,水頭症,脳の構造的病変(例,腫瘍,中脳または基底核の梗塞),硬膜下血腫,ウィルソン病,特発性変性疾患(例,線条体黒質変性症,多系統萎縮症)により生じることもある。

メペリジン合成の失敗によって意図せず作られ,非経口使用されている違法薬物,N-MPTP(n-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリジン)により,重度で不可逆性のパーキンソン症候群が突発的に生じることがある。

基底核に生じた脳炎により,パーキンソン症候群が起こることもある。




●症状と徴候

大部分の患者では,疾患は片手の安静時振戦(丸薬丸め振戦)として潜行性に発症する。

振戦は緩徐で粗大である。振戦は安静時に最大となり,運動時には減少し,睡眠時には消失する;情緒的緊張や疲労により増大する。

通常は手,腕,脚が最も侵されやすく,この順に侵される。顎,舌,額,瞼も侵されることがあるが,声には波及しない。疾患が進行するにつれ,振戦は目立たなくなることもある。



多くの患者で,振戦のない固縮が生じる。

固縮が進行するにつれて動きが鈍くなり(運動緩徐),減少し(運動減少),始動困難(無動)になる。

固縮および運動減少は筋肉痛や疲労感の一因となることがある。

口を開けたままで瞬きが減る仮面様顔貌を呈する。

顔の表情が失われ,動きが少なく緩慢になるため,最初はうつ状態にあるようにみえる。

発声不全が生じ,独特の単調で吃音調の構音障害がみられる。

運動減少と遠位筋の制御障害により小字症(非常に小さな文字を書くこと)が起こり,日常生活活動が次第に困難になる。

こわばった関節を医師が動かすと,固縮の度合いが変動して,律動的なぴくぴくした動きが突然生じ,つめ車のような効果をもたらすこともある(歯車様硬直)。

姿勢は前かがみになる。歩行を開始する・向きを変える・止まるという動作が困難になる;小刻みに足を引きずって歩くようになり,腕は腰の方へ屈曲し,歩きながら腕を振らなくなる。

足取りが不意に速くなり,倒れないようにするために急に走り出すことがある(加速歩行)。

重心を移すと前や後ろに倒れそうになる(前方突進,後方突進)が,これは姿勢反射の消失によるものである。



認知症および抑うつがよくみられる。

起立性低血圧,便秘,排尿遅延が生じることもある。

多くの患者に嚥下困難と,したがって誤嚥がみられる。



患者は複数の動作を交互に迅速に行うことができない。

通常,感覚や力は正常である。

反射は正常だが,著明な振戦または固縮のために生じにくくなることがある。

脂漏性皮膚炎がよくみられる。

脳炎後パーキンソン症候群では,頭部および眼の強制的,持続的な偏位(注視クリーゼ),その他のジストニア,自律神経不安定,人格変化が生じる。


(続く)

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2014年05月18日

「diarrhea」とは?

問題1.次の言葉の意味は?

「diarrhea」

(A)便秘   (B)下痢






」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

「diarrhea」=(B)下痢

【参考】

(A)便秘  = constipation





問題2.次の言葉の英語は?

「dizziness」


(A)めまい (B)排尿困難





」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

「dizziness」=(A)めまい

【参考】

(B)排尿困難 =dysuria


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血液中に含まれる尿素窒素。腎機能の指標として広く利用される

問題1.次の説明文に該当する項目は?

血液中に含まれる尿素窒素。腎機能の指標として広く利用され、腎不全、熱傷、消化管出血や高蛋白食摂取で上昇。

(1)尿素窒素(UN)

(2)hANP




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   答え
」」」」」」」」」」」」

(1)尿素窒素(UN)


【参考】

(2)hANP = ヒト心房性Na利尿ポリペプチド





問題2.次の説明文に該当する項目は?

筋肉内でクレアチンから産生される非蛋白性の窒素化合物。

食事など外的因子の影響を受けない腎機能の優れた指標。

(1)カルシトニン

(2)クレアチニン(CRE)



」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

(2)クレアチニン(CRE)

【参考】

(1)カルシトニン 

甲状腺から分泌されるペプチドで、血中カルシウム濃度を低下させる作用がある。

甲状腺髄様癌にて高値。

posted by ホーライ at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床検査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

肝障害の原因としてウイルス性のほかに何があるか?

問題1.次の問いに答えよ

肝障害の原因としてウイルス性のほかに何があるか?

最低、2つ答えよ。








=================
   正解
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肝障害の原因

・ウイルス性

・自己免疫性

・薬剤性

・アルコール性








問題2.次の文章は正しいか?

A型急性肝炎やB型急性肝炎では安静を保ち、合併症に注意する以外に薬物療法を行うことはあまりない。

これに対してC型急性肝炎では慢性化防止のため治療する必要がある。

(A)正しい  (B)間違い







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   正解
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(A)正しい









問題3.次の文章は正しいか?

B型慢性肝炎の治療に用いられるインターフェロンα及びインターフェロンβは「抗ウイルス薬」の効果を期待されている。

(A)正しい  (B)間違い







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   正解
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(A)正しい 





問題4.次の文章は正しいか?

インターフェロンの重篤な副作用としてはうつ病、自殺企図などがある。

(A)正しい  (B)間違い









=================
   正解
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(A)正しい 



posted by ホーライ at 07:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学知識・薬学知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月16日

喘息の治療(3)

●喘息の治療(3)


患者が4時間以内に基準値まで回復しなければ,一般に入院が必要となる。

入院基準は様々であるが,明らかに入院が適応となるのは,改善しない,疲労が増強する,繰り返しβ動薬を投与した後も再発する,Pao2の有意な低下(50mmHg未満)またはPaCO2の増加(40mmHg以上),など呼吸不全への進行を示す場合である。



積極的な治療にもかかわらず悪化し続ける患者は,非侵襲的陽圧換気の候補者となるか,重度の患者および反応のない患者の場合は,気管挿管および機械的人工換気が適応となる。


挿管を必要とする患者には鎮静が有益なこともあるが,麻痺性薬物はコルチコステロイドとの相互作用の可能性があり,遷延する神経筋脱力を起こしうるため避けるべきである。




気道抵抗が高く,変化する場合には,一定の肺胞換気を得るために,通常は補助・調節モードでの容量サイクル式の換気を行う。

呼気を延長し,自己PEEP(呼気終末陽圧)を最小にするため,人工呼吸器は吸気流量を高くし(60〜80L/分以上),呼吸数を8〜14回/分に設定すべきである。



最初の1回換気量は10?12mL/kgに設定できる。

最高気道圧が高くても,それは高い気道抵抗と吸気流量の結果生じたもので,肺胞圧により生じた肺の膨張の程度を反映したものではないので,通常無視できる。

しかしながら,プラトー圧が30〜35cmH2Oを超える場合には,気胸のリスクを抑えるため1回換気量を5〜7mL/kgに減らすべきである。

例外は,胸壁(例,肥満)または腹部(例,腹水)のコンプライアンス低下が,実質的に圧上昇に寄与している場合である。



1回換気量を減らす必要がある場合,中等度の高炭酸ガス血症は容認できるが,もし動脈血pHが7.10未満まで低下した場合にはpHを7.20〜7.25に維持するために低速での炭酸水素ナトリウム注入が適応となる。

ひとたび気道閉塞が軽減され,Paco2および動脈血pHが正常化すれば,通常患者は速やかに人工呼吸器から離脱できる。




その他の治療法も喘息増悪に有効であると報告されているが,どれも徹底した研究は行われていない。

O2 より低密度のガスであるヘリウムでは乱流が減少するので,それによって呼吸仕事量を減らし,換気を改善するために,helioxが用いられる。

helioxが理論上有効であるにもかかわらず,その効能に関しては矛盾する研究結果が報告されている;すぐに利用できないこともその使用を制限している。



硫酸マグネシウムは平滑筋を弛緩させるが,救急診療部での喘息増悪の管理に有効であるかは議論の余地がある。

喘息発作重積状態の患者への全身麻酔は,機序が不明の気管支拡張を引き起こすが,おそらく気道平滑筋への直接的な弛緩作用またはコリン作動状態の減弱によるのであろう。




●慢性喘息の治療: 適切な薬の服用により,たいていの喘息患者は救急診療部や救急病院の世話にならずに生活できる。

数多くの薬物が利用できるが,薬物の選択および順序は喘息の重症度に基づく。

“ステップダウン”療法―薬物投与量を,症状のコントロールに必要な最小限の量まで減らしていく―はどの重症度の喘息にも適応となる。




軽症間欠型喘息患者には,薬物投与を毎日行う必要はない。

急性症状には短時間作用型β作動薬(例,レスキュー薬としてアルブテロールの2回吸入)で十分である;2回/週を超える使用,年2缶以上の使用,または薬剤に対する反応低下があれば,長期にわたるコントロール療法が必要となる。


喘息の重症度に関係なく,レスキュー用β作動薬が頻回に必要となれば,喘息のコントロールが不十分であることを示している。



●軽症の喘息患者(成人および小児)は抗炎症療法を受けるべきである。

低用量吸入コルチコステロイドが選択薬であるが,一部の患者は肥満細胞安定薬,ロイコトリエン修飾薬,または徐放性テオフィリンを用いてコントロールされうる。



●急激な症状に対するレスキュー療法として,レスキュー用短時間作用型β作動薬(例,アルブテロール,2〜4パフ)が適応となる。

レスキュー療法が毎日必要となる患者は,中用量の吸入コルチコステロイドまたは併用療法が必要である。




●中等症持続型喘息患者は,吸入コルチコステロイドを反応に従って調整した用量で,長時間作用型β作動薬(サルメテロール,2パフ,1日2回)と併用して治療すべきである。

長時間作用型吸入β作動薬単独では治療が不十分であるが,併用により吸入コルチコステロイドの用量を減量でき,夜間症状に効果が高まる。

この方法の代替療法としては,吸入コルチコステロイド単独の中用量の投与,もしくは長時間作用型β作動薬の代わりにロイコトリエン受容体拮抗薬または徐放性テオフィリンを,低〜中用量の吸入コルチコステロイドと併用する方法がある。



GERDを伴った中等症持続型喘息患者では,逆流防止の治療が,症状のコントロールに必要な薬物の頻度と用量を減らしうる。

アレルギー性鼻炎を伴った中等症持続型喘息の患者では,コルチコステロイド点鼻により救急診療部受診が必要となる喘息増悪の頻度を減らしうる。




●重症持続型喘息の患者は少数ではあるが,数種の薬物を高用量で用いる必要がある。

選択肢には,高用量の吸入コルチコステロイドと長時間作用型β作動薬(サルメテロール)の併用療法,または吸入コルチコステロイド,長時間作用型β作動薬,ロイコトリエン修飾薬を併用する療法がある。

短時間作用型吸入β作動薬は,いずれの併用療法においても急激な症状のレスキュー薬として適応となる。

全身投与コルチコステロイドは,これらの投与計画では十分に管理ができない患者に適応となる;隔日投与は,連日投与に伴う有害作用の軽減に役立つ。





●運動誘発性喘息: 運動誘発性喘息は,一般に運動開始前の短時間作用型β作動薬または肥満細胞安定薬の吸入により予防できる。

β作動薬の効果がない場合,または運動誘発性喘息が頻繁で重度の場合は,そのほとんどにおいて患者の喘息は認識されているよりも重症であり,コントロールを目的とした長期療法が必要である。




●アスピリン感受性喘息: アスピリン感受性喘息の治療は,第一にNSAIDの回避である。

シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬は誘発物質ではないようである。

ロイコトリエン修飾薬はNSAIDに対する反応を鈍化させうる。

代替療法としては,入院による脱感受性が少数の患者において成功している。




●今後の治療法: 炎症カスケードの特定の構成要素を標的とした複数の治療法が開発されつつある。

IL-4およびIL-13を標的にした治療法の研究が進行中である。




●特別な集団

乳児,小児,および青少年: 乳児では喘息を診断するのは難しい,そのため過小認識および過小治療が一般によくある。

吸入気管支拡張薬および抗炎症薬の経験的治療がその両方に有用でありうる。

薬物は,フェイスマスクの付いたまたは付いていないチャンバーを用いてネブライザーまたはMDIにより投与できる。


治療を週2回以上必要とする5歳未満の乳児や幼児には,吸入コルチコステロイド(好ましい),ロイコトリエン受容体拮抗薬,またはクロモリンを用いた毎日の抗炎症療法を行うべきである。



喘息のある5歳以上の小児や青少年は成人と同様に治療ができるが,身体活動,運動,スポーツを継続するように奨励すべきである。

青少年における肺機能検査の予測正常値は小児(成人ではなく)の基準により近い。

青少年およびしっかりした小児は,コンプライアンスを向上させるために自己の喘息管理計画の作成や自己の治療目的の設定に参加させるべきである。

レスキュー薬が信頼できる迅速な形で利用できるよう,行動計画は先生や学校の保健婦に理解してもらっておくべきである。

クロモリンおよびネドクロミルがこの集団でしばしば試みられるが,吸入コルチコステロイドほどの有効性はない;長時間作用型薬物は,学校での投薬の恥ずかしさを防げる。




●妊婦:

妊娠した女性喘息患者の約3分の1は症状の軽減に気づき;もう3分の1は悪化(ときには重症に)に気づき;残りの3分の1は変化を感じない。

GERDは妊婦に発作を起こす重要な要因となる。

母親の疾患のコントロールが悪いと,胎児死亡,早産,出産時の低体重が増加する可能性があるため,妊娠中の喘息のコントロールは不可欠である。

喘息薬が胎児に有害作用のあることは示されていないが,胎児発育に対する安全性を証明するための大規模で十分管理された研究は行われていない。


以上

posted by ホーライ at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アレルギー性疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする