慢性疾患は,最小用量のコルチコステロイドと炎症をコントロールするその他の薬物(例,抗マラリア薬,低用量免疫抑制薬)で治療すべきである。
抗2本鎖DNA抗体価または血清補体価の低値を追跡調査しうるけれども,治療は主として臨床的特徴に応じて行うべきである。
患者が長期的に高用量コルチコステロイドを必要とする場合,代替の経口免疫抑制薬の投与を考慮すべきである。長期のコルチコステロイド療法を受けている患者には,Ca,ビタミンD,ビスホスホネートによる治療を考慮すべきである。
限局性の合併症と共存する病態: 長期的な抗凝固療法は,抗リン脂質抗体と再発性の血栓症の患者にとって重要である
妊娠した患者が抗リン脂質抗体を有する場合,血栓合併症はコルチコステロイド(プレドニゾン30mg以下を1日1回),低用量アスピリン,ヘパリンによる抗凝血療法によって避けうる。
妊娠の第2トライメスターおよび第3トライメスターを通して1錠の小児用アスピリンと併用または単独で毎日ヘパリンを皮下投与することが最も成功率の高い予防法である。
●ループスの亜型
エリテマトーデス(DLE):
円板状エリテマトーデスは,ときに慢性皮膚エリテマトーデスとも呼ばれ,全身性障害の有無にかかわらずループスの一部として各種の皮膚変化が生じることがある。
皮膚病変は紅斑に始まり,萎縮性瘢痕へと進行する。
それらは,顔や,頭皮,耳のような皮膚の露光部に好発する。
未治療の場合,病変は拡大し,中央が萎縮して瘢痕を生じる。
広範な瘢痕化した脱毛がありうる。粘膜障害が,特に口によくみられる。
典型的な円板状の病変を示す患者は,SLEであるかどうかを評価すべきである。
2本鎖DNAに対する抗体は,必ずといっていいほど円板状エリテマトーデス患者にはない。
皮膚病変の活動性縁辺の生検によって,円板状エリテマトーデスを全身性エリテマトーデス(SLE)と鑑別しえないけれども,その他の疾患(例,リンパ腫またはサルコイドーシス)を除外しうる。
早期の治療により永久的な萎縮症を予防しうる。
日光または紫外線への暴露は,最小限にすべきである(例,屋外では強力な日焼け止めを使用する)。
局所用コルチコステロイドの軟膏(特に乾燥皮膚に)またはクリーム(軟膏より油分が少ない)を1日3〜4回塗布すると(例,トリアムシノロンアセトニド0.1%または0.5%,フルオシノロン0.025%または0.2%,フルランドレノリド0.05%,吉草酸ベタメタゾン0.1%,および,特にジプロピオン酸ベタメタゾン0.05%)通常は小さな病変を退縮させうるが,過度にまたは顔(皮膚の萎縮を起こす)に使用すべきではない。
抵抗性の病変は,フルランドレノリドを塗布したプラスチックテープで覆う。
その代わりとして,トリアムシノロンアセトニドの0.1%懸濁液の皮内注射(1部位につき0.1mL未満)は病変を解消しうるが,二次性の萎縮が続いて生じることがよくある。
抗マラリア薬(例,ヒドロキシクロロキン200mg,1日1回または1日2回の経口投与)は有用である。
抵抗性症例では,併用療法(例,ヒドロキシクロロキン200mg/日とプラスキナクリン50〜100mg,1日1回の経口投与)を数カ月から数年間続けることが必要なことがある。
●亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE):
亜急性皮膚エリテマトーデスは,皮膚障害が顕著であるSLEの亜型である。
亜急性皮膚エリテマトーデスの患者は,広範囲にわたる再発性の皮膚発疹を生じる。
輪状または丘疹鱗屑性の病変が,顔,腕,体幹に生じる。
病変は通常光線過敏性で,色素脱失を示すことがあるが,瘢痕化はまれである。
関節炎と疲労は亜急性皮膚エリテマトーデスの患者によくみられるが,神経症状および腎症状はみられない。
患者は,ANA(抗核抗体)陽性またはANA陰性でありうる。
ほとんどの患者が,Ro(SSA)に対する抗体を有する。
母親にRo抗体があれば,その乳児は,先天性の亜急性皮膚エリテマトーデスまたは先天性の心ブロックを有する可能性がある。
亜急性皮膚エリテマトーデスは全身性エリテマトーデス(SLE)と同様に治療すべきである。
以上
ラベル:全身性エリテマトーデス