2014年07月13日

ビタミンB12と欠乏症(2)

●ビタミンB12と欠乏症(2)


●診断(2)

シリングテスト: 古典的悪性貧血のように,内因子欠乏症の診断が重要な場合にのみ,シリングテストは有用となる。

このテストは,ほとんどの高齢患者には必要ではない。

シリングテストでは,経口投与された遊離型の放射性標識ビタミンB12の吸収量を測定する。

放射性標識ビタミンB12を経口投与した後,1〜6時間内に1000μg(1mg)のビタミンB12を非経口にて投与するが,これは肝臓による放射性標識ビタミンB12の取り込みを減少させるためである。

吸収された放射性標識ビタミンB12は,その後尿中に排泄されるが,その尿を24時間採取する。

そして,尿中の全放射性標識ビタミンB12量の割合を測定する。吸収が正常であれば,投与された量の9%以上が尿中に現れる。

尿中への排泄が低下していれば(腎機能が正常の場合5%未満),ビタミンB12吸収不十分が示唆される。尿の採取が不完全の場合や,腎不全の場合,しばしばシリングテストを行うことや,結果の解釈が困難になる。

さらに,シリングテストでは,蛋白結合ビタミンB12の吸収を測定しないため,高齢者によくみられる,食物から摂取したビタミンB12の遊離障害は検出されない。


シリングテストは,ビタミンB12を補給することになり,欠乏症を覆い隠すことがあるので,他の全ての診断検査および試験的治療を行った後に初めて遂行されるべきである。

経口にて抗生物質を2週間試験投与した後,シリングテストを繰り返してもよい。

抗生物質による治療で吸収不良が改善されれば,可能性のある原因として,腸管での細菌の過剰繁殖(例,盲管症候群)が考えられる。



●治療

重度の欠乏症または神経症状や徴候がない患者には,ビタミンB12,1000〜2000μgを経口にて,1日1回投与してもよい。この大量経口投与は,内因子が欠如している場合にも,質量作用により吸収される。MMA値(ときに治療をモニタリングするために使用される)が低下していない場合は,患者がビタミンB12を服用していない可能性がある。より重度の欠乏症には通常,血液学的異常が改善するまで,ビタミンB12,1mgを1週間に1〜4回,数週間筋注投与し,その後,同用量を1カ月に1回投与する。血液学的異常は通常,6週間以内に改善するが(網状赤血球数は1週間以内に改善しうる),神経症状の消散にはさらに時間を要することがある。数カ月または数年間持続する神経症状は,非可逆的になる。ほとんどのビタミンB12欠乏症と認知症のある高齢者では,治療後に認知力は改善されない。ビタミンB12療法は,同欠乏症の病態生理学的機序が是正されない限り,一生涯続けなければならない。

完全菜食の母親をもつ乳児は,出生時よりビタミンB12の補給を受けなければならない。



以上
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2014年07月09日

ビタミンB12の欠乏の病因と病態生理

●ビタミンB12の欠乏の病因と病態生理

完全菜食の場合,ビタミンB12の摂取が不十分になりうるが,そうでない場合はほとんど起こらない。

ビタミンB12欠乏症は通常,吸収が不十分なことにより起こるが,高齢者の場合は,胃酸分泌の減少による吸収不全が最も一般的である。

この場合,結晶性のビタミンB12(ビタミン補給剤で利用可能なタイプ)は吸収されるが,食物中に含まれるビタミンB12は遊離されず,正常に吸収されない。

盲管症候群(細菌の過剰繁殖を伴う)または魚条虫の寄生により吸収が不十分になりうるが,この場合,細菌または寄生虫が摂取されたビタミンB12を利用するため,吸収できる量が減少する。

回腸の吸収部位が炎症性腸疾患により破壊されたり手術により除去された場合は,ビタミンB12の吸収が不十分になることがある。

慢性膵炎,胃の手術,吸収不良症候群,AIDS,ある種の薬物の使用(例,制酸薬,メトホルミン),亜酸化窒素への繰り返し暴露,回腸での吸収不良を引き起こす遺伝性疾患(イマースルンド-グラスベック症候群)などによっても,頻度は低いがビタミンB12吸収低下が起こりうる。




悪性貧血は,しばしばビタミンB12欠乏症と同義で使用される。

しかしながら,悪性貧血とは,特に内因子を喪失した自己免疫性胃炎により起こるビタミンB12欠乏症(胃炎および消化性潰瘍: 自己免疫化生性萎縮性胃炎を参照 )を指す。

若年成人に最も多い古典的な悪性貧血では,胃や他の消化管癌の発症リスクが高い。




亜急性連合変性症は,ビタミン12 欠乏を原因とする神経系の退行性変化を指し,ほとんどの場合で脳および脊髄白質に影響を与える。

脱髄性,または軸索性の末梢神経障害が起こりうる。




●症状と徴候

貧血は通常,潜行性に進行する。貧血の緩徐な進行は生理的適応を可能にするため,貧血はしばしば症状が示す以上に重度の場合がある。

ときに,脾腫および肝腫大が生じる。食欲不振,便秘,および限局性に乏しい腹痛などの様々な消化管症状がみられることがある。

通常舌の灼熱感と記述される舌炎はまれである。


神経症状は,血液学的異常とは無関係に,またしばしば血液学的異常を伴わずに発現する。

初期段階では,四肢の位置覚および振動覚が低下し,軽度から中等度の筋力低下と反射低下を伴う。

後期段階では,痙性,伸展足底反応,下肢における位置覚および振動覚のより大幅な低下,運動失調が現れる。

これらの異常は,靴下-手袋型の分布を示す。触覚,痛覚および温度覚は通常損なわれないが,高齢者においては評価が困難なことがある。



患者によっては,いらいら感と軽度のうつがみられる。

進行した症例では,パラノイア(巨赤芽球性狂気),せん妄,錯乱,痙性運動失調や,ときに起立性低血圧が起こることがある。

欠乏症による錯乱と,アルツハイマー病などの年齢に関係した認知症によるものとを鑑別するのは困難なことがある。




●診断

診断は,CBC(全血球計算)やビタミンB12および葉酸濃度に基づいて行う。

症状が脊髄圧迫,または多発性硬化症を示唆すれば,MRIなどを用いた神経の画像検査が必要となる。

巨赤芽球性貧血はCBCで発見される。

組織における欠乏や大球性赤血球指数が,貧血の発症に先行することがある。

ビタミンB12レベルが,200pg/mL(145pmo/L)を下回る場合,ビタミンB12欠乏症を示す。

巨赤芽球性貧血の原因として,ビタミンB12欠乏によるものと,葉酸欠乏によるものとを鑑別する必要があるため葉酸濃度を測定するが,葉酸の補給によりビタミンB12欠乏が覆い隠されることがあり,また巨赤芽球性貧血は軽快するものの,神経学的異常を進行させることがある。



臨床判断ではビタミンB12欠乏症が示唆されても,ビタミンB12レベルが正常下限(200〜350pg/mL [145〜260pmol/L]),または血液学的指標が正常であれば,他の検査が行われる。


血清メチルマロン酸(MMA)値の測定が,有用な場合がある。

MMAレベルが上昇していれば,ビタミンB12欠乏症の裏づけとなるが,腎不全が原因の場合もある。MMAレベルは,治療に対する反応をモニタリングするためにも使用される。


ホモシステインレベルは上昇することがある。一般的ではないが,ホロトランスコバラミンU(トランスコバラミンU-B12複合体)含有量を測定し,ホロトランスコバラミンUが40pg/mL(30pmol/L)を下回る場合は,ビタミンB12が欠乏している。


欠乏症が診断された後,若年成人には追加検査が適応となることがあるが,通常高齢者には適応とならない。

食事中のビタミンB12が明らかに不十分な場合を除き,自己免疫性の化生による萎縮性胃炎の可能性を排除するため,上部消化管内視鏡検査,および胃の壁細胞に対する血清自己抗体の測定が行われることがある。

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2014年07月07日

ビタミンB12と欠乏症

●ビタミンB12と欠乏症

コバラミンは,生物学的ビタミンB12の作用を有する化合物の一般的用語である。

これらの化合物は,核酸代謝,メチル転移,ミエリン合成および修復に関与している。

また,正常な赤血球の生成に必要である。



食物中のビタミンB12は,胃の酸性環境に放出され,R蛋白に結合している。

膵酵素が,小腸でこのB12複合体(B12-R蛋白)を切断する。

切断後,胃粘膜の壁細胞から分泌される内因子は,ビタミンB12と結合する。

内因子は,回腸末端におけるビタミンB12の吸収に必要である。



血漿中のビタミンB12は,トランスコバラミンTおよびUと結合している。

トランスコバラミンUは,主にビタミンB12を組織へ運搬する役割を担っている。

肝臓は,大量のビタミンB12を貯蔵している。

腸肝循環による再吸収は,ビタミンB12の保持を助けている。

内因子欠如の場合は,肝臓に貯蔵されているビタミンB12で,正常に3〜6年間生理的必要量を保持できるが,腸肝循環による再吸収能の欠如の場合は,数カ月から1年しか保持できない。

大量のビタミンB12を一般強壮薬として使用すべきではないが,大量でなければ毒性はないと思われる。




●ビタミンB12欠乏症

食事性ビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収によるが,ビタミン補給剤を摂らない完全菜食者に欠乏症が起こることがある。

欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,末梢神経障害が起こる。

診断は通常,血漿ビタミンB12値の測定によって行う。

シリングテストは,病因を決定するのに役立つ。

治療は,経口または非経口によるビタミンB12投与からなる。

葉酸は,貧血を軽減することがあるが,神経障害を進行させることもあるため,ビタミンB12の代わりに使用すべきではない。

肝臓の貯蔵(正常では豊富)が限られ,かつ急速な成長速度により,需要が高い場合(例,完全菜食の母親の母乳栄養児において),月齢4〜6カ月までに欠乏症が起こることがある。

posted by ホーライ at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ビタミン剤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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