2014年06月19日

定期的ワクチン接種について(その3)

●定期的ワクチン接種について(その3)

旅行者の予防接種:

感染症が風土病である地域の旅行には予防接種が要求されることがある。

米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)から情報が提供され,24時間体制のテレホンサービス(404-332-4559)およびウェブサイト(www.cdc.gov/travel/vaccinat.htm)を終日利用できる。



●リスク,制限,およびハイリスクグループ

生きている微生物を使った生ワクチンは,期待される抗体産生に干渉する恐れのある血液,血漿,免疫グロブリンと同時投与するべきではなく,そのようなワクチンは理想的には免疫グロブリン投与の2週間前または6〜12週間後に投与するべきである。


免疫不全患者は重度のまたは致死的な感染症を引き起こす恐れがあるため,生ウイルスワクチンを投与してはならない。

短期間(すなわち,14日未満)の免疫抑制療法(例,コルチコステロイド,代謝拮抗薬,アルキル化薬,放射線)を受けている患者においては,治療終了まで生ウイルスワクチンを控えるべきである。



長期間の免疫抑制療法中の患者に対してDTaPまたはDTwPなどの不活性化ワクチンを投与することがあるが,免疫抑制療法終了から3カ月以上経過後に不活化ワクチンの追加用量を投与するべきであり,またこの時期に生ウイルスワクチン投与を行ってもよい。



無脾症患者は通常,肺炎レンサ球菌,髄膜炎菌,またはインフルエンザ菌b型に起因する重篤な細菌感染に罹患しやすい。

彼らにはHbCVワクチン,髄膜炎菌多糖体ワクチン,年1回のインフルエンザワクチン,肺炎球菌結合型(5歳未満の場合)または多糖体(5歳以上の場合)ワクチンを投与するべきである。

臓器移植実施前の患者には適切なワクチン接種を全て行うべきである。

造血細胞の移植を受けた患者は未免疫であると考え,適切なワクチンを全て反復投与するべきである。




AIDS患者には一般に不活化ワクチン(例,DTP,IPV,HbCV)を投与するべきであり,通常は生ウイルスおよび生菌ワクチン(例,麻疹-ムンプス-風疹,OPV,BCG)を投与してはならない。

しかしながら,もし免疫抑制が重度でなければ麻疹-ムンプス-風疹ワクチンを例外としてもよい。

AIDS患者において,自然発生する麻疹は重症でしばしば致死的な感染症の原因となりうるが,麻疹-ムンプス-風疹ワクチンが重篤な合併症を引き起こすことはまれである。

AIDS患者にはルーチンの推奨に従ってワクチン接種を行うべきである。




ワクチンのリスクを患者に説明するべきである。

親は子供のワクチン接種に関する同意書を提出する必要がある。

米国では,定期的ワクチン接種後に発生した特定事象を製造業者,米国保健福祉省(Department of Health and Human Services),米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)のワクチン副作用報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System)(VAERS)に報告しなければならない。

書式および記入要領は電話800-822-7967(保健福祉省,Department of Health and Human Services)で,またはウェブサイト(www.vaers.org)から入手できる。



39°Cを超える体温はワクチン接種の延期を必要とするが,感冒などの軽症の感染では(微熱を伴う場合も)延期の必要はない。

細胞培養系で生産される一部のワクチンは微量の卵抗原を含む。

卵アレルギーはしばしばこれらのワクチンの禁忌とされるが,パンまたはクッキーのような卵を含む食物を摂食できる患者においては,これらのワクチンは重大な有害反応を引き起こさないようである。

その他のアレルギー反応の既往では,ある種のワクチンが使用禁止となりうる。



妊娠は麻疹-ムンプス-風疹,肺炎球菌性肺炎,水痘および他の生ウイルスワクチン接種の相対的禁忌である。

一部のワクチンに含まれる水銀ベースの防腐剤,チメロサールの乳児に対する安全性の問題が提起されているが,有害性の証拠はない。

それにもかかわらず,ほとんどの製造業者がチメロサールを含まない乳児用ワクチンを開発している。



ギラン-バレー症候群のような変動性または進行性の神経学的疾患を有する患者は,脳を刺激するリスクがあるため,状態が少なくとも1年間安定するまではワクチンを接種してはならない。

もし神経学的疾患が安定しているなら,ワクチン接種を通常どおり進めるべきである。

多発性硬化症におけるリスクは知られていない。


以上


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2014年06月17日

定期的ワクチン接種について(その2)

●定期的ワクチン接種について(その2)


●麻疹,流行性耳下腺炎(ムンプス),風疹:

このワクチンは1種類の中に弱毒生ウイルスが混合されており,接種者の95%において各ウイルスに対する保護抗体を産生させ,おそらくは生涯免疫を獲得させる。

このワクチンは全ての小児に対し2歳までに投与するべきである。

成人で感染のリスクがあるのは,このワクチンの接種歴が全くない人および自然感染の既往が全くない人である。



一般に,1956年以前に出生した人々は,その小児期に,いたる所で感染が発生していたことから,免疫があると考えられている。

1956年以降に出生した人々の場合は,もし免疫状態が不明で暴露する可能性が高ければ(例,大学生,医療従事者)混合ワクチンを接種するべきである。

このワクチンの成分は個別に接種できるが,1種類のワクチンを必要とする人はおそらく3種類全てを必要とすると思われるため混合形式の方が好ましく,ワクチン再接種により特にリスクは生じない。



麻疹(はしか)のワクチン接種は受動的に獲得した母親由来抗体の消失を待って実施するべきであるが,その理由は,既存の母親由来抗体によってワクチンウイルスの複製が抑制されうるためである。

ワクチン接種者の15%において軽度の非伝染性感染が起こる。症状は予防接種後7〜11日で現れ,発熱,倦怠,麻疹様発疹などがみられる。



亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は中枢神経系の遅発性ウイルス感染症であり,麻疹ウイルス野性株の感染患者100万人当たり6〜22例に発現する。

麻疹ワクチンを接種された麻疹自然感染歴のない小児において発生しているが,ポストワクチン時代においてはほとんど姿を消している。


ムンプスのワクチンはごくまれに脳炎(日本のムンプスのワクチン株においてのみ発生),発作,神経性難聴,耳下腺炎,紫斑,発疹,かゆみなどの有害作用を起こす。

風疹のワクチンは接種から2〜8週間後,乳児の1%未満に(ただし女性では26%以下)において,通常は末梢小関節の関節痛を引き起こす。

ときに発疹またはアデノパシーが起こる。ワクチンは胎児に対する理論的リスクがあるため,妊婦には推奨されない。

しかしながら,胎児のリスクは事実上ゼロと思われるため,不注意による妊娠中の投与は必ずしも治療的流産を意味しない。

麻疹,ムンプス,風疹および水痘の混合ワクチンも利用できる。





●肺炎球菌ワクチン:

肺炎球菌結合ワクチンは肺炎レンサ球菌の7種類の精製莢膜多糖体を含み,その1つひとつがジフテリア毒素の変異体と結合している。

5歳未満の全ての小児および免疫不全患者に適応とされるが,通常妊娠中は延期する。

旧来の23価ワクチンとは異なり,この結合ワクチンは乳児の抗体反応を刺激できる。

この結合ワクチンはまた,侵襲性肺炎球菌性疾患に対して旧来のワクチンよりも強力な保護力を発揮するようである。

小児における有害作用は通常軽度で,発熱,被刺激性,傾眠,食欲不振,嘔吐,局所の紅斑などがある。

免疫不全の成人における有害作用は知られていない。



肺炎球菌多糖体ワクチンは,肺炎球菌亜型83種類の最も毒性の抗原23種類からなる。

これは成人全体において菌血症を56〜81%減少させるが,衰弱した高齢者においてはそれほどではない。

肺炎発生率の減少はごくわずかに過ぎない。

このワクチンはHIV感染,慢性の肺または心疾患,機能的無脾症(例,鎌状赤血球症,脾臓摘出後),アルコール中毒,血液悪性腫瘍,脳脊髄液漏出,人工内耳の患者など,肺炎球菌性肺炎またはその合併症のリスクの高い全ての人に投与するべきである。

インフルエンザワクチンと同時に投与してもよいが,接種部位は別にする(例,対側の三角筋)。

生涯免疫のために1回の予防接種が推奨されるが,特にハイリスク患者に対しては6カ月毎の再接種を考慮するべきである。




●ポリオ:

ホルマリン不活化ポリオウイルス1,2,3型の混合物からなる三価不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)の初回シリーズは小児期に実施するべきであり,99%を超える接種者が免疫を獲得する。

経口ポリオウイルスワクチン(OPV)は米国ではもはや入手できない。

重篤な有害作用はIPVと関連していない。



●水痘:

水痘ワクチンは弱毒生ウイルスワクチンで,全ての小児および感染歴のない若年成人,特に医療従事者および免疫不全患者と密接に接する人に投与するべきであり,ワクチン接種の必要性を判定するために保護抗体レベルを測定するべきである。

このワクチンは接種者の97%に水痘の保護抗体を産生させ,暴露後の臨床疾患の可能性を70%減少させる。

ワクチン接種者における免疫の減弱は立証されておらず,評価段階にある。

免疫グロブリンは保護抗体の産生を阻害しうることから,ワクチン接種前5カ月以内または接種後2カ月以内は,水痘帯状疱疹免疫グロブリンなどのいかなる免疫グロブリンも投与してはならない。

このワクチンの有害作用は最小限で,接種後1カ月以内に軽度の斑点状丘疹または水痘様発疹が発現することがある。

この発疹が発現する患者はそれが消散するまで免疫不全患者との接触を避けるべきである。

ときに注射部位の一過性の疼痛,圧痛または発赤が生じる。

ライ症候群の可能性があるため,16歳未満の接種者は6週間の間サリチル酸塩を避けるべきである。

ワクチンウイルスがワクチン接種者から感受性の人々へ広まることが立証されているが,その発生率はワクチン接種者の1%未満であり,接種者が発疹を発現した場合に限られる。



●異なるワクチンの同時投与:

同時投与は便利であり,将来ワクチン接種が利用できないと思われる小児の場合,特に推奨される。

認可されている混合ワクチンとして麻疹-ムンプス-風疹ワクチン,麻疹-ムンプス-風疹-水痘ワクチン,DPTの他,DTwP-Hib結合ワクチン(HbCV),DTaP-HbCV,B型肝炎ワクチン-HbCV(HB-HbCV)がある。

さらに,1種類以上のワクチン製品を異なる注射部位に別々の注射器を使用して同時に投与してもよい。

組み合わせできる製品として,DTwP-HbCVまたはDTaP-HbCVとIPV(またはOPV)あるいはHBワクチン,および水痘ワクチンと麻疹-ムンプス-風疹ワクチンがある。

水痘ワクチンと麻疹-ムンプス-風疹ワクチンを同時投与しないなら,1カ月以上の間隔をあけて投与する。


(続く)

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2014年06月14日

定期的ワクチン接種について ジフテリア-破傷風-百日咳 インフルエンザ菌b型結合ワクチン等

● 定期的ワクチン接種について

乳児および小児に対するワクチン接種スケジュールは正常な乳幼児や小児の治療へのアプローチ: 推奨される小児期および青少年期の予防接種スケジュール。


全ての成人において検討されるワクチン接種を 免疫化: ルーチンの成人のワクチン接種表 2: 表に記載する。

非定期的能動免疫(例,狂犬病,腸チフス,黄熱,髄膜炎菌およびマイコバクテリア感染のため)の適用およびいくつかの定期的ワクチン接種に関しては,本書の別の個所に記載の特定疾患で考察されている。

定期的ワクチン一覧表.html


●ジフテリア-破傷風-百日咳:

ジフテリア(D)および破傷風(T)ワクチンは,それぞれジフテリア菌および破傷風菌から調整されたトキソイドである。

全細胞(w)百日咳(P)ワクチンは,百日咳菌の細胞壁断片ならびにDおよびTを含む(DTwP)。

百日咳菌の半精製または精製成分(例,百日咳毒素,線維状赤血球凝集素,線毛,ペルタクチン,蛋白)およびD,Tからなる無細胞(a)百日咳ワクチン(DTaP)は,発熱および局所反応を引き起こす頻度が低いことから通常好んで使用される。



ワクチン接種は小児期に行われ,初回免疫および追加免疫注射がある。

百日咳に対する保護を追加するために,10?18歳の青少年用にTdapのシングルショット追加免疫が適用可能である。

有害事象はまれで,ほとんどは百日咳菌成分に起因する。

例えば7日以内の脳障害,発熱を伴うまたは伴わない3日以内の発作,あやしても治まらない持続的かつ重度の3時間以上の絶叫または号泣,48時間以内の虚脱またはショック,他に説明のつかない48時間以内の40.5°C以上の発熱,ワクチンに対する重度の即時反応またはアナフィラキシー反応などがある。

これらの反応は百日咳ワクチンの追加使用の禁忌である;ジフテリアおよび破傷風混合ワクチンは百日咳成分を除いて利用できる。



破傷風トキソイドは,破傷風およびジフテリアトキソイド吸着型(Td)中でジフテリアトキソイドと混合されている。

米国において破傷風はまれであるが死亡率は高い。

症例の1/3は予測不可能に発生する(微小または不顕性の外傷後)ため,破傷風ワクチン接種は依然として全ての人々に対して必要である。

免疫を維持するために,6歳以降はTd,0.5mL,筋肉内への追加免疫を10年毎に定期的に実施するべきである。

追加免疫の間隔が10年を超えても免疫は成立するが時間がかかる。

一部の専門家は10年毎の追加免疫の代わりに50歳時に1回の追加免疫を推奨している。

小児期にワクチン接種の初回シリーズを受けなかった成人は,それを成人量で受けるべきである。

7歳未満の小児には,ジフテリアトキソイドをTdより多量に含むDTのような別の破傷風トキソイド製剤を接種する。





●インフルエンザ菌b型結合ワクチン:

インフルエンザ菌b型(Hib)の精製莢膜であるポリリボシルリビトールリン酸(PRP)から調整されたワクチンで,小児におけるHib疾患を予防する。

全てのHibワクチン(HbCV)は多糖体としてPRPを使用するが,異なる4種類の担体蛋白を用いることにより異なる4種類のHib結合ワクチンができる:PRP-D(ジフテリアトキソイド),PRP-OMP(髄膜炎菌外膜蛋白),PRP-T(破傷風トキソイド),HbOC(ジフテリア変異株担体蛋白CRM197)。




●肝炎:

A 型肝炎ワクチンは不活化ウイルスを使用して調整されている。

B 型肝炎ワクチンは組換えDNA技術を利用しており,全ての人々に対する接種が推奨される。

このワクチン2種の使用に関しては肝炎で考察されている。




●インフルエンザ:

このウイルスは毎年抗原連続変異が起こるため,新型菌株に対する1年毎のワクチン再接種が必要となる。

通常は初冬または真冬に流行が始まることから,ワクチン接種は秋(北半球では通常10月および11月)に行う。

65歳を超える者,長期看護施設の入居者,慢性の心臓または肺疾患,あるいは代謝障害(特に糖尿病),腎不全,異常ヘモグロビン症患者,免疫抑制またはHIV感染患者,6?23カ月齢の乳児など,重篤な続発症を発現するリスクの高い全ての人にワクチン接種が推奨される。

医療従事者およびインフルエンザ症状の回避を希望する人にもワクチンを接種する。


(続く)



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