2014年06月15日

統合失調症患者のリハビリテーションと地域の支援サービス

●統合失調症患者のリハビリテーションと地域の支援サービス

リハビリテーションと地域の支援サービス: 心理社会的技能訓練と職業的リハビリテーションプログラムは,多くの患者が働き,買物をし,自身のケアをするのを助け,また家事をとりしきり,他者と共存し,精神医療の専門家と協力して治療を進めるのに役立つ。

支援つき雇用は特に価値があると思われ,そこでは患者は競争のある仕事場に配置され,仕事への適応を促すために現場の仕事のコーチがつく。

コーチは,問題解決のためのバックアップ,または雇用主とのコミュニケーション係としての役割を果たすだけの場合もある。



支援サービスは多くの統合失調症患者が地域で居住することを可能にする。

大部分は独立して生活できるが,服薬遵守を確実にするためにスタッフのいる監督つきアパートを必要とする人もいる。

諸プログラムでは,様々な居住施設における監督の段階的レベルを定めており,24時間のサポートから定期的な家庭訪問までと様々である。

これらのプログラムは,再発の可能性と入院の必要性を最小限に抑えるために十分なケアを提供しながら,患者の自立性を促進する助けとなる。

積極的な地域治療プログラムは,患者の家庭またはその他の居住場所でサービスを提供し,患者に対するスタッフの比率の高さを基盤にしている;治療チームは必要な治療サービスの全てまたはほとんど全てを直接提供する。



重度の再発時には入院または代替施設におけるクライシスケアが必要となることがあり,患者に自傷他害の恐れがある場合は強制入院が必要となることもある。

最良のリハビリテーションと地域支援サービスにもかかわらず,ごく一部の患者,特に重度の認知障害がある者および薬物療法に抵抗性のある者は,長期の施設収容またはその他の支援ケアが必要である。



●精神療法:

精神療法の目標は,患者が自分の病気を理解し管理することを学び,また処方されたとおりに服薬し,より効率的にストレスに対処できるように,患者,家族,医師の間で協調的関係を作り上げることである。

薬物療法との併用による個人精神療法が一般的だが,経験に基づくガイドラインはほとんどない。

患者の基本的な社会サービスの必要性に対処することで始まる精神療法は,支援と病気の性質に関する教育を提供し,適応的活動を促し,共感に基づいており,統合失調症に対する正しい,力動的な理解が最も効果的であるように思われる。

多くの患者は,機能を大幅に制限し,しばしば生涯抱えることになる病気に適応するために,共感的な心理的支援を必要としている。

家族と暮らす患者については,家族への心理教育的介入で再発率を抑えることが可能である。

全米精神障害者連盟のような支援擁護団体は,家族にとってしばしば助けとなる。



以上


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2014年06月14日

統合失調症患者の治療

●統合失調症患者の治療

精神病症状の発現と初回治療までの期間は,初回治療効果発現の速さ,治療効果の質,そして陰性症状の重症度と相関する。

早期に治療を受ければ,より迅速かつ十分な治療効果が得られる傾向がある。

初回エピソード後に抗精神病薬を継続使用しなければ,70〜80%の患者は12カ月以内にエピソードが再発する。

抗精神病薬の継続的使用は,1年再発率を約30%にまで低減できる。



全般的目標は,精神病症状の重症度を抑え,症状エピソードの再発とそれに伴う機能的能力の悪化を防止し,患者が可能なかぎり高い水準で機能できるよう援助することである。

抗精神病薬,地域支援サービスによるリハビリテーション,精神療法が治療の主な構成要素である。

統合失調症は長期にわたる再発性疾患であるため,患者に疾患の自己管理技術を教えることが重要な全般的目標のひとつとなる。

薬物は,神経伝達物質受容体への特異的親和性と活性に基づき,従来型抗精神病薬と第2世代抗精神病薬(SGA)に分けられる。

SGAは,やや有効性に優れていること(ある種のSGAではこの若干の利点に疑問があるが)と,不随意運動障害および関連の副作用発現の可能性が少ないという点で,幾分利点が大きいと考えられる。

従来型の抗精神病薬: これらの薬物( 統合失調症と関連障害: 従来型の抗精神病薬表 1: 表を参照)は,主としてドパミン-2受容体を遮断することにより作用する(ドパミン-2遮断薬)。

従来型の抗精神病薬は高力価,中力価,または低力価に分類できる。

高力価の抗精神病薬はドパミン受容体に対する親和性が高く,α-アドレナリン受容体およびムスカリン受容体に対する親和性が低い。

低力価の抗精神病薬は用いられることはまれだが,ドパミン受容体に対する親和性が低く,α-アドレナリン,ムスカリン,およびヒスタミン受容体に対して比較的高い親和性をもつ。

様々な薬物が錠剤,液剤,短時間作用型および長時間作用型筋注製剤として市販されている。

具体的な薬物の選択は,主に副作用プロフィール,必要とされる投与経路,および患者の当該薬物に対するこれまでの反応に基づいて行う。

統合失調症の薬一覧.html


従来型の抗精神病薬には,鎮静作用,認知能力の低下,ジストニアと筋硬直,振戦,プロラクチン値の上昇,体重増加といった複数の副作用がある(副作用の治療については精神的な訴えがある患者へのアプローチ: 抗精神病薬の急性副作用に対する治療を参照 表 3: 表 )。

アカシジア(静坐不能)は特に不快なもので,服薬不遵守につながることがある。

またこれらの薬物は,不随意運動障害である遅発性ジスキネジアを惹起することがあり,最もよくみられる特徴は唇と舌をすぼめたり,腕や脚をねじるものである。

従来型の抗精神病薬を投与した患者における遅発性ジスキネジアの発生率は,薬物への暴露1年当たり約5%である。

約2%では,遅発性ジスキネジアにより外観が著しく損なわれる。

一部の患者では,投薬中止後も永続する。

こうしたリスクがあるため,長期維持療法を行う患者では少なくとも6カ月毎に評価を行うべきである。

異常不随意運動尺度のような評定尺度を用いてもよい。


神経遮断薬悪性症候群は,まれではあるが死に至る可能性のある副作用であり,硬直,発熱,自律神経不安定,クレアチニンホスホキナーゼ値の上昇(精神的な訴えがある患者へのアプローチ: 抗精神病薬の副作用も参照 )を特徴とする。


統合失調症患者の約30%には,従来型の抗精神病薬は無効である。第2世代抗精神病薬のひとつ,クロザピンが奏効することがある。




●第2世代抗精神病薬: SGAはドパミン受容体とセロトニン受容体の両方を遮断することにより作用する(セロトニン-ドパミン受容体拮抗薬)。

SGAには陽性症状を軽減する傾向があり,従来型の抗精神病薬に比べて陰性症状を大幅に改善することがある(ただし,そうした差は疑問視されている);認知能力の低下を生じることは少ないと思われる;錐体外路系(運動性)副作用を生じる可能性は少ない;遅発性ジスキネジアのリスクは低い;一部のSGAはプロラクチン値の上昇をほとんど,あるいは全くもたらさない。



クロザピンは,従来型の抗精神病薬に抵抗性を示す患者の最大50%に有効であることが示された唯一のSGAである。

クロザピンは陰性症状を低減し,運動性の副作用をほとんど全く生じず,遅発性ジスキネジアのリスクもほとんどないが,鎮静作用,低血圧,頻脈,体重増加,2型糖尿病,唾液分泌亢進など他の副作用がある。

また用量依存的に発作が生じることがある。



最も重篤な副作用は無顆粒球症で,患者の約1%に発生する。

したがって,白血球数の頻繁なモニタリングが必要であり,一般的にクロザピンは他の薬物の効果が不十分だった患者にのみ使用される。

新しいSGAはクロザピンの利点を多く備える一方で,無顆粒球症のリスクがなく,一般に従来型の抗精神病薬よりも急性エピソードの治療や再発予防に向いている。

新しいSGAの有効性は互いによく似通っているが,副作用に違いがあるため,個々の反応と他の薬物の特徴に基づいて薬物を選択する。

例えば,オランザピンは鎮静作用を示す割合が比較的高く,著明な激越や不眠のある患者に処方されると考えられる;鎮静作用の少ない薬物は,嗜眠のある患者の場合に好まれるであろう。



有効性を評価するには通常4〜8週間投薬を試みることが必要である。

急性症状が安定した後は維持療法が開始されるが,そこでは症状の再発を防ぐ最低量を用いる。

リスペリドンは長時間作用型の注射製剤が唯一利用可能なSGAである。



体重増加,高脂血症,および2型糖尿病のリスク上昇がSAGの主な副作用である。

そのため,SAGによる治療開始前に,全ての患者について糖尿病の既往/家族歴,体重,ウエスト周囲長,血圧,および空腹時血漿中グルコースおよび脂質プロフィールなどのリスク要因のスクリーニングを実施すべきである。

糖尿病性ケトアシドーシス(悪心,嘔吐,脱水症,呼吸速迫,意識の混濁)を含む糖尿病の徴候と症状(多尿,多飲,体重減少)について,患者と家族の教育を行うべきである。

さらに,SGAの投与を開始する全患者に対して栄養および運動に関するカウンセリングも行うべきである。

SGA治療中の全患者について,体重,BMI,および空腹時血糖の定期的なモニタリングが必要であり,高脂血症または2型糖尿病を発症した患者は評価のために専門科への紹介が必要である。


(続く)


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2014年06月13日

統合失調症の診断と予後

●統合失調症の診断

統合失調症の決定的な検査法はない。

診断は病歴,症状,徴候の包括的評価に基づいて下される。



家族,友人,教師,および同僚など付帯的情報源からの情報はしばしば重要である。

精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM-IV)によれば,診断には,2つ以上の特徴的症状(妄想,幻覚,会話の解体,行動の解体,陰性症状)が1カ月のうちかなりの割合で存在することが必要であり,なおかつ社会的,職業的,もしくは自己管理面の問題を伴う前駆期ないしは残遺期の疾病徴候が6カ月間明らかに存在し,そのうち1カ月間は活動期の症状を含むことが必要である。



病歴と,臨床検査および神経画像検査を含む検査により,他の身体疾患または物質乱用による精神病を除外することが必要である(精神的な訴えがある患者へのアプローチ: 精神症状を示す患者の医学的評価を参照 )。

統合失調症の一部の患者には,画像検査で構造的な脳の異常が認められるが,これらは診断的価値をもつほど特異的なものではない。

同様の症状を示す他の精神疾患には,統合失調症に関連するものがいくつかある:すなわち,短期精神病性障害,統合失調症様障害,統合失調感情障害,および妄想性障害である。

さらに,気分障害は一部の人々に精神病を引き起こすことがある。

ある種の人格障害(特に統合失調型)は統合失調症と同様の症状を呈することがあるが,通常はより軽度で精神病とは関連がない。





●統合失調症の予後

症状が発現してから最初の5年間に,次第に自分のことを構わなくなり,それとともに機能面は悪化し,社会的・職業的技能も低下することがある。

陰性症状は重症度を増し,認知機能は低下することがある。

その後,能力障害のレベルは横這いとなる傾向がある。

一部の証拠では,疾患の重症度は晩年,特に女性の場合,軽快することが示唆されている。

重度の陰性症状と認知機能障害のある患者では,抗精神病薬を投与していなくとも,随意運動の障害が発現することがある。



予後は亜型によって異なる。

妄想型統合失調症患者は能力障害が軽度であり,現行の治療法が奏効することが多い。

欠陥型の患者は,能力障害が重く,予後も不良で,治療に対して抵抗性を示すのが典型である。



統合失調症は他の精神疾患を併発することがある。

顕著な強迫症状(不安障害: 症状と徴候を参照 )を伴う場合には,予後は特に不良である;境界性人格障害(人格障害: B群を参照 )の症状を伴う場合の方が予後はよい。

統合失調症患者の約80%は,生涯のどこかの時点で大うつ病のエピソードを1回以上経験する。



診断後最初の1年間,予後は処方された向精神薬の服薬遵守と密接に関係する。

全体として,3分の1の患者は著明で持続的な改善を示す;3分の1はいくらか改善するが,間欠的な再発と残遺的な能力障害がみられる;3分の1は能力が永久的に大きく失われる。

発病前の機能水準まで完全に回復するのは全患者の約15%のみである。



良好な予後に結びつく要因は,良好な病前機能(例,優秀な学生,有能な職業歴),遅いおよび/または急激な発病,統合失調症ではなく気分障害の家族歴があること,認知障害がほとんどないこと,陰性症状が少ないこと,妄想型または非欠陥型であることなどである。

予後不良に結びつく要因は,早期発症,病前機能の不良,統合失調症の家族歴,および解体型または欠陥型で多くの陰性症状を示すことなどである。

男性は女性よりも転帰不良である;女性の方が抗精神病薬治療への反応がよい。



物質乱用は,50%もの統合失調症患者にみられる重大な問題である。

事例証拠から,マリファナおよび他の幻覚薬の使用は統合失調症患者にきわめて破壊的な影響を及ぼすことが示唆されており,これらの使用は強く阻止すべきである。

物質乱用の併存は転帰不良の重要な予測因子であり,服薬不遵守や再発の繰り返し,頻繁な再入院,機能の低下,およびホームレスになるといった社会的支援の喪失などをもたらす。



以上


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2014年06月12日

統合失調症の症状と徴候

●統合失調症の症状と徴候


統合失調症はいくつかの段階を経て進行する慢性疾患であるが,各段階の持続期間とパターンは様々である。

医療機関を受診する平均12〜24カ月前には,統合失調症患者は精神病症状を発症していることが多い。

病前期には,患者は症状を示さないか,あるいは社会的能力の障害,軽度の認知的解体または知覚の歪み,喜びを経験する能力の低下(快感消失),および他の全般的対処能力の欠如が認められることがある。

こうした特性は,回顧的にのみ認められる軽度のものもあれば,社会的,学業的,職業的機能の障害を伴い,より顕著に認められるものもある。




前駆期には,引きこもりや孤立,焦燥,猜疑心,異常な思考,知覚の歪み,および解体などの非顕性症状が現れることがある。

顕在的な統合失調症(妄想と幻覚)の発現は,急激(数日または数週間)なこともあれば,緩慢で潜行性(数年間)のこともある。

中間期には,症状のある期間はエピソード的であることもあれば(同定可能な増悪と寛解を伴う),持続的なこともある;機能障害は悪化する傾向がある。

疾患後期には,疾病パターンが確立されて障害が安定するか,あるいは減少することさえある。




一般に,症状は陽性症状,解体症状,陰性症状,および認知症状に分類される。

陽性症状は正常な機能の過剰ないし歪みにより特徴づけられる;陰性症状は正常な機能の低下ないし喪失によって特徴づけられる。

解体症状には,思考障害と奇異な行動が含まれる。



認知症状には,情報処理と問題解決の障害がある。1人の人間が1つのカテゴリーの症状だけを示すこともあれば,全カテゴリーの症状を示すこともある。

陽性症状はさらに妄想と幻覚,あるいは思考障害と奇異な行動とに分類できる。

妄想とは間違った確信である。

被害妄想では,患者は自分が責めさいなまれている,尾行されている,騙されている,スパイされているなどと信じている。

関係妄想では,患者は本や新聞,歌詞,その他自分の周囲にあるちょっとした言い回しが自分のことを指していると信じている。

思考奪取または思考吹入に関する妄想では,患者は他人が自分の心を読める,自分の考えが他人に伝わっている,あるいは考えや衝動が外の力によって自分に押しつけられていると信じている。




幻覚は聴覚,視覚,嗅覚,味覚,または触覚に起こるが,幻聴が最も多くみられる。

患者は自分の行動にコメントしたり,互いに会話を交わしたり,あるいは批判し罵倒する声を聞くことがある。

妄想と幻覚は患者をひどく悩ませることもある。



思考障害には解体した思考が含まれ,話題がとりとめなくあちこちに飛び,何を話したいか定かではない。

会話は多少まとまりを欠くものから支離滅裂で意味不明なものまで幅がある。



奇異な行動には子供じみた愚行,激越,外観や衛生面や振る舞いの不適切さなどがある。


緊張病とは,硬直した姿勢を保ち,動かそうとすると抵抗する,あるいは誘因のない無目的な運動行為に没頭するといったことを含む極端な行動である。

陰性(欠陥)症状には感情鈍麻,会話の乏しさ,快感消失,非社交性などがある。


感情鈍麻があると,患者の顔は能面のようになり,アイコンタクトに乏しく,表情がない。

会話の乏しさは,口数の少なさと質問に対するそっけない答えを指すもので,空虚な内面の印象を生み出す。



快感消失は,活動への関心の欠如と無目的な活動の増加により表されることがある。


非社交性は人間関係に対する関心の欠如により示される。

陰性症状はしばしば意欲の乏しさと目標・目的意識の低下につながる。



認知障害には,注意力,処理速度,作業記憶,抽象的思考,問題解決,社会的相互作用の理解の障害などがある。

患者の思考は柔軟性に欠け,また問題を解決し,他者の見解を理解し,経験から学ぶ能力が減弱することがある。

統合失調症の症状は機能遂行能力を損なうのが典型で,しばしば仕事や社会的関係,自己管理が著しく妨げられる。

失業,孤立,関係の悪化,そしてQOLの低下が共通の転帰である。



認知障害の重症度は,全般的な能力障害の主な決定因子である。



亜型: 統合失調症ではこれまでに5つの亜型が記述されている:すなわち,妄想型,解体型,緊張型,残遺型,および鑑別不能型である。

妄想型統合失調症は,妄想または幻聴により特徴づけられ,認知と感情は保持される。

解体型統合失調症は,会話の解体,行動の解体,感情の平板化または不適切さにより特徴づけられる。

緊張性統合失調症では,不動状態あるいは過度の運動活動性および奇異な姿勢をとるなどの身体的症状が優位である。

鑑別不能型の統合失調症では諸症状が混在している。

残遺型統合失調症では,より顕著な症状をもつ明確な統合失調症の病歴があり,その後に軽度の陰性症状が長期間続く。

これとは別に,統合失調症を感情鈍麻,意欲の欠如,目的意識の減弱といった陰性症状の有無およびその重症度に基づいて欠陥型と非欠陥型に分類する専門家もいる。

欠陥型の患者は他の要因では説明できない顕著な陰性症状(例,抑うつ,不安,刺激のない環境,薬物の副作用)を示す。非欠陥型の患者は妄想,幻覚,および思考障害をもつことがあるが,陰性症状を示すことは比較的少ない。




自殺: 統合失調症患者の約10%は自殺する。

自殺は統合失調症患者における早死の主な原因で,この疾患の患者の寿命が平均して10年短い理由を一部説明するものとなっている。

発症が遅く病前の機能が良好な妄想型の患者―回復については最もよい予後を示す患者―は,自殺のリスクが最も大きな患者でもある。

これらの患者は悲嘆や苦悩する能力を維持しているため,自分の障害がもたらす影響を現実に認識し,絶望のうちに行動しやすいと思われる(自殺行為も参照 )。



暴力: 暴力行為に関しては,統合失調症は比較的軽度のリスク要因となっている。

暴力の脅しや幾分攻撃的なかんしゃくの方が,本当に危険な行動よりもはるかに多い。

重大な暴力をふるう可能性が高い患者には,物質乱用,迫害妄想,または命令幻聴のある人や,処方された薬物を服用しない人が含まれる。

ごくまれに,ひどいうつ状態にある孤立した妄想型の患者が,自分の苦痛の唯一の源とみなす相手(例,権威者,有名人,自分の配偶者)を襲ったり殺したりすることがある。

統合失調症患者は,食べ物や避難場所や必要なケアを得ようと暴力で威嚇し,そのために救急施設にやってくることがある。


(続く)

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2014年06月11日

統合失調症について詳細に述べよ

統合失調症は,精神病(現実との接触の喪失),幻覚(誤った知覚),妄想(誤った確信),会話と行動の解体,情動の平板化(感情の幅の限定),認知障害(推論および問題解決の障害),および仕事や社会的機能の障害により特徴づけられる。

原因は不明だが,遺伝的要素を示す証拠が有力である。

症状は通常,青年期または成人早期に始まる。

診断には,症状のエピソードが1回以上あり,それが6カ月以上持続していなければならない。

治療は薬物療法,精神療法,リハビリテーションからなる。



世界的にみて,統合失調症の有病率はおよそ1%である。

割合は男女同等で,文化間でも比較的一定している。

割合は都市部の社会経済的下層でより高いが,恐らくこれは,能力障害の影響が失業と貧困をもたらすためだと思われる。

同様に,単身者の方が有病率が高いが,これはこの病気ないしその前駆症状が社会的機能に与える影響を反映していると思われる。

平均発症年齢は男性18歳,女性25歳である。

小児期における発症はまれだが,青年期早期または晩年の発症(この場合にはパラフレニーと呼ばれることがある)もありうる。





●統合失調症の病因

特異的な原因は不明だが,脳室の拡大と海馬前部およびその他の脳領域の大きさの縮小といった脳構造の変化と,特にドパミンとグルタミン酸の活性変化に関連する神経伝達物質の変化から明らかなように,統合失調症には生物学的基盤がある。

統合失調症は神経発達上の脆弱性を有する人々に発症し,症状の発現,寛解,および再発はこれら脆弱性の持続と環境ストレス要因との相互作用の産物であると示唆する専門家もいる。


統合失調症に罹患しやすい神経発達上の脆弱性は,遺伝的素因,子宮内・出生時・出生後の合併症,または中枢神経系のウイルス感染が原因である可能性もある。

妊娠第2トライメスターにおける母体の飢餓体験およびインフルエンザ暴露,出生時体重が2500g未満,2度目の妊娠におけるRh不適合,および低酸素症はリスクを高める。

統合失調症を有する人のほとんどは家族歴をもたないが,遺伝的要因が示唆されている。



統合失調症の第1度近親者をもつ人は,この障害を発症するリスクが約10%であるのに対し,一般集団でのリスクは1%である。

一卵性双生児は約50%の一致率を示す。感度の高い神経学的検査と神経精神医学的検査では,眼球の円滑追跡運動の異常,認知と注意力の障害,そして感覚ゲーティングの不全が,一般集団よりも統合失調症患者に多くみられることが示唆されている。

このようなマーカー(中間表現型)は統合失調症患者の第1度近親者にもみられ,脆弱性の遺伝的要素を示すと思われる。



環境ストレス因子は,脆弱性を有する人々における症状発現や再発の引き金となりうる。

ストレス因子には主として生化学的(例,物質乱用,特にマリファナ)または社会的なもの(例,失業あるいは貧困に陥る,大学に行くために家を出る,恋愛関係が破綻する,軍隊に入る)があると思われる;しかしながら,これらのストレス因子は原因となるものではない。



親の育て方が悪いために統合失調症になるという証拠はない。

症状の形成や悪化に対するストレスの影響を緩和する保護的要因には,良好な社会的支援,対処技術,および抗精神病薬がある(統合失調症と関連障害: 治療を参照 )。


(続く)

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