2014年07月19日

アトピー性皮膚炎とは?(2)

●アトピー性皮膚炎とは?(2)


●診断

診断は臨床像で行う( 皮膚炎: アトピー性皮膚炎の臨床的所見*表 1: 表を参照)。

ADはしばしば他の皮膚疾患(例,脂漏性皮膚炎,接触皮膚炎,貨幣状皮膚炎,乾癬)との鑑別が困難であるが,アトピーの家族歴および病変の分布が鑑別に役立つ。

乾癬は通常屈側よりも伸側に分布して,手指の爪を侵すことがあり,ADよりも光沢のある(雲母状)鱗屑を伴う。

脂漏性皮膚炎は顔面(例,鼻唇溝,眉毛,眉間部,頭皮)に最も好発する。

貨幣状皮膚炎は屈側に生じず,苔癬化することはまれである。

ADのアレルギー性増悪因子は,皮膚テストおよび/またはアレルゲン特異性IgE濃度の測定で同定できる。

患者に他の皮膚疾患が発症する可能性もあるので,続発する皮膚疾患が全てADに由来するわけではない。



●予後と治療

小児のADはしばしば5歳までに改善するが,思春期を通して,さらには成人期になっても増悪がよくみられる。

女児および重症の患者,発症の早い患者,家族歴のある患者,鼻炎または喘息を伴う患者では,本疾患の長引く傾向がある。

このような患者でも,ADは30歳までに完全消退することが多い。

人格の形成期に,目に見え,ときには身体障害を来す皮膚疾患を背負って生きるという数多くの課題に小児が直面するため,ADでは長期にわたって心理学的続発症を来すことがある。

長期にわたるAD患者は,20代か30代に白内障を発症することがある。


治療は通常家庭で行えるが,剥脱性皮膚炎(皮膚炎: 剥脱性皮膚炎を参照 ),蜂巣炎,ヘルペス性湿疹の患者は入院が必要なこともある。



支持療法:

スキンケアとして保湿がある。入浴および手洗いは頻繁に行わず,ぬるま湯(熱くない)を使用するべきである;セッケンは病変を乾燥させ刺激となるので,皮膚炎部での使用は最小限にとどめるべきである。

コロイド性のオートミール浴が有用なこともある。

ボディオイルを使用したり,白色ワセリン,植物油,親水ワセリン(患者がラノリンにアレルギーがなければ)などの皮膚軟化剤を入浴直後に外用すれば,有用なことがある。

重症の病変に対しては,持続的に湿ったドレッシング(wet-to-dryドレッシングではなく)を用いてもよい。

コールタールクリームまたはコールタール油は効果的な止痒性外用薬である。



抗ヒスタミン薬はそう痒の軽減に役立つ。

抗ヒスタミン薬の使用法として,ヒドロキシジン25mg,経口,1日3回または4回投与(小児では,0.5mg/kgを6時間毎,または2mg/kgを単回投与で眠前に投与)およびジフェンヒドラミン25〜50mg,経口,眠前投与がある。

ロラタジン,フェキソフェナジン,セチリジンといった鎮静作用の弱いH1ブロッカーが効くこともあるが,それらの有用性はまだ確定していない。

三環系抗うつ薬のドキセピンもH1および H2レセプター遮断作用を持ち,25〜50mg,経口,眠前投与を行えば有益かもしれないが,12歳未満の小児では勧められない。

手指の爪は短く切り,引っかき傷や二次感染を最小限にとどめるべきである。






増悪因子の回避:

家庭内の抗原は,合成繊維の枕や不透過性のマットレスカバーを使用する;熱湯で寝具を洗う;布張り家具,柔らかい玩具,カーペット,ペット(チリダニおよび動物のフケ)を除去する;地下室などの風通しの悪い湿った部屋では除湿器を使う(カビを減らすため)ことで制御できる。

情動的ストレスの軽減は有効であるが,しばしば困難である。

抗ブドウ球菌性抗生物質は,外用薬(ムピロシン,フシジン酸)であれ内服薬(ジクロキサシリン,セファレキシン,エリスロマイシン,いずれも250mg,1日4回投与)であれ,黄色ブドウ球菌の鼻腔内コロニーを制御でき,特異的な治療に反応せず鼻腔培養が陽性の重症患者に適応である。

抗原性をもつ食物に対する暴露を除く目的で広範な食事変更を行うことは不要であり,おそらく効果がない;食物過敏症が小児期を過ぎても持続することはまれである。




コルチコステロイド:

コルチコステロイドは中心的な治療手段である。

クリームまたは軟膏を1日2回塗布すれば,軽症から中等症の患者の大半で有効である。

皮膚軟化剤はコルチコステロイドの塗布の間に用いるが,病変部に外用するコルチコステロイドの必要量を減らすために,コルチコステロイドと混合してもよい。

コルチコステロイドの全身投与(プレドニゾン60mg投与,または小児では1mg/kg,経口,1日1回投与,7〜14日の短期間使用)は病変が広範で難治性の場合に適応であるが,しばしば病変が再発し外用療法の方が安全なので,可能なら避けるべきである。

乳幼児に対し長期かつ広範に強力なコルチコステロイドクリームまたは軟膏を使用するのは,副腎抑制を続発させることがあるので避けるべきである。



他の治療法:

タクロリムスおよびピメクロリムスはADに有効なT細胞阻害薬である。

これらの薬剤は,患者がコルチコステロイドやタール剤に反応しない時,または皮膚萎縮,皮膚伸展線条の形成,副腎抑制などコルチコステロイドの副作用が懸念されるときに用いるべきである。

タクロリムスまたはピメクロリムスのクリームは1日2回塗布する。

塗布後のほてり感またはピリピリ感は通常一過性であり,数日後には軽減する。潮紅はさらに少ない。




光線療法は広範なADに有用である。

自然の日光を浴びれば,多くの患者で病気が軽快する。

別法として,紫外線A(UVA)または紫外線B(UVB)を用いた治療を行ってもよい。

ソラレンを用いるUVA療法(PUVA―乾癬および鱗屑を伴う疾患: 光線療法を参照 )は広範で難治性のADに残しておく。

副作用には日光による障害がある(例,PUVA黒子,黒色腫以外の皮膚癌);このため,PUVAは小児や若年成人に適応となることはまれである。



少なくとも一部の患者で有効な全身性免疫調節薬には,シクロスポリン,インターフェロン-γ,ミコフェノレート,メトトレキサート,アザチオプリンがある。

いずれの薬剤もT細胞の機能を抑制または阻害し,抗炎症作用をもつ。

これらの薬剤は,外用療法や光線療法で改善しなかった広範で難治性または身体障害を来すADに適応である。



疱疹状湿疹はアシクロビルで治療する。

乳幼児では10〜20mg/kgを8時間毎に静脈内投与する;軽症の年長児および成人では200mg,経口,1日5回投与を行う。



以上


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2014年07月16日

アトピー性皮膚炎とは?(1)

●アトピー性皮膚炎とは?(1)

アトピー性皮膚炎は免疫が介在する皮膚の炎症で,しばしば遺伝的な要素が大きい。

そう痒が主たる症状である;皮膚病変は軽度な紅斑から高度な苔癬化まで様々である。

診断は病歴と身体診察で行う。治療には保湿薬を用いたりアレルギー性および刺激性誘因を避けることに加え,しばしばコルチコステロイドの外用薬を用いる。


アトピー性皮膚炎(AD)は,IgEが介在する型(外因型,症例の70〜80%)もあればIgEが介在しない型(内因型,症例の20〜30%)もある。

IgEの介在する型の方が特徴は明らかである;IgEの介在しない型は家族性に発症せず,特発性である。



●病因と病態生理

ADは主として都市部または先進国の小児が罹患する;米国では少なくとも5%の小児が罹患している。

ADは,喘息と同様に,アレルギー炎症性のT細胞免疫反応に関連がありそうである。

そのような反応は先進国で以前より多くみられるようになってきたが,その理由は,核家族化傾向,清浄な室内環境に加え,幼少時に予防接種が行われ抗生物質が使われるため,アレルギー性T細胞を抑制し耐性を誘導する感染やアレルゲンへの暴露が小児期に起こらないためである。

ADは遺伝的に本疾患に罹りやすい人で環境暴露が免疫反応を惹起するときに生じ,通常その免疫反応はアレルギー性(すなわち,IgE介在性)である。

よくみられる環境誘因には,食物(例,牛乳,卵,大豆,小麦,ピーナツ,魚),空気中にあるアレルゲン(例,チリダニ,カビ,フケ),内因性抗菌ペプチドの不足による黄色ブドウ球菌の皮膚におけるコロニー形成がある。

ADでは家族性の発症がよくみられ,遺伝的要因が示唆される。



疱疹性湿疹(カポジ水痘様発疹症)は,ADの患者に生じるびまん性の単純ヘルペス感染である。

典型的な集簇性小水疱が活動性のあるまたは最近生じた皮膚炎の部位に生じるが,正常皮膚も罹患することがある。

数日後に高熱およびリンパ節腫脹を来す。皮膚病変ではブドウ球菌の感染がよくみられる。

ときに内臓の感染を伴うウイルス血症が生じ,致死的なことがある。

他のヘルペス感染と同様,再発することもある。

皮膚の真菌感染,および尋常性疣贅や伝染性軟属腫といったヘルペスウイルス以外の皮膚感染症も,ADに合併することがある。



●症状と徴候

ADは通常乳幼児期,典型的な場合は3カ月までに出現する。

1〜2カ月続く急性期では,赤く滲出性の痂皮化病変が顔面に出現し,頸部,頭皮,四肢,腹部に拡大する。

慢性期では,掻破したり擦ったりすることにより皮膚病変が生じる(典型的な場合は紅斑と丘疹で,掻破が続くために苔癬化する)。

典型例では,肘窩,膝窩,眼瞼,頸部,手首に病変が生じる。

病変は徐々に消退して鱗屑を伴う乾燥した斑(乾皮症)になり,このような状態になると亀裂を生じて刺激物およびアレルゲンに対する暴露が促進されることがある。

年長児または成人では,強いそう痒が中心的病状である。

患者はかゆみに対する閾値が低下しており,かゆみは,アレルゲン暴露,乾燥した空気,発汗,局所的刺激,ウールの衣服,情動的ストレスで増悪する。



ADは全身に広がることがある。

細菌の二次感染や局所リンパ節炎がよくみられる。

外用薬を頻繁に使うと患者を多くのアレルゲンに曝すことになるかもしれず,これらの患者によくみられる全身性乾燥皮膚が病状を増悪・複雑化させるのと同様,接触皮膚炎を生じてADを増悪し,複雑化させる恐れがある。

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2014年05月16日

喘息の治療(3)

●喘息の治療(3)


患者が4時間以内に基準値まで回復しなければ,一般に入院が必要となる。

入院基準は様々であるが,明らかに入院が適応となるのは,改善しない,疲労が増強する,繰り返しβ動薬を投与した後も再発する,Pao2の有意な低下(50mmHg未満)またはPaCO2の増加(40mmHg以上),など呼吸不全への進行を示す場合である。



積極的な治療にもかかわらず悪化し続ける患者は,非侵襲的陽圧換気の候補者となるか,重度の患者および反応のない患者の場合は,気管挿管および機械的人工換気が適応となる。


挿管を必要とする患者には鎮静が有益なこともあるが,麻痺性薬物はコルチコステロイドとの相互作用の可能性があり,遷延する神経筋脱力を起こしうるため避けるべきである。




気道抵抗が高く,変化する場合には,一定の肺胞換気を得るために,通常は補助・調節モードでの容量サイクル式の換気を行う。

呼気を延長し,自己PEEP(呼気終末陽圧)を最小にするため,人工呼吸器は吸気流量を高くし(60〜80L/分以上),呼吸数を8〜14回/分に設定すべきである。



最初の1回換気量は10?12mL/kgに設定できる。

最高気道圧が高くても,それは高い気道抵抗と吸気流量の結果生じたもので,肺胞圧により生じた肺の膨張の程度を反映したものではないので,通常無視できる。

しかしながら,プラトー圧が30〜35cmH2Oを超える場合には,気胸のリスクを抑えるため1回換気量を5〜7mL/kgに減らすべきである。

例外は,胸壁(例,肥満)または腹部(例,腹水)のコンプライアンス低下が,実質的に圧上昇に寄与している場合である。



1回換気量を減らす必要がある場合,中等度の高炭酸ガス血症は容認できるが,もし動脈血pHが7.10未満まで低下した場合にはpHを7.20〜7.25に維持するために低速での炭酸水素ナトリウム注入が適応となる。

ひとたび気道閉塞が軽減され,Paco2および動脈血pHが正常化すれば,通常患者は速やかに人工呼吸器から離脱できる。




その他の治療法も喘息増悪に有効であると報告されているが,どれも徹底した研究は行われていない。

O2 より低密度のガスであるヘリウムでは乱流が減少するので,それによって呼吸仕事量を減らし,換気を改善するために,helioxが用いられる。

helioxが理論上有効であるにもかかわらず,その効能に関しては矛盾する研究結果が報告されている;すぐに利用できないこともその使用を制限している。



硫酸マグネシウムは平滑筋を弛緩させるが,救急診療部での喘息増悪の管理に有効であるかは議論の余地がある。

喘息発作重積状態の患者への全身麻酔は,機序が不明の気管支拡張を引き起こすが,おそらく気道平滑筋への直接的な弛緩作用またはコリン作動状態の減弱によるのであろう。




●慢性喘息の治療: 適切な薬の服用により,たいていの喘息患者は救急診療部や救急病院の世話にならずに生活できる。

数多くの薬物が利用できるが,薬物の選択および順序は喘息の重症度に基づく。

“ステップダウン”療法―薬物投与量を,症状のコントロールに必要な最小限の量まで減らしていく―はどの重症度の喘息にも適応となる。




軽症間欠型喘息患者には,薬物投与を毎日行う必要はない。

急性症状には短時間作用型β作動薬(例,レスキュー薬としてアルブテロールの2回吸入)で十分である;2回/週を超える使用,年2缶以上の使用,または薬剤に対する反応低下があれば,長期にわたるコントロール療法が必要となる。


喘息の重症度に関係なく,レスキュー用β作動薬が頻回に必要となれば,喘息のコントロールが不十分であることを示している。



●軽症の喘息患者(成人および小児)は抗炎症療法を受けるべきである。

低用量吸入コルチコステロイドが選択薬であるが,一部の患者は肥満細胞安定薬,ロイコトリエン修飾薬,または徐放性テオフィリンを用いてコントロールされうる。



●急激な症状に対するレスキュー療法として,レスキュー用短時間作用型β作動薬(例,アルブテロール,2〜4パフ)が適応となる。

レスキュー療法が毎日必要となる患者は,中用量の吸入コルチコステロイドまたは併用療法が必要である。




●中等症持続型喘息患者は,吸入コルチコステロイドを反応に従って調整した用量で,長時間作用型β作動薬(サルメテロール,2パフ,1日2回)と併用して治療すべきである。

長時間作用型吸入β作動薬単独では治療が不十分であるが,併用により吸入コルチコステロイドの用量を減量でき,夜間症状に効果が高まる。

この方法の代替療法としては,吸入コルチコステロイド単独の中用量の投与,もしくは長時間作用型β作動薬の代わりにロイコトリエン受容体拮抗薬または徐放性テオフィリンを,低〜中用量の吸入コルチコステロイドと併用する方法がある。



GERDを伴った中等症持続型喘息患者では,逆流防止の治療が,症状のコントロールに必要な薬物の頻度と用量を減らしうる。

アレルギー性鼻炎を伴った中等症持続型喘息の患者では,コルチコステロイド点鼻により救急診療部受診が必要となる喘息増悪の頻度を減らしうる。




●重症持続型喘息の患者は少数ではあるが,数種の薬物を高用量で用いる必要がある。

選択肢には,高用量の吸入コルチコステロイドと長時間作用型β作動薬(サルメテロール)の併用療法,または吸入コルチコステロイド,長時間作用型β作動薬,ロイコトリエン修飾薬を併用する療法がある。

短時間作用型吸入β作動薬は,いずれの併用療法においても急激な症状のレスキュー薬として適応となる。

全身投与コルチコステロイドは,これらの投与計画では十分に管理ができない患者に適応となる;隔日投与は,連日投与に伴う有害作用の軽減に役立つ。





●運動誘発性喘息: 運動誘発性喘息は,一般に運動開始前の短時間作用型β作動薬または肥満細胞安定薬の吸入により予防できる。

β作動薬の効果がない場合,または運動誘発性喘息が頻繁で重度の場合は,そのほとんどにおいて患者の喘息は認識されているよりも重症であり,コントロールを目的とした長期療法が必要である。




●アスピリン感受性喘息: アスピリン感受性喘息の治療は,第一にNSAIDの回避である。

シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬は誘発物質ではないようである。

ロイコトリエン修飾薬はNSAIDに対する反応を鈍化させうる。

代替療法としては,入院による脱感受性が少数の患者において成功している。




●今後の治療法: 炎症カスケードの特定の構成要素を標的とした複数の治療法が開発されつつある。

IL-4およびIL-13を標的にした治療法の研究が進行中である。




●特別な集団

乳児,小児,および青少年: 乳児では喘息を診断するのは難しい,そのため過小認識および過小治療が一般によくある。

吸入気管支拡張薬および抗炎症薬の経験的治療がその両方に有用でありうる。

薬物は,フェイスマスクの付いたまたは付いていないチャンバーを用いてネブライザーまたはMDIにより投与できる。


治療を週2回以上必要とする5歳未満の乳児や幼児には,吸入コルチコステロイド(好ましい),ロイコトリエン受容体拮抗薬,またはクロモリンを用いた毎日の抗炎症療法を行うべきである。



喘息のある5歳以上の小児や青少年は成人と同様に治療ができるが,身体活動,運動,スポーツを継続するように奨励すべきである。

青少年における肺機能検査の予測正常値は小児(成人ではなく)の基準により近い。

青少年およびしっかりした小児は,コンプライアンスを向上させるために自己の喘息管理計画の作成や自己の治療目的の設定に参加させるべきである。

レスキュー薬が信頼できる迅速な形で利用できるよう,行動計画は先生や学校の保健婦に理解してもらっておくべきである。

クロモリンおよびネドクロミルがこの集団でしばしば試みられるが,吸入コルチコステロイドほどの有効性はない;長時間作用型薬物は,学校での投薬の恥ずかしさを防げる。




●妊婦:

妊娠した女性喘息患者の約3分の1は症状の軽減に気づき;もう3分の1は悪化(ときには重症に)に気づき;残りの3分の1は変化を感じない。

GERDは妊婦に発作を起こす重要な要因となる。

母親の疾患のコントロールが悪いと,胎児死亡,早産,出産時の低体重が増加する可能性があるため,妊娠中の喘息のコントロールは不可欠である。

喘息薬が胎児に有害作用のあることは示されていないが,胎児発育に対する安全性を証明するための大規模で十分管理された研究は行われていない。


以上

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2014年05月15日

喘息の治療(2)

●喘息の治療(2)

その他の薬物 が特定の状況下でまれに使用される。

症状がアレルギーにより誘発される場合には,病歴によって示唆されてアレルギー検査で確定されれば,免疫療法が適応となりうる。

免疫療法は成人よりも小児において成功する場合が多い。

24カ月経過するまでに症状に有意の改善がみられなければ,治療を中止する。

症状が軽減すれば,少なくとも3年間は治療を継続すべきであるが,治療の最適継続期間は分かっていない。

高用量の経口コルチコステロイドへの依存を減らすために,コルチコステロイドの減量が可能な薬物がときに処方される。

それはどれも全て明らかな毒性をもっている。



低用量メトトレキサート(5〜15mg/週)はFEV1 を軽度に改善し,毎日の経口コルチコステロイドの使用量を若干減少(3.3mg/日)させうる。


金およびシクロスポリンもある程度有効であるが,毒性とモニタリングの必要性からその利用は限られている。

オマリズマブは抗IgE抗体で,IgEレベルが高い重症のアレルギー性喘息患者が使用するために開発されたものである。

これは経口コルチコステロイドの必要性を減らし,症状を緩和する。

投与量は患者の体重およびIgEレベルに基づいた用量チャートで決定される;薬剤は2週間毎に皮下注射にて投与される。


慢性喘息の管理のためのその他の治療法には,ネブライザーを用いたリドカインやヘパリン,コルヒチン,高用量の静注免疫グロブリンがある。

これらの薬物療法の有用性を裏づける証拠は限られており,その有効性も証明されていないため,いずれも臨床での使用はまだ推奨できない。




治療に対する反応のモニタリング: 最大呼気流量(PEF)検査(気流と気道閉塞の測定)は,治療に対する反応を記録すること,および患者の記録による日誌を通し,実生活の環境における疾患の重症度の変化の傾向をモニタリングすることによって,喘息増悪の重症度を確定するのに役立つ。家庭におけるPEFのモニタリングは,中等症から重症持続型喘息患者において疾患の進行および治療に対する反応を記録するのに特に有用である。

喘息の症状がないときは,朝1回のPEF測定で十分である。

PEFが患者の最良値の80%未満まで減少した場合,1日に2回測定して日内変動を評価することは有用である。

20%を超える日内変動は,気道の不安定性および治療計画を再検討する必要性を示唆する。





●患者教育: 患者教育の重要性はいかに強調してもし過ぎることはない。

患者は,何が発作を誘発するのか,どの薬をいつ使用するのか,適切な吸入器使用の技術,スペーサーはどのようにして定量噴霧吸入器(MDI)と一緒に使用するのか,増悪時のコルチコステロイドによる早期治療の重要性など,喘息についてよく知れば知るほど,よりよく対処できる。

個々の患者は,日々の管理に対する,特に急性発作時の管理に対する文書化した治療計画をもっているべきであり,その計画は予測正常値よりも患者個人の最良ピークフローに基づくものであるべきである。

そうした計画は喘息のコントロールを大いに改善するが,それは主に治療法がより忠実に守られることによる。




●急性増悪の治療: 喘息増悪の治療の目標は,症状を軽減し,患者のPEFが自己最良値に回復することである。

急性増悪に対しては,吸入アルブテロールまたは類似の短時間作用型β作動薬を自己投与し,可能ならPEFを測定するように患者に指導すべきである。

MDIによる2?4パフを最大20分の間隔で最高で3回投与すると気分がよくなる患者,およびPEFが基準の80%以上を示す患者は,在宅で急性増悪を管理できる。

反応しないか,重度の症状があるか,またはPEFが80%未満である患者は,医師の作成した治療管理プログラムに従うか,薬物による治療のため救急診療部を受診すべきである。



吸入気管支拡張薬(β作動薬および抗コリン薬)が救急診療部における喘息治療の主力である。

成人および児童において,アルブテロールのMDIとスペーサーによる投与は,ネブライザーによる投与と効果は同じである。

幼児では,MDIとスペーサーをうまく使いこなすのが難しいため,ネブライザーによる治療が優先される;ネブライザーがO2よりヘリウム-O2. (heliox)で噴射されると,気管支拡張薬に対する反応が向上することが最近の証拠から示唆される。


小児にはエピネフリン1:1000溶液またはテルブタリンの皮下注射が代替となる。

テルブタリンは,心血管作用がより少なく,作用期間がより長いため,エピネフリンより好ましいが,大量生産されなくなり,高価である。



β 作動薬の皮下投与は,心刺激性の有害作用があるため,理論上成人には問題がある。

しかしながら,臨床的に明らかな有害作用は少ないので,皮下投与は,最高用量の吸入療法にも反応しない患者,または効果的な噴霧式治療が受けられない患者(例,過度の咳が出る,低換気がある,または非協力的な患者)には有益となりうる。


アルブテロール単独では十分に反応しない患者には,噴霧イプラトロピウムと噴霧アルブテロールの同時投与が行える;第1選択の治療に高用量β作動薬とイプラトロピウムの同時投与が好ましいことを示す証拠が一部あるが,β作動薬の連続噴霧投与が間欠投与より好ましいとするデータはない。

テオフィリンは治療にはほとんど役立たない。




全身投与コルチコステロイド(プレドニゾン,プレドニゾロン,メチルプレドニゾロン)は非常に軽い急性増悪を除いて,全ての患者に投与すべきである;気管支拡張薬の1回または2回の投与でPEFが正常になる患者には必要ない。

静注および経口の投与経路は同等に効果がある。



メチルプレドニゾロンは,静脈ラインがすでに確保されている場合は静注投与できるが,経口に変更する必要があるとき,もしくはそのほうが都合のよいときはいつでも経口投与に変更できる。

通常7〜10日目以降に用量を減らしはじめ,2〜3週間かけて漸減すべきである。





抗生物質の適応は,病歴,診察,または胸部X線により細菌感染が背景にあることが示唆される場合だけである;喘息増悪の背景にある感染症のほとんどはウイルスによるが,マイコプラズマやクラミジアも最近の研究対象集団において証明されている。

O2が適応となるのは,喘息増悪の患者がパルスオキシメトリーによる測定またはABG測定でO2satが90%未満である場合である;O2は低酸素血症を是正するのに十分な流量または濃度を鼻カニューレかフェイスマスクにより投与すべきである。



不安が喘息増悪の原因である場合は,安心させることが最良の治療である。

抗不安薬およびモルヒネは,死亡率の増加や機械的人工換気の必要性と関連があるので,相対的禁忌である。


(続く)


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2014年05月14日

喘息の治療

●喘息の治療

喘息―慢性疾患および急性増悪ともに―の治療には,誘発因子のコントロール,疾患の重症度に合わせた薬物治療,治療への反応と疾患の進行のモニタリング,疾患の自己管理が最大限できるようにする患者教育などがある。

治療の目的は,増悪および夜間覚醒などの慢性症状の予防,救急診療部の受診や入院の必要性の最小化,ベースラインの(正常の)肺機能と活動レベルの維持,治療による有害作用の回避などである。



●誘発因子のコントロール: 誘発因子は,一部の患者では,合成繊維の枕および不浸透性の敷布団カバーの使用,シーツ,枕カバー,毛布を湯で頻繁に洗うことで抑制される。

布張りの家具,ぬいぐるみ,絨毯,ペットは避けるべきで(チリダニ,動物のふけ),除湿機を地下室やその他の通気が悪く湿気の多い部屋では使用すべきである(カビ)。

住宅のスチームによるケアによってチリダニアレルゲンは減少する。

誘発因子の抑制が都市環境の中では困難であるからといって,こうした措置の重要性が減るわけではない;ゴキブリへの暴露を住宅の清掃や駆除により回避することは特に重要である。

高性能微粒子(HEPA)電気掃除機やフィルターにより症状は緩和しうるが,それが肺機能および薬物投与の必要性に影響を及ぼすかは証明されていない。



亜硫酸塩に感受性のある患者は赤ワインを避けるべきである。

タバコの煙,強い香り,刺激ガス,低温,高湿度,運動などの非アレルギー性の誘因も,可能なら回避または抑制すべきである。



アスピリン誘発性喘息患者には,アセトアミノフェン,サルチル酸コリンマグネシウム,またはシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬をNSAIDの代わりに使用できる。

喘息は,局所製剤を含む非選択的β遮断薬の使用の相対的禁忌であるが,心選択性薬(例,メトプロロール,アテノロール)では,おそらく有害作用は起こらない。

薬物療法: 慢性喘息および喘息増悪の治療に一般的に用いられる主な薬物群には,気管支拡張薬(β作動薬,抗コリン薬),コルチコステロイド,肥満細胞安定薬,ロイコトリエン修飾薬,メチルキサンチン類がある。

これら薬物群の薬物は吸入または経口で投与される;吸入薬には霧状および粉末状のものがある。

霧状の吸入薬をスペーサーまたはチャンバーを付けた吸入器で投与すると,薬剤が喉頭よりも気道に沈着しやすくなる;細菌汚染を防ぐために,スペーサーは使用するたびに洗って乾かすよう,患者に指示すべきである。

さらに,霧状の吸入薬を使用するには,吸入器の作動(薬剤の供給)と患者の吸入を一致させる必要がある;粉末状の吸入薬は,患者が吸入するときにだけ薬剤が供給されるので調整の必要性は少ない。

さらに,粉末状の吸入薬では,過フッ化炭化水素噴霧剤の環境への放出が軽減される。





β作動薬(βアドレナリン作動薬)は気管支平滑筋を弛緩させ,肥満細胞の脱顆粒およびヒスタミン放出を減らし,気道への微小血管からの漏出を抑制し,粘膜線毛クリアランスを高める。

β作動薬には短時間作用型および長時間作用型がある。



短時間作用型のβ作動薬(例,アルブテロール)は,急性の気管支収縮の緩和および運動誘発性気管支収縮の予防のための選択薬で,必要に応じて2〜8パフの吸入投与を行う。

数分以内に効果が現れ,薬によって最大6?8時間作用する。

長時間作用型の薬物(就寝時に,または1日2回吸入,最大12時間作用する)は,中等症または重症の喘息ばかりではなく,夜間の覚醒を引き起こす軽症の喘息にも用いられる。

また,長時間作用型β作動薬は,吸入コルチコステロイドと相乗的に作用するので,コルチコステロイドの用量を減量できる。



経口β作動薬は全身作用がより強いので,一般には避けるべきである。

頻脈および振戦が,吸入β作動薬の最も一般的な急性の有害作用で,用量に依存する。低カリウム血症がまれに起こるが,その程度は軽い。



β作動薬の長期常用の安全性には議論がある;常用は,おそらく過剰使用の可能性もあり,死亡率の上昇に関連するが,それが有害作用なのか,あるいは他の薬物では治療が十分ではないため常用しているのかは不明である。

β作動薬の毎日の使用,用量の増加または効果の減弱,もしくは1カ月月に1缶またはそれ以上の使用は,喘息のコントロールが不十分であり,他の治療法を開始または強化する必要があることを示唆する。

レバルブテロール(アルブテロールのR-異性体を含む溶液)の使用は,理論的には有害作用を最小化するが,その長期的効果と安全性は証明されていない。




抗コリン薬は,ムスカリン性(M3)コリン受容体の競合的阻害により気管支平滑筋を弛緩させる。

イプラトロピウムは,喘息に単独で使用すると効果は小さいが,短時間作用型β作動薬と併用すると相加効果がありうる。

有害作用には,散瞳,眼のかすみ,口渇がある。チオトロピウムは24時間作用型の吸入抗コリン薬であるが,喘息への使用は評価が十分に行われていない。



コルチコステロイドは,気道の炎症を阻害し,β受容体のダウンレギュレーションを回復させ,ロイコトリエン合成を遮断し,サイトカインの産生および接着蛋白の活性化を阻害する。

コルチコステロイドは,吸入アレルゲンに対する遅延反応を遮断する(しかし早期反応は遮断しない)。

投与経路には経口,静注,吸入がある。

急性喘息増悪では,初期における全身投与コルチコステロイドの使用がしばしば増悪を回避させ,入院の必要性を減らし,再発を防止し,回復を早める。

経口投与と静注投与は,同等の効果がある。



吸入コルチコステロイドは,急性増悪では有用ではないが,長期の抑制,コントロール,炎症や症状の回復には適応となる。

吸入コルチコステロイドは,経口コルチコステロイドによる維持療法の必要性をかなり減らし,未治療の喘息に特徴的な肺機能の悪化を遅らせたり止めたりすることから,疾患修飾薬と考えられている。

吸入コルチコステロイドの局所の有害作用には,発声障害および口腔カンジダ症があるが,スペーサーの使用および/またはコルチコステロイド吸入後のうがいによって,防止または最小限にできる。

全身性の有害作用は全て用量依存性で,経口でも吸入でも起こりうるし,主に吸入量が800μg/日を超えると起こる。

それらには,副腎-下垂体軸の抑制,骨粗鬆症,白内障,皮膚萎縮,過食症,易傷性などがある。吸入コルチコステロイドが小児の成長を抑制するかは議論がある:ほとんどの子供は予測された成人身長に達する。

非活動性結核がコルチコステロイドの全身投与によって再活性化しうる。





肥満細胞安定薬は肥満細胞からのヒスタミン放出を阻害し,気道反応性亢進を軽減し,アレルゲンに対する早期反応や遅延反応を遮断する。

この薬は運動誘発性およびアレルゲン誘発性の喘息患者に予防的に吸入される;しかし,一度症状が出現してしまうと効果はない。

全ての抗喘息薬の中で最も安全であるが,最も効果が少ない。



ロイコトリエン修飾物質は経口で投与され,軽症持続型から重症持続型までの喘息患者において,長期管理および症状の予防に用いることができる。

主な有害作用は肝酵素の上昇である;極めてまれにチャーグ-ストラウス症候群に似た症候群を発症させる。



メチルキサンチン類は(おそらく非選択的にホスホジエステラーゼを阻害することによって)気管支平滑筋を弛緩させ,また,機序は不明であるが,心筋および横隔膜の収縮能を改善させうる。

メチルキサンチン類はカルシウムの細胞内放出を阻害し,微小血管からの気道粘膜への漏出を減少させ,アレルゲンに対する遅延反応を阻止するようである。

また,気管支粘膜への好酸球の浸潤や上皮へのTリンパ球の浸潤を減少させる。


メチルキサンチン類はβ作動薬の補助薬として長期のコントロールに使用される;徐放性テオフィリンは夜間覚醒の管理に有用である。

この薬は他の薬に比べて有害作用および相互作用が多いため,使用されなくなってきている。有害作用には,頭痛,嘔吐,不整脈,痙攣などがある。


メチルキサンチン類の治療域は狭い;また,複数の薬物(チトクロムP450経路により代謝されるものはどれでも,例,マクロライド系抗生物質)および病態(例,発熱,肝疾患,心不全)がメチルキサンチンの代謝と排泄を変化させる。

血清テオフィリン濃度は定期的にモニターし,濃度は5?15 μg/mL(28〜83 μmol/L)に維持すべきである。


(続く)


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2014年05月13日

喘息の診断

●喘息の診断

診断は病歴と身体診察に基づき,肺機能検査を用いて確認する。基礎疾患の診断,および喘鳴の原因となる疾患の除外も,重要である。

肺機能検査: 喘息が疑われる患者には,気道閉塞の重症度,および可逆性の判定ならびに定量化のため,肺機能検査を行うべきである。

肺機能検査のデータの質は,患者の努力に左右されるため,検査前には患者の教育が必要である。


気管支拡張薬は,中止しても問題がないのであれば,検査前に中止すべきである:アルブテロールなどの短時間作用型β作動薬では6時間前;イプラトロピウムでは8時間前;テオフィリンでは12?36時間前;サルメテロールおよびフォルモテロールなどの長時間作用型β作動薬では24時間前;チオトロピウムでは48時間前に中止する。


肺活量測定(肺機能検査を参照 )は,短時間作用型気管支拡張薬の吸入の前後に行うべきである。

気管支拡張薬吸入前の気道閉塞の徴候には,最初の1秒間の努力呼気量(FEV1)の減少およびFEV1の努力肺活量に対する比(FEV1/FVC)の低下などがある。

FVCも減少しうる。肺気量測定では,エアトラッピングによる残気量および/または機能残気量の上昇が示されうる。



気管支拡張薬による治療に反応してFEV1が12%以上または0.2L以上改善すれば,可逆性の気道閉塞が確定されるが,この所見がなくても気管支拡張薬による治療の試みを除外すべきではない。

肺活量測定は,喘息と診断されている患者では少なくとも年1回,疾患の進行を監視するために,行うべきである。



フローボリューム曲線も,上気道閉塞(喘息に似ている)の一般的な原因である声帯機能障害の診断または除外のために調べるべきである。

誘発検査では,吸入メタコリン(または代わりに吸入ヒスタミン,アデノシン,ブラジキニン,または運動負荷検査など)を使用して気管支収縮を誘発するが,検査が適応となるのは,喘息が疑われる患者で肺活量測定およびフローボリューム検査が正常である場合,咳喘息である場合,禁忌がない場合である。

禁忌には,FEV1が1L未満または50%未満,最近発症の心筋梗塞または脳卒中,重度の高血圧(収縮期血圧200mmHg以上,拡張期血圧100mmHg以上)が含まれる。

FEV1が20%以上低下していれば,喘息の診断が裏づけられる。

しかしながら,FEV1はCOPDなど他の疾患でも,これらの薬物に反応して減少しうる。





●その他の検査: その他の検査は状況によっては有用である。

一酸化炭素拡散能(DLco)検査はCOPDと喘息との鑑別に有用である。

数値は,喘息では正常か上昇しており,COPDでは,通常低下しており,特に肺気腫があれば低下している。



胸部X線は,喘息の背景にある原因,またはその他の診断,例えば心不全もしくは肺炎などを除外するのに有用である。

喘息の胸部X線は通常正常であるが,粘液栓の徴候である過膨張または区域性無気肺を示すこともある。

浸潤影は,特に出没し,中枢気管支拡張の所見と関連する場合,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を示唆する。



病歴からアレルギー性誘因が示唆される小児は全て,(免疫療法の対象となる可能性があるため)アレルギー検査が適応される。

病歴がアレルゲン回避により症状が緩和されたことを示唆する成人,および治療的抗IgE抗体療法(喘息: 薬物療法を参照 )の試用が検討されている人には,アレルギー検査を考慮すべきである。

皮膚検査および放射性アレルゲン吸着試験(RAST)によるアレルゲン特異的IgEの測定によって,アレルギーの特異的誘因を同定できる(アレルギー性およびその他の過敏性疾患: 特異的検査を参照 )。


血中好酸球数の上昇(400/μL以上)および非特異的IgEの上昇(150IU以上)は,アレルギー性喘息を示唆するが診断を確定しない,なぜなら他の種々の病態でも上昇しうるからである。


喀痰の好酸球検査は一般的には行われていない;好酸球が多数見つかれば喘息を示唆するが,感度がよいわけでも特異的でもない。

安価な携帯型の流量計を用いたピークフロー(PEF)測定は,疾患の重症度の在宅モニタリングや治療の参考にするために推奨される。




●増悪の評価: 喘息と分かっている患者が急性増悪を起こした場合は,パルスオキシメトリー,およびPEFまたはFEV1のいずれかを測定すべきである。

これらの測定は3つとも,増悪の重症度の判定,および治療に対する反応の記録に有用である。

PEF値は患者の自己最良値を対象に評価するが,これは同じくらい十分にコントロールされている患者の間でも大きく異なる。

ベースラインからの15?20%の低下は,有意な増悪を表す。

基準値が分からないときは,%予測値によって,気流量制限のおおよその見当はつくが,個々の患者の悪化度は不明である。

ほとんどの増悪では胸部X線検査を行う必要はないが,肺炎または気胸を示唆する症状のある患者には行うべきである。

ABG測定は,著しい呼吸促迫,または切迫した呼吸不全の徴候や症状のある患者には行うべきである。





●予後

喘息のある小児のほとんどで喘息は治るが,4人に1人は喘鳴が成人まで持続するか,数年後に再発する。

女性であること,喫煙,若年での発症,住宅のチリダニへの感作,気道過敏性は,持続および再発の危険因子である。



米国では,喘息が原因となる死亡者数は年間に約5000人で,その大半は治療すれば回避できる。

したがって,適切な治療を受け,医師の指示を守ると,予後は良好である。

死亡の危険因子には,入院前に経口コルチコステロイドの必要量が増えること,急性増悪による入院歴,診察時のピークフロー低下がある。

いくつかの研究は,吸入コルチコステロイドの使用が入院および死亡率を減少させることを示している。



一部の喘息患者では,時間の経過とともに気道が永久的な構造的変化(リモデリング)を起こし,正常な肺機能に戻るのを妨げる。

抗炎症薬の早期の積極的使用が,このリモデリングを防ぐのに有用な可能性がある。


(続く)

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2014年05月11日

喘息とは?

●喘息とは?

喘息は,気道のびまん性炎症による疾患で,部分的または完全に可逆的な気管支収縮を生じさせる様々な誘発的刺激により引き起こされる。

症状と徴候には,呼吸困難,胸部圧迫感,喘鳴などがある。診断は病歴,身体診察,肺機能検査に基づく。

治療には誘発因子の制御および薬物療法が必要で,吸入β作動薬および吸入コルチコステロイドを用いるのが最も一般的である。

治療を行えば予後は良好である。



●疫学

喘息の有病率は1970年代以来増加し続けており,現在,世界人口の推定4?7%が喘息にかかっている。

米国では約1200万?1700万人が喘息にかかっている;1982年から1992年の間に有病者数は1000人当たり34.7人から49.4人に増加した。

有病率は,18歳未満(6.1%)が18?64歳(4.1%)より高く,思春期前では男性が,思春期後では女性が高い。

都市部の住民,黒人,および一部のヒスパニック系集団で高い。

喘息による死亡率も上昇しており,米国では喘息による死亡者は年間に約5000人である。

死亡率は黒人が白人よりも5倍高い。喘息は,小児の入院の主たる原因であり,小学校の不登校の原因となっている第1の慢性疾患である。

2002年の喘息の医療費は,総額140億ドル(約1兆5000億円)であった。




●病因

喘息の発症は多因子によるもので,複数の感受性遺伝子と環境因子の相互作用による。

感受性遺伝子には,ヘルパーT2(TH2)細胞とそのサイトカイン(IL-4,IL-5,IL-9,IL-13)の遺伝子,および最近同定されたADAM33遺伝子(気道の平滑筋および線維芽細胞の増殖を刺激したり,サイトカインの産生を調節している可能性がある)が含まれていると考えられている。



住宅(チリダニ,ゴキブリ,ペット)およびその他の環境(花粉)アレルゲンが,児童や成人の喘息発症に関連していることを示すはっきりした証拠がある。

生涯の早い時期の内毒素感染または暴露は,耐性を引き起こすこともあり,防御ともなりうる。大気汚染と喘息発症との関連は決定的ではないが,大気汚染は増悪を誘発しうる。


ビタミンCとE,およびω-3脂肪酸が少ない食事は,肥満と同様に,喘息と関連があるとされている。

喘息は周産期の要因,例えば若年の母親,母親の栄養不良,早産,出産時低体重,母乳不足などとも関連があるとされている。

小児期のタバコの煙への暴露については,寄与効果があるとする研究と防御効果があるとするものと両論ある。

窒素酸化物および揮発性有機化合物の室内暴露は,喘息の既往歴のない人における持続性の可逆性気道閉塞症候群である反応性気道機能不全症候群(RADS)の発症と関連がある。

RADSが喘息とは別のものなのか,職業性喘息の一形態なのかには議論の余地があるが,2つの病態には類似点(例,喘鳴,呼吸困難,咳)が多く,コルチコステロイドに反応する。




●病態生理と分類

遺伝的要素および環境的要素は,ヘルパーT1(TH1)細胞系とTH2細胞系のバランスを決定するという機序で,相互に作用する可能性がある。

専門家の考えによれば,乳児は,好酸球の発育と活性化およびIgE産生に特徴づけられる,アレルギー誘発性および炎症誘発性TH2免疫応答の素因をもって生まれるが,幼児期早期の細菌感染,ウイルス感染,および内毒素への暴露で,体はTH1応答へと移行し,それによってTH2細胞が抑制され,免疫寛容が起きる。先進国における小家族化と少子化,清潔な室内環境,ワクチンや抗生物質の早期使用の傾向は,これらTH2抑制性の,寛容誘発の暴露の機会を小児から奪うことにもなっており,先進国において喘息の有病率が上昇し続けている理由の一部を説明する(衛生仮説)。



喘息患者では,これらTH2細胞およびその他の細胞系―とりわけ好酸球および肥満細胞,そして他のCD4+亜型および好中球も―が,広範な炎症性浸潤を気道上皮および平滑筋に形成し,落屑,上皮下の線維化,平滑筋肥厚を引き起こす。

平滑筋の肥厚は気道を狭窄し,アレルゲン,感染,刺激物,副交感神経系刺激(サブスタンスP,ニューロキニンA,カルシトニン遺伝子関連ペプチドなどの炎症誘発性神経ペプチドの放出を引き起こす),および,その他の気管支収縮の誘因への反応性を増大させる。



気道の反応性亢進の他の要因には,気管支収縮抑制因子(上皮由来弛緩因子,プロスタグランジンE2)の欠損,および上皮や粘膜浮腫が剥離した結果生じた内因性気管支収縮物質(エンドペプチダーゼ)を代謝するその他の物質の欠損なども含まれる。

粘液塞栓および末梢血好酸球増加もまた喘息における古典的所見であり,気道炎症の随伴徴候でありうる。



喘息発作の一般的な誘因には,環境性および職業性アレルゲン;感染(幼児におけるRSウイルスおよびパラインフルエンザ感染,児童および成人における上気道感染および肺炎);運動,特に寒冷または乾燥した環境において;刺激物の吸入(大気汚染);不安,怒り,興奮などがある。

アスピリンは,より年齢の高い喘息患者の最大30%において,またはより重症の喘息患者において誘因となり,典型的に鼻および副鼻腔のうっ血を伴う鼻ポリープとつながりがある。



胃食道逆流症(GERD)は,最近,喘息の一般的な誘因として認識されている(おそらく食道の酸による反射性気管支収縮を経て,または酸の微小吸引によって喘息を引き起こす)。

アレルギー性鼻炎はしばしば喘息と共存する;しかし,両者が同じアレルギー反応の過程で生じる異なった症状なのか,または鼻炎が1つの個別的な喘息誘因なのかは不明である。


誘因が存在すると,喘息に特徴的な病態生理学的変化により,可逆性の気道閉塞や不均等な肺換気が起こる。

閉塞した領域では相対的な血流量が相対的な換気量を上回り,その結果として肺胞O2分圧が低下し,肺胞CO2分圧が上昇する。ほとんどの患者は過換気により代償することができ,それによってPaco2を正常値の範囲内に維持する。

しかし重度の増悪では,びまん性の気管支収縮が重度のエアトラッピングを引き起こし,呼吸筋は力学的に著しく障害され,吸気力を発生させられず,呼吸仕事量が増加する。

これらの状態の下では,低酸素血症および過度の労作がさらに悪化し,Paco2が上昇する。



呼吸性および代謝性アシドーシスが生じることもあり,治療しないまま放置すると,呼吸停止および心停止に至る。

喘息は症状により4つに分類される―軽症間欠型,軽症持続型,中等症持続型,重症持続型である。

喘息は様々な経過を辿るので,1人の患者の間でも分類が変わることもある。

分類に関係なく,患者には軽症,中等症,重症の増悪が起こりうる。

例えば,軽症間欠型の喘息患者の一部では,肺機能が正常で,症状がないときと軽症のときがある期間が長く続いた後に,生命を脅かす重症の増悪が起こる。

喘息発作重積状態という用語は,治療抵抗性の,重篤で激しい持続性の気管支痙攣を意味している。

喘息とCOPDはときに混同されやすい;両者は類似した症状を引き起こし,肺機能検査も類似した結果を示すが,必ずしも臨床的には明白ではない重要な生物学的機序が異なっていると考えられる。




●症状と徴候

軽症間欠型または軽症持続型の喘息患者では,通常,症状のあるときの合間に無症状のときがある。

さらに重症の患者または増悪患者では,呼吸困難,胸部圧迫感,喘鳴の聴取,咳の症状がある;しかし,一部の患者では,咳が唯一の症状となりうる(咳喘息)。

症状は日周期リズムで変化し,睡眠中(しばしば午前4時頃)に悪化する。

さらに重症の患者の多くは,夜間覚醒を伴う(夜間喘息)。



徴候には喘鳴,奇脈(吸気中に収縮期血圧が10mmHg以上低下―心疾患患者へのアプローチ: 奇脈を参照 ),頻呼吸,頻脈,目に見える努力呼吸(首や胸骨の筋肉[補助筋]の使用,直立姿勢,すぼめた唇,会話不能)がある。

呼吸の呼気相が長くなり,吸気:呼気の比は少なくとも1:3となる。


喘鳴は両相で,または呼気相だけで存在することもある。

重症の気管支収縮患者では,著しく気流が制限されているため,喘鳴が聞こえないこともある。


重症の増悪および切迫呼吸不全患者は,典型的に,意識変化;チアノーゼ;15mmHg以上の奇脈;O2飽和度(O2sat)が90%未満;Paco2が45mmHg以上(海面レベル);過膨張のうち,いくつかを有する。

まれに,気胸または気縦隔が胸部X線上でみられる。



症状および徴候は,急性喘息の発作と発作の間では消失するが,一部の無症状患者では軽微な喘鳴が,強制呼気時,運動後,および安静時に聞こえうる。

長期間コントロールされていない喘息患者では,肺の過膨張が胸壁を変化させ,樽状胸郭を来す。

全ての症状や徴候は非特異的であり,時宜を得た治療を行えば可逆的であり,典型的には1つまたはそれ以上の誘因への暴露により引き起こされる。


(続く)


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2014年05月09日

『アレルギー性鼻炎』について、ちょっと調べてみる?

アレルギー性鼻炎は,季節性または通年性のかゆみ,くしゃみ,鼻漏,鼻うっ血,ときに結膜炎をさし,花粉または他のアレルゲンへの暴露によって引き起こされる。

診断は病歴と皮膚試験による。

治療は,抗ヒスタミン薬,うっ血除去薬,鼻用コルチコステロイド,および重度で難治性の症例には脱感作の併用により行う。

アレルギー性鼻炎は,季節的に(花粉症)または1年を通じて(通年性鼻炎)起こる。

通年性鼻炎の少なくとも25%は非アレルギー性である。

季節性鼻炎は,春は樹木の花粉(例,カシ,ニレ,カエデ,ハンノキ,カバ,ネズ,オリーブ),夏はイネ科の草の花粉(例,ギョウギシバ,オオアワガエリ,ハルガヤ,カモガヤ,セイバンモロコシ)および雑草の花粉(例,オカヒジキ,オオバコ),秋は雑草の花粉(例,ブタクサ)によって引き起こされる。



原因は地域によって異なり,季節性鼻炎はときに空気中の真菌胞子によって引き起こされる。

通年性鼻炎は,室内の吸入アレルゲン(例,チリダニ,ゴキブリ,動物のふけ,かび)への1年を通じた暴露,または一連の季節の植物の花粉に対する強い反応性によって引き起こされる。


アレルギー性鼻炎および喘息はしばしば共存するが,鼻炎および喘息が同じアレルギーの過程に起因する(one airway,one diseaseの概念)のか,鼻炎は別個の喘息の誘因であるのかは,不明である。

非アレルギー性の通年性鼻炎は,感染性,血管運動性,萎縮性,ホルモン性,薬物性,および味覚性鼻炎を含む。



●症状と徴候

患者には,鼻,眼または口のかゆみ,くしゃみ,鼻漏,ならびに鼻および副鼻腔の閉塞がみられる。

副鼻腔の閉塞は前頭部痛を引き起こすことがあり,副鼻腔炎はよくみられる合併症である。

特に喘息を伴う場合は,咳および喘鳴も起こりうる。

通年性鼻炎の最も顕著な特徴は慢性的な鼻閉塞であり,小児では慢性中耳炎につながることがあるが,1年を通じて症状の重症度は変化する。

かゆみはあまり顕著でない。

徴候は,浮腫状で青みがかった赤色の鼻甲介,および,一部の季節性鼻炎症例においては,結膜充血および眼瞼浮腫を含む。



●診断

アレルギー性鼻炎はほとんど常に病歴のみで診断される。

経験的治療で患者が改善するのであれば診断検査をルーチンに行う必要はないが,皮膚試験で花粉に対する反応(季節性),または,チリダニ,ゴキブリ,動物のふけ,かび,もしくは他の抗原に対する反応(通年性)を示す場合は,追加的治療の指針となりうる。

鼻汁塗抹で好酸球増加が認められ皮膚試験陰性の場合は,アスピリン過敏症または好酸球増多性鼻炎(NARES)が示唆される。

感染性,血管運動性,萎縮性,ホルモン性,薬物性,または味覚性鼻炎の診断は通常,病歴または治療を試みることによって下す。



●治療

季節性および通年性のアレルギー性鼻炎に対する治療は概して同じであるが,通年性鼻炎には環境管理(例,チリダニおよびゴキブリの駆除)を試みることが推奨される。

最も効果的で第一選択となる薬物治療は,経口抗ヒスタミン薬と経口うっ血除去薬の併用,または鼻用コルチコステロイド(アレルギー性およびその他の過敏性疾患: 鼻用吸入コルチコステロイドおよび肥満細胞安定薬表 3: 表参照)の単独投与もしくは経口抗ヒスタミン薬との併用である。


それほど効果的ではないが,代替薬には鼻用肥満細胞安定薬(クロモリンおよびネドクロミル)の1日2回〜1日4回投与,鼻用H1ブロッカーであるアゼラスチンの2噴霧,1日1回投与,および鼻用イプラトロピウム0.03%の2噴霧,4時間〜6時間毎投与があり,鼻漏症状を軽減する。

生理食塩水の鼻吸入は,しばしば忘れられているが,粘度の高い鼻汁の流動化および鼻粘膜の水分補給に有用である。



免疫療法は,通年性よりも季節性のアレルギー性鼻炎に対して効果的であり,症状が重度で,アレルゲンを回避することができず,薬物治療の効果が不十分な場合に適応される。

脱感作の初回投与は,花粉の季節が終了したらすぐに次の季節に備えるために始めるべきである;脱感作を花粉の季節中に開始すると,アレルギー性の免疫応答がすでに最大限に刺激されているため,有害反応が強まる。



モンテルカストはアレルギー性鼻炎の症状を軽減するが,他の治療法に比べるとその役割は不正確である。

アレルギー性鼻炎治療用の抗IgE抗体が研究中であるが,より安価で効果的な代替薬が利用可能であるため,その役割はおそらく限られるだろう。

NARESの治療は鼻用コルチコステロイドである。アスピリン過敏症の治療法はアスピリンを回避することであり,必要に応じて脱感作およびロイコトリエンブロッカーを併用する;鼻ポリープは鼻用コルチコステロイドに反応することがある。


以上


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