しかしながら,RF(その値はしばしば低い)はその他の疾患の患者にも生じ,それらの疾患には,その他の結合組織病(例,全身性エリテマトーデス),肉芽腫症,慢性的な感染症(例,ウイルス性肝炎,亜急性細菌性心内膜炎,結核),悪性腫瘍が含まれる。
低力価のRFは,一般集団の3%と高齢者の20%にもみられる。
ラテックス凝集反応で測定されるRF力価(>1:80)は,RAの確認に役立つ。
RFは,現在,比濁法で最も多く測定され,正常範囲は検査施設によって異なる。
抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体は,RAに高い特異性(90%)と感受性(96%)を有する。抗CCP抗体は,初期の多発関節炎の鑑別診断に有用である。
X線上では,罹患して最初の数カ月は軟部組織の腫脹しかみられない。
その後,関節周囲の骨粗鬆症,関節裂隙(関節軟骨)の狭小化,辺縁のびらんが現れることがある。
びらんは最初の1年以内にしばしば発症するが,あらゆる時点で生じうる。
MRIはより感度が高いようであり,より初期の関節の炎症やびらんを検出する。
RAが診断されたら,追加的な試験を行うと合併症や予想外の異常を検出するのに役立つ。
全血球計算(CBC)および血液像を得るべきである。
正色素性(またはわずかに低色素性)正球性貧血は,患者の80%に生じ,ヘモグロビンは,通常10g/dLを超える。
Hbが10g/dL未満であれば,混合型の鉄欠乏またはその他の貧血の原因を考慮すべきである。
好中球減少は症例の1〜2%に起こり,しばしば脾腫を伴う(フェルティ症候群)。
急性期反応物質(例,血小板増加症,ESRの上昇,C反応性蛋白の上昇)は,疾患の活動性を反映する。
軽度の多クローン性高γグロブリン血症がしばしば生じる。
ESRは,活動性疾患の患者の90%で亢進する。血清補体価は正常または上昇している。
滑液検査は,新規の関節炎の発症時または滑液の貯留時には,その他の疾患を除外し,RAをその他の炎症性の関節炎(例,敗血症性関節炎および結晶誘発性関節炎)と鑑別するために必要である。
RAにおいて,関節の活動性の炎症の間,滑液は混濁し,黄色,無菌であり,粘度は低下し,白血球数は通常10,000〜50,000/μLであり,多形核球(PMN)が典型的に優位を占めるが,リンパ球および,その他の単核細胞は50%を超えることがある。
白血球の細胞質封入体は湿性の塗抹標本中にみられることがあるが,その他の炎症性の滲出液中にも存在する。結晶類は存在しない。
鑑別診断:
多くの疾患は,RAに類似していることがある。
一部の結晶誘発性関節炎の患者は,RAの判定基準を満たすことがあるが,滑液検査で診断が明らかとなるはずである。
結晶が存在すればRAである可能性は低い。
関節障害や皮下結節は,RAの他に痛風,コレステロール,アミロイドーシスから起こることもあり,結節の吸引または生検が必要でありうる。
SLEは,露光部の皮膚病変,脱毛症,口部と鼻部の粘膜の病変,長期においても非びらん性の関節炎,関節滑液の白血球数がしばしば2000個/μL未満(主に単核細胞),2本鎖DNAに対する抗体,腎疾患,低値の血清補体価により,通常は鑑別しうる。
RAと類似している関節炎は,さらにその他の結合組織疾患(例,多発動脈炎,強皮症,皮膚筋炎,多発性筋炎)でも起こり,複数の疾患の特徴を示すことがあり,それは重複症候群または混合結合組織病を示唆する。
サルコイドーシス,ホウィップル病,多中心性細網組織球症,その他の全身性疾患は,関節を侵すことがあり,その他の臨床像や組織生検は,ときにこれらの病状を見分けるのに役に立つ。急性リウマチ熱は,関節障害の移動パターンや先行する連鎖球菌性感染の所見(培養または,抗ストレプトリジン-O価の変化)を有し,対照的に,RAは相加的に関節炎を有する。
反応性関節炎(関節疾患: 反応性関節炎を参照 )は,先行する胃腸症状または尿生殖器症状;踵,仙腸関節,下肢大関節の非対称の障害;結膜炎;虹彩炎;無痛の頬部の潰瘍;連環状亀頭炎;足底やその他の部位の膿漏性角皮症によって鑑別しうる。さらに,血清および滑液の補体価はしばしば上昇する。
乾癬性関節炎(関節疾患: 乾癬性関節炎を参照 )は非対称の傾向があって,通常RFと関連していないが,爪または皮膚に病変がない場合,鑑別は困難である。
遠位指骨間(DIP)関節の障害と高度に破壊性の関節炎(破壊性関節炎)により示唆されうる。
強直性脊椎炎(関節疾患: 強直性脊椎炎を参照 )は,脊椎と軸性の関節障害,皮下結節がないこと,RFテストの陰性結果によって鑑別しうる。
変形性関節症(関節疾患: 変形性関節症(OA)を参照 )は,障害関節; リウマチ結節がないこと,全身症状,またはRFの著明な量; 滑液のWBC数が 2000個/ μL未満であることによって鑑別しうる。
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