コバラミンは,生物学的ビタミンB12の作用を有する化合物の一般的用語である。
これらの化合物は,核酸代謝,メチル転移,ミエリン合成および修復に関与している。
また,正常な赤血球の生成に必要である。
食物中のビタミンB12は,胃の酸性環境に放出され,R蛋白に結合している。
膵酵素が,小腸でこのB12複合体(B12-R蛋白)を切断する。
切断後,胃粘膜の壁細胞から分泌される内因子は,ビタミンB12と結合する。
内因子は,回腸末端におけるビタミンB12の吸収に必要である。
血漿中のビタミンB12は,トランスコバラミンTおよびUと結合している。
トランスコバラミンUは,主にビタミンB12を組織へ運搬する役割を担っている。
肝臓は,大量のビタミンB12を貯蔵している。
腸肝循環による再吸収は,ビタミンB12の保持を助けている。
内因子欠如の場合は,肝臓に貯蔵されているビタミンB12で,正常に3〜6年間生理的必要量を保持できるが,腸肝循環による再吸収能の欠如の場合は,数カ月から1年しか保持できない。
大量のビタミンB12を一般強壮薬として使用すべきではないが,大量でなければ毒性はないと思われる。
●ビタミンB12欠乏症
食事性ビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収によるが,ビタミン補給剤を摂らない完全菜食者に欠乏症が起こることがある。
欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,末梢神経障害が起こる。
診断は通常,血漿ビタミンB12値の測定によって行う。
シリングテストは,病因を決定するのに役立つ。
治療は,経口または非経口によるビタミンB12投与からなる。
葉酸は,貧血を軽減することがあるが,神経障害を進行させることもあるため,ビタミンB12の代わりに使用すべきではない。
肝臓の貯蔵(正常では豊富)が限られ,かつ急速な成長速度により,需要が高い場合(例,完全菜食の母親の母乳栄養児において),月齢4〜6カ月までに欠乏症が起こることがある。
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