2014年07月03日

全身性エリテマトーデスとは(4)

●全身性エリテマトーデスの予後

経過は通常,慢性,再発性で予測が不可能である。

寛解は,何年も持続することがある。

初期の急性期がコントロールされる場合, たとえきわめて重症である(例,脳血栓症または重症の腎炎)としても,長期的な予後は通常良好である。

ほとんどの先進諸国の10年生存率は,95%を超える。

予後が改善されたのは,一部には早期の診断と有効な治療法に起因する。

より重症の疾患にはより毒性の強い治療法が必要であり,それは死亡のリスクを増大する。

そのような合併症の例には,免疫抑制による感染症と,長期間にわたるコルチコステロイド投与による冠動脈疾患または骨粗鬆症が含まれる。


●治療

治療を簡単にするために,SLEを,軽度(発熱,関節炎,胸膜炎,心膜炎,頭痛,発疹)または重度(例,溶血性貧血,血小板減少性紫斑病,広範囲の胸膜および心膜の障害,重大な腎障害,四肢や胃腸管の急性脈管炎,病勢盛んな中枢神経系障害)に分類すべきである。


軽度または弛張性の場合: ほとんどまたは全く治療が必要ないことがある。

関節痛は通常,NSAIDによりコントロールする。

アスピリン(80〜325mgを1日1回)は,抗カルジオリピン抗体と関連する血栓傾向の患者と血栓事象がこれまでにない患者に有用であるが,SLE患者に大量投与すると肝毒性を起こしうる。

抗マラリア薬は,特に関節と皮膚症状が著明であるときに有用である。

ヒドロキシクロロキン200mgの1日1回または1日2回の経口投与がよく行われる。

その他の選択肢には,クロロキン250mg,1日1回の経口的投与や,キナクリン50〜100mg,1日1回の経口的投与などがある。

これらの薬物の併用もときに行われる。ヒドロキシクロロキンは,網膜毒性を発生しうる。眼を6カ月毎に検査すべきである。



重度の場合: 重度の場合:コルチコステロイドは,第一選択の治療法である。

プレドニゾンと免疫抑制薬の併用は,活動性で重篤なCNSループス,特に内臓または神経を侵す脈管炎,活動性で可逆性のループス腎炎に推奨される。

プレドニゾンは通常40〜60mgを1日1回経口投与するが,用量はSLEの症状に応じて変わりうる。

経口アザチオプリン1〜2.5mg/kg,1日1回投与または経口シクロホスファミド1〜4mg/kg,1日1回投与を,免疫抑制薬として使用しうる。

腎障害には,毎日の経口投与の代わりにシクロホスファミドの“適用量”を通常間欠的に静注し,例えば,約500mg〜1g/m2 を(膀胱を保護するためにメスナおよび補液とともに)6カ月間は毎月静注し,その後18カ月間は3カ月に1回静注する(腎毒性または血液学的毒性があれば頻度を減らす。




CNSループスまたはその他の危機的症状には,3日連続でメチルプレドニゾロン1gの緩徐な(1時間)静注がしばしば初期の治療法であり,その後,前述のように静注シクロホスファミドを静注する。ミコフェノール酸モフェチル500〜1000mgの1日1回または1日2回の経口投与は,腎性SLEに対するシクロホスファミドに代わるものである。5日間連続の免疫グロブリンG(IgG)400mg/kg,1日1回静注は,抵抗性血小板減少症に有用でありうる。幹細胞の動員後のシクロホスファミド2g/m2の静注を伴った幹細胞の移植は,抵抗性SLEの患者に試験的に施行されている。移植は,末期腎疾患に適用しうる。

重度のSLEの改善にはしばしば4〜12週間を要し,コルチコステロイドを減らすまでは明らかにならないことがある。大脳,肺,胎盤の血管の血栓症または塞栓症は,ヘパリンによる短期的な治療とワルファリンによる長期的な治療を必要とし,国際標準比3を目標とする(ときに生涯にわたる)。



posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己免疫疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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