特に若い女性で,何らかのSLEの症状および徴候がある患者ではSLEを疑うべきである。
しかしながら,SLEの初期の段階は,関節炎の症状が優勢である場合,RAを含むその他の結合(または非結合)組織疾患に類似する。
混合結合組織病はSLEに類似していることがあるが,さらに全身性硬化症,リウマチ様多発関節炎,多発性筋炎または皮膚筋炎の特徴を伴うことがある。
治療に起因する免疫抑制の結果として発病する感染症もまた,SLEに類似していることがある。
臨床検査は,SLEをその他の結合組織疾患と鑑別する;抗核抗体(ANA),CBC,尿検査,腎機能検査および肝臓機能検査を含む化学プロフィールを得るべきである。
SLEの診断は,自己免疫リウマチ性疾患:
SLEであると推測されるが,診断が確定ではない場合,自己抗体の追加的な検査が有用でありうる。
診断を確定するには,数カ月または数年にわたって反復評価を必要とすることがある。
ANAの蛍光検査は,SLEのスクリーニングに最適であり,SLE患者のうち98%を超える人がANA検査に陽性を示す(通常は高力価:> 1:80)。
しかしながら,RA,その他の結合組織病,悪性腫瘍の患者も,さらには健常な人の1%さえもANA検査で陽性を示しうる。
ヒドララジン,プロカインアミド,β-遮断薬,腫瘍壊死因子(TNF)-α拮抗薬のような薬物は,ループス(狼瘡)様症候群と同様にANA検査結果を陽性にしうるが, 薬物の投与を中止すると,ANAは最終的には陰性になる。
ANAが陽性であれば,抗二本鎖DNA抗体の検査を迅速にすべきであり,高値であることはSLEにきわめて特異的であるが,SLE患者のわずか25〜30%にしか示されない。
SLEの診断が別の方法でも明らかでない場合は,その他のANAや抗細胞質抗体(例,Ro[SSA],La [SSB],Sm,RNP,Jo-1)を調べるべきである。
Roは,主に細胞質であり,抗Ro抗体は,ときに慢性皮膚ループスを示すANA陰性のSLE患者に存在する。
抗Ro抗体は新生児ループスと先天性心ブロックの原因抗体である。
抗Sm抗体はSLEにきわめて特異的であるが,抗2本鎖DNA抗体と同様に感度が高くない。
白血球減少症はよくみられ,疾患が活動性であればリンパ球減少症が起こる。
溶血性貧血を起こしうる。SLEの血小板減少症を特発性血小板減少性紫斑病と鑑別することが,患者がANA陽性であることを除いては困難または不可能である。
SLE患者の5〜10%が梅毒血清検査に偽陽性を示す。
それはループス抗凝固因子や部分トロンボプラスチン時間(PTT)の延長と関連している可能性がある。
これらの検査の1つ以上に異常な値が示された場合,抗リン脂質抗体(例,抗カルジオリピン抗体)の存在が示唆され,次には直接ELISA(enzyme-linked immunosor-bent assay,酵素結合イムノソルベント検定法)で測定すべきである。
β2-糖蛋白Iに対する抗体は,おそらくより感度が高い。
抗リン脂質抗体陽性例は,動脈または静脈の血栓,血小板減少症,さらに妊娠中は自然流産または後期死産が起こりうる。
その他の試験は,重症度を監視し,治療の必要性を判定するのに役立つ。血清補体価(C3,C4)は疾患が活動時にはしばしば抑制され,通常は活動性腎炎の患者で最も低い。
ESRは疾患の活動期にはほぼ一様に上昇する。C反応性蛋白(CRP)値を測定する必要はない(SLE患者の場合,ESRが100mm/時を超える場合でさえ顕著に低い)。
腎臓障害のスクリーニングは,尿検査から始まる。
RBC(赤血球)と顆粒円柱は活動性腎炎を示唆する。
尿検査は定期的に,場合によって6カ月毎に,見かけ上寛解している患者にも実施すべきである。
しかしながら,生検で実証された腎障害にもかかわらず,尿検査は繰り返し正常でありうる。
腎生検は,SLEの診断や腎障害の確認のためには通常は必要ないが,腎疾患の状態を評価(すなわち,活動性の炎症か,炎症後の瘢痕かを判定)し,治療法を指導するために役立ちうる。
慢性腎機能不全症と大部分が硬化した糸球体を有する患者は,積極的な免疫抑制療法により利益を得る可能性は低いようである。
ラベル:全身性エリテマトーデス