2014年06月19日

感染性心内膜炎について

●感染性心内膜炎について

感染性心内膜炎とは心内膜の感染症であり,通常は細菌(一般的にはレンサ球菌およびブドウ球菌)または真菌による。

感染性心内膜炎は,発熱,心雑音,点状出血,貧血,塞栓現象,および心内膜の疣贅を引き起こす。

疣贅は弁の機能不全や閉塞,心筋膿瘍,または真菌性動脈瘤を引き起こしうる。

診断には血中微生物の証明,および通常は心エコー検査が必要である。

治療には長期にわたる抗菌薬療法を用い,ときに手術を施行する。

心内膜炎は年齢を問わず起こりうる。

男性は女性の約2倍の割合で罹患する。

静注薬物乱用者や免疫不全状態の患者は最もリスクが高い。



●感染性心内膜炎の病態生理と病因

正常な心臓は感染に対して比較的抵抗力がある。

細菌および真菌は心内膜表面に容易には付着せず,一定の血流が菌の心内膜組織への定着を防ぐ助けとなる。

したがって,心内膜炎には一般的に2つの要因,すなわち素因となる心内膜の異常および血流中の微生物(菌血症)が必要である。

まれに,重篤な菌血症または特に病原性の高い微生物により,正常な弁に心内膜炎が生じる。




●心内膜に関する要因:

心内膜炎は通常,心臓弁を侵す。

主な素因は,先天性心臓欠陥,リウマチ性の弁膜症,二尖弁または石灰化した大動脈弁,僧帽弁逸脱,肥大型心筋症である。

人工弁は特にリスクが高い。ときに壁在血栓,心室中隔欠損,動脈管開存部位に感染することがある。

実際の感染病巣は通常,傷害された内皮細胞が組織因子を放出する際に形成される無菌性のフィブリンと血小板の疣贅である。

感染性心内膜炎は左心系に生じることが最も多い(例,僧帽弁または大動脈弁)。

症例の約10〜20%は右心系である(三尖弁または肺動脈弁)。

静注薬物乱用者は右心系の心内膜炎の発生率がはるかに高い(約30〜70%)。



●微生物:

心内膜に感染する微生物は,遠隔の感染部位(例,皮膚膿瘍,UTI)に由来する場合もあるが,中心静脈カテーテルまたは薬物注射部位など侵入門戸が明らかな場合もある。

植え込まれた異物(例,脳室または腹腔シャント,器具)はほとんどどのようなものでも細菌コロニー形成のリスクを有するため,菌血症ひいては心内膜炎の感染源となる。

心内膜炎は,侵襲的な歯科的,内科的,外科的な手技において典型的に起こる無症候性の菌血症によっても生じうる。

歯肉炎患者においては歯磨きや咀嚼で菌血症(通常は緑色レンサ球菌による)が生じることもある。


原因菌は感染部位,菌血症の感染源,宿主の危険因子(例,静注薬物の乱用)により異なるが,全体としては80〜90%の症例がレンサ球菌および黄色ブドウ球菌に起因する。

腸球菌,グラム陰性桿菌,HACEK微生物(グラム陰性桿菌: HACEK群感染症を参照 および心内膜炎: 心内膜炎に対する抗生物質療法),および真菌がその他のほとんどの症例の原因菌となっている。

なぜレンサ球菌およびブドウ球菌が疣贅にしばしば付着し,なぜグラム陰性好気性桿菌がめったに付着しないのかは不明である。

しかしながら,フィブロネクチンに対する黄色ブドウ球菌の付着能は,緑色レンサ球菌によるデキストラン生成と同様に一定の役割を果たしている可能性がある。

微生物は疣贅にコロニーを形成した後,フィブリンや血小板の層で覆われ,好中球,免疫グロブリン,および補体の接触を受けないようになり,これによって宿主の防御機構を遮断する。



●結果: 心内膜炎の結果は局所および全身に生じる。

局所に生じる結果には,組織破壊を伴う心筋膿瘍の形成,ときに伝導系の異常(通常は中隔下部の膿瘍を伴う)などがある。重度の弁逆流が突然生じ,心不全や死亡に至る場合がある(通常は僧帽弁または大動脈弁病変による)。隣接部位への感染の波及が大動脈炎をもたらすことがある。人工弁感染は特に,弁の閉塞,裂開,および伝導障害の所見を呈する弁輪膿瘍,閉塞性疣贅,心筋膿瘍,真菌性動脈瘤を生じやすい。

全身に生じる結果は主に心臓弁から遊離した感染物質の塞栓形成が原因となり,主に慢性感染症,免疫介在性の現象にみられる。右心系病変は,典型例では敗血症性肺塞栓を生じ,肺梗塞,肺炎,または膿胸に至ることがある。左心系病変は,あらゆる臓器,特に腎臓,脾臓,中枢神経系の塞栓を招く。真菌性動脈瘤はどの主要動脈にも形成されうる。皮膚および網膜の塞栓が一般的にみられる。びまん性糸球体腎炎は,免疫複合体の沈着が原因となって生じる場合がある。


タグ:心臓の病気
posted by ホーライ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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