2014年06月14日

統合失調症患者の治療

●統合失調症患者の治療

精神病症状の発現と初回治療までの期間は,初回治療効果発現の速さ,治療効果の質,そして陰性症状の重症度と相関する。

早期に治療を受ければ,より迅速かつ十分な治療効果が得られる傾向がある。

初回エピソード後に抗精神病薬を継続使用しなければ,70〜80%の患者は12カ月以内にエピソードが再発する。

抗精神病薬の継続的使用は,1年再発率を約30%にまで低減できる。



全般的目標は,精神病症状の重症度を抑え,症状エピソードの再発とそれに伴う機能的能力の悪化を防止し,患者が可能なかぎり高い水準で機能できるよう援助することである。

抗精神病薬,地域支援サービスによるリハビリテーション,精神療法が治療の主な構成要素である。

統合失調症は長期にわたる再発性疾患であるため,患者に疾患の自己管理技術を教えることが重要な全般的目標のひとつとなる。

薬物は,神経伝達物質受容体への特異的親和性と活性に基づき,従来型抗精神病薬と第2世代抗精神病薬(SGA)に分けられる。

SGAは,やや有効性に優れていること(ある種のSGAではこの若干の利点に疑問があるが)と,不随意運動障害および関連の副作用発現の可能性が少ないという点で,幾分利点が大きいと考えられる。

従来型の抗精神病薬: これらの薬物( 統合失調症と関連障害: 従来型の抗精神病薬表 1: 表を参照)は,主としてドパミン-2受容体を遮断することにより作用する(ドパミン-2遮断薬)。

従来型の抗精神病薬は高力価,中力価,または低力価に分類できる。

高力価の抗精神病薬はドパミン受容体に対する親和性が高く,α-アドレナリン受容体およびムスカリン受容体に対する親和性が低い。

低力価の抗精神病薬は用いられることはまれだが,ドパミン受容体に対する親和性が低く,α-アドレナリン,ムスカリン,およびヒスタミン受容体に対して比較的高い親和性をもつ。

様々な薬物が錠剤,液剤,短時間作用型および長時間作用型筋注製剤として市販されている。

具体的な薬物の選択は,主に副作用プロフィール,必要とされる投与経路,および患者の当該薬物に対するこれまでの反応に基づいて行う。

統合失調症の薬一覧.html


従来型の抗精神病薬には,鎮静作用,認知能力の低下,ジストニアと筋硬直,振戦,プロラクチン値の上昇,体重増加といった複数の副作用がある(副作用の治療については精神的な訴えがある患者へのアプローチ: 抗精神病薬の急性副作用に対する治療を参照 表 3: 表 )。

アカシジア(静坐不能)は特に不快なもので,服薬不遵守につながることがある。

またこれらの薬物は,不随意運動障害である遅発性ジスキネジアを惹起することがあり,最もよくみられる特徴は唇と舌をすぼめたり,腕や脚をねじるものである。

従来型の抗精神病薬を投与した患者における遅発性ジスキネジアの発生率は,薬物への暴露1年当たり約5%である。

約2%では,遅発性ジスキネジアにより外観が著しく損なわれる。

一部の患者では,投薬中止後も永続する。

こうしたリスクがあるため,長期維持療法を行う患者では少なくとも6カ月毎に評価を行うべきである。

異常不随意運動尺度のような評定尺度を用いてもよい。


神経遮断薬悪性症候群は,まれではあるが死に至る可能性のある副作用であり,硬直,発熱,自律神経不安定,クレアチニンホスホキナーゼ値の上昇(精神的な訴えがある患者へのアプローチ: 抗精神病薬の副作用も参照 )を特徴とする。


統合失調症患者の約30%には,従来型の抗精神病薬は無効である。第2世代抗精神病薬のひとつ,クロザピンが奏効することがある。




●第2世代抗精神病薬: SGAはドパミン受容体とセロトニン受容体の両方を遮断することにより作用する(セロトニン-ドパミン受容体拮抗薬)。

SGAには陽性症状を軽減する傾向があり,従来型の抗精神病薬に比べて陰性症状を大幅に改善することがある(ただし,そうした差は疑問視されている);認知能力の低下を生じることは少ないと思われる;錐体外路系(運動性)副作用を生じる可能性は少ない;遅発性ジスキネジアのリスクは低い;一部のSGAはプロラクチン値の上昇をほとんど,あるいは全くもたらさない。



クロザピンは,従来型の抗精神病薬に抵抗性を示す患者の最大50%に有効であることが示された唯一のSGAである。

クロザピンは陰性症状を低減し,運動性の副作用をほとんど全く生じず,遅発性ジスキネジアのリスクもほとんどないが,鎮静作用,低血圧,頻脈,体重増加,2型糖尿病,唾液分泌亢進など他の副作用がある。

また用量依存的に発作が生じることがある。



最も重篤な副作用は無顆粒球症で,患者の約1%に発生する。

したがって,白血球数の頻繁なモニタリングが必要であり,一般的にクロザピンは他の薬物の効果が不十分だった患者にのみ使用される。

新しいSGAはクロザピンの利点を多く備える一方で,無顆粒球症のリスクがなく,一般に従来型の抗精神病薬よりも急性エピソードの治療や再発予防に向いている。

新しいSGAの有効性は互いによく似通っているが,副作用に違いがあるため,個々の反応と他の薬物の特徴に基づいて薬物を選択する。

例えば,オランザピンは鎮静作用を示す割合が比較的高く,著明な激越や不眠のある患者に処方されると考えられる;鎮静作用の少ない薬物は,嗜眠のある患者の場合に好まれるであろう。



有効性を評価するには通常4〜8週間投薬を試みることが必要である。

急性症状が安定した後は維持療法が開始されるが,そこでは症状の再発を防ぐ最低量を用いる。

リスペリドンは長時間作用型の注射製剤が唯一利用可能なSGAである。



体重増加,高脂血症,および2型糖尿病のリスク上昇がSAGの主な副作用である。

そのため,SAGによる治療開始前に,全ての患者について糖尿病の既往/家族歴,体重,ウエスト周囲長,血圧,および空腹時血漿中グルコースおよび脂質プロフィールなどのリスク要因のスクリーニングを実施すべきである。

糖尿病性ケトアシドーシス(悪心,嘔吐,脱水症,呼吸速迫,意識の混濁)を含む糖尿病の徴候と症状(多尿,多飲,体重減少)について,患者と家族の教育を行うべきである。

さらに,SGAの投与を開始する全患者に対して栄養および運動に関するカウンセリングも行うべきである。

SGA治療中の全患者について,体重,BMI,および空腹時血糖の定期的なモニタリングが必要であり,高脂血症または2型糖尿病を発症した患者は評価のために専門科への紹介が必要である。


(続く)


posted by ホーライ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 統合失調症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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