2014年06月12日

統合失調症の症状と徴候

●統合失調症の症状と徴候


統合失調症はいくつかの段階を経て進行する慢性疾患であるが,各段階の持続期間とパターンは様々である。

医療機関を受診する平均12〜24カ月前には,統合失調症患者は精神病症状を発症していることが多い。

病前期には,患者は症状を示さないか,あるいは社会的能力の障害,軽度の認知的解体または知覚の歪み,喜びを経験する能力の低下(快感消失),および他の全般的対処能力の欠如が認められることがある。

こうした特性は,回顧的にのみ認められる軽度のものもあれば,社会的,学業的,職業的機能の障害を伴い,より顕著に認められるものもある。




前駆期には,引きこもりや孤立,焦燥,猜疑心,異常な思考,知覚の歪み,および解体などの非顕性症状が現れることがある。

顕在的な統合失調症(妄想と幻覚)の発現は,急激(数日または数週間)なこともあれば,緩慢で潜行性(数年間)のこともある。

中間期には,症状のある期間はエピソード的であることもあれば(同定可能な増悪と寛解を伴う),持続的なこともある;機能障害は悪化する傾向がある。

疾患後期には,疾病パターンが確立されて障害が安定するか,あるいは減少することさえある。




一般に,症状は陽性症状,解体症状,陰性症状,および認知症状に分類される。

陽性症状は正常な機能の過剰ないし歪みにより特徴づけられる;陰性症状は正常な機能の低下ないし喪失によって特徴づけられる。

解体症状には,思考障害と奇異な行動が含まれる。



認知症状には,情報処理と問題解決の障害がある。1人の人間が1つのカテゴリーの症状だけを示すこともあれば,全カテゴリーの症状を示すこともある。

陽性症状はさらに妄想と幻覚,あるいは思考障害と奇異な行動とに分類できる。

妄想とは間違った確信である。

被害妄想では,患者は自分が責めさいなまれている,尾行されている,騙されている,スパイされているなどと信じている。

関係妄想では,患者は本や新聞,歌詞,その他自分の周囲にあるちょっとした言い回しが自分のことを指していると信じている。

思考奪取または思考吹入に関する妄想では,患者は他人が自分の心を読める,自分の考えが他人に伝わっている,あるいは考えや衝動が外の力によって自分に押しつけられていると信じている。




幻覚は聴覚,視覚,嗅覚,味覚,または触覚に起こるが,幻聴が最も多くみられる。

患者は自分の行動にコメントしたり,互いに会話を交わしたり,あるいは批判し罵倒する声を聞くことがある。

妄想と幻覚は患者をひどく悩ませることもある。



思考障害には解体した思考が含まれ,話題がとりとめなくあちこちに飛び,何を話したいか定かではない。

会話は多少まとまりを欠くものから支離滅裂で意味不明なものまで幅がある。



奇異な行動には子供じみた愚行,激越,外観や衛生面や振る舞いの不適切さなどがある。


緊張病とは,硬直した姿勢を保ち,動かそうとすると抵抗する,あるいは誘因のない無目的な運動行為に没頭するといったことを含む極端な行動である。

陰性(欠陥)症状には感情鈍麻,会話の乏しさ,快感消失,非社交性などがある。


感情鈍麻があると,患者の顔は能面のようになり,アイコンタクトに乏しく,表情がない。

会話の乏しさは,口数の少なさと質問に対するそっけない答えを指すもので,空虚な内面の印象を生み出す。



快感消失は,活動への関心の欠如と無目的な活動の増加により表されることがある。


非社交性は人間関係に対する関心の欠如により示される。

陰性症状はしばしば意欲の乏しさと目標・目的意識の低下につながる。



認知障害には,注意力,処理速度,作業記憶,抽象的思考,問題解決,社会的相互作用の理解の障害などがある。

患者の思考は柔軟性に欠け,また問題を解決し,他者の見解を理解し,経験から学ぶ能力が減弱することがある。

統合失調症の症状は機能遂行能力を損なうのが典型で,しばしば仕事や社会的関係,自己管理が著しく妨げられる。

失業,孤立,関係の悪化,そしてQOLの低下が共通の転帰である。



認知障害の重症度は,全般的な能力障害の主な決定因子である。



亜型: 統合失調症ではこれまでに5つの亜型が記述されている:すなわち,妄想型,解体型,緊張型,残遺型,および鑑別不能型である。

妄想型統合失調症は,妄想または幻聴により特徴づけられ,認知と感情は保持される。

解体型統合失調症は,会話の解体,行動の解体,感情の平板化または不適切さにより特徴づけられる。

緊張性統合失調症では,不動状態あるいは過度の運動活動性および奇異な姿勢をとるなどの身体的症状が優位である。

鑑別不能型の統合失調症では諸症状が混在している。

残遺型統合失調症では,より顕著な症状をもつ明確な統合失調症の病歴があり,その後に軽度の陰性症状が長期間続く。

これとは別に,統合失調症を感情鈍麻,意欲の欠如,目的意識の減弱といった陰性症状の有無およびその重症度に基づいて欠陥型と非欠陥型に分類する専門家もいる。

欠陥型の患者は他の要因では説明できない顕著な陰性症状(例,抑うつ,不安,刺激のない環境,薬物の副作用)を示す。非欠陥型の患者は妄想,幻覚,および思考障害をもつことがあるが,陰性症状を示すことは比較的少ない。




自殺: 統合失調症患者の約10%は自殺する。

自殺は統合失調症患者における早死の主な原因で,この疾患の患者の寿命が平均して10年短い理由を一部説明するものとなっている。

発症が遅く病前の機能が良好な妄想型の患者―回復については最もよい予後を示す患者―は,自殺のリスクが最も大きな患者でもある。

これらの患者は悲嘆や苦悩する能力を維持しているため,自分の障害がもたらす影響を現実に認識し,絶望のうちに行動しやすいと思われる(自殺行為も参照 )。



暴力: 暴力行為に関しては,統合失調症は比較的軽度のリスク要因となっている。

暴力の脅しや幾分攻撃的なかんしゃくの方が,本当に危険な行動よりもはるかに多い。

重大な暴力をふるう可能性が高い患者には,物質乱用,迫害妄想,または命令幻聴のある人や,処方された薬物を服用しない人が含まれる。

ごくまれに,ひどいうつ状態にある孤立した妄想型の患者が,自分の苦痛の唯一の源とみなす相手(例,権威者,有名人,自分の配偶者)を襲ったり殺したりすることがある。

統合失調症患者は,食べ物や避難場所や必要なケアを得ようと暴力で威嚇し,そのために救急施設にやってくることがある。


(続く)

posted by ホーライ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 統合失調症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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