2014年05月14日

喘息の治療

●喘息の治療

喘息―慢性疾患および急性増悪ともに―の治療には,誘発因子のコントロール,疾患の重症度に合わせた薬物治療,治療への反応と疾患の進行のモニタリング,疾患の自己管理が最大限できるようにする患者教育などがある。

治療の目的は,増悪および夜間覚醒などの慢性症状の予防,救急診療部の受診や入院の必要性の最小化,ベースラインの(正常の)肺機能と活動レベルの維持,治療による有害作用の回避などである。



●誘発因子のコントロール: 誘発因子は,一部の患者では,合成繊維の枕および不浸透性の敷布団カバーの使用,シーツ,枕カバー,毛布を湯で頻繁に洗うことで抑制される。

布張りの家具,ぬいぐるみ,絨毯,ペットは避けるべきで(チリダニ,動物のふけ),除湿機を地下室やその他の通気が悪く湿気の多い部屋では使用すべきである(カビ)。

住宅のスチームによるケアによってチリダニアレルゲンは減少する。

誘発因子の抑制が都市環境の中では困難であるからといって,こうした措置の重要性が減るわけではない;ゴキブリへの暴露を住宅の清掃や駆除により回避することは特に重要である。

高性能微粒子(HEPA)電気掃除機やフィルターにより症状は緩和しうるが,それが肺機能および薬物投与の必要性に影響を及ぼすかは証明されていない。



亜硫酸塩に感受性のある患者は赤ワインを避けるべきである。

タバコの煙,強い香り,刺激ガス,低温,高湿度,運動などの非アレルギー性の誘因も,可能なら回避または抑制すべきである。



アスピリン誘発性喘息患者には,アセトアミノフェン,サルチル酸コリンマグネシウム,またはシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬をNSAIDの代わりに使用できる。

喘息は,局所製剤を含む非選択的β遮断薬の使用の相対的禁忌であるが,心選択性薬(例,メトプロロール,アテノロール)では,おそらく有害作用は起こらない。

薬物療法: 慢性喘息および喘息増悪の治療に一般的に用いられる主な薬物群には,気管支拡張薬(β作動薬,抗コリン薬),コルチコステロイド,肥満細胞安定薬,ロイコトリエン修飾薬,メチルキサンチン類がある。

これら薬物群の薬物は吸入または経口で投与される;吸入薬には霧状および粉末状のものがある。

霧状の吸入薬をスペーサーまたはチャンバーを付けた吸入器で投与すると,薬剤が喉頭よりも気道に沈着しやすくなる;細菌汚染を防ぐために,スペーサーは使用するたびに洗って乾かすよう,患者に指示すべきである。

さらに,霧状の吸入薬を使用するには,吸入器の作動(薬剤の供給)と患者の吸入を一致させる必要がある;粉末状の吸入薬は,患者が吸入するときにだけ薬剤が供給されるので調整の必要性は少ない。

さらに,粉末状の吸入薬では,過フッ化炭化水素噴霧剤の環境への放出が軽減される。





β作動薬(βアドレナリン作動薬)は気管支平滑筋を弛緩させ,肥満細胞の脱顆粒およびヒスタミン放出を減らし,気道への微小血管からの漏出を抑制し,粘膜線毛クリアランスを高める。

β作動薬には短時間作用型および長時間作用型がある。



短時間作用型のβ作動薬(例,アルブテロール)は,急性の気管支収縮の緩和および運動誘発性気管支収縮の予防のための選択薬で,必要に応じて2〜8パフの吸入投与を行う。

数分以内に効果が現れ,薬によって最大6?8時間作用する。

長時間作用型の薬物(就寝時に,または1日2回吸入,最大12時間作用する)は,中等症または重症の喘息ばかりではなく,夜間の覚醒を引き起こす軽症の喘息にも用いられる。

また,長時間作用型β作動薬は,吸入コルチコステロイドと相乗的に作用するので,コルチコステロイドの用量を減量できる。



経口β作動薬は全身作用がより強いので,一般には避けるべきである。

頻脈および振戦が,吸入β作動薬の最も一般的な急性の有害作用で,用量に依存する。低カリウム血症がまれに起こるが,その程度は軽い。



β作動薬の長期常用の安全性には議論がある;常用は,おそらく過剰使用の可能性もあり,死亡率の上昇に関連するが,それが有害作用なのか,あるいは他の薬物では治療が十分ではないため常用しているのかは不明である。

β作動薬の毎日の使用,用量の増加または効果の減弱,もしくは1カ月月に1缶またはそれ以上の使用は,喘息のコントロールが不十分であり,他の治療法を開始または強化する必要があることを示唆する。

レバルブテロール(アルブテロールのR-異性体を含む溶液)の使用は,理論的には有害作用を最小化するが,その長期的効果と安全性は証明されていない。




抗コリン薬は,ムスカリン性(M3)コリン受容体の競合的阻害により気管支平滑筋を弛緩させる。

イプラトロピウムは,喘息に単独で使用すると効果は小さいが,短時間作用型β作動薬と併用すると相加効果がありうる。

有害作用には,散瞳,眼のかすみ,口渇がある。チオトロピウムは24時間作用型の吸入抗コリン薬であるが,喘息への使用は評価が十分に行われていない。



コルチコステロイドは,気道の炎症を阻害し,β受容体のダウンレギュレーションを回復させ,ロイコトリエン合成を遮断し,サイトカインの産生および接着蛋白の活性化を阻害する。

コルチコステロイドは,吸入アレルゲンに対する遅延反応を遮断する(しかし早期反応は遮断しない)。

投与経路には経口,静注,吸入がある。

急性喘息増悪では,初期における全身投与コルチコステロイドの使用がしばしば増悪を回避させ,入院の必要性を減らし,再発を防止し,回復を早める。

経口投与と静注投与は,同等の効果がある。



吸入コルチコステロイドは,急性増悪では有用ではないが,長期の抑制,コントロール,炎症や症状の回復には適応となる。

吸入コルチコステロイドは,経口コルチコステロイドによる維持療法の必要性をかなり減らし,未治療の喘息に特徴的な肺機能の悪化を遅らせたり止めたりすることから,疾患修飾薬と考えられている。

吸入コルチコステロイドの局所の有害作用には,発声障害および口腔カンジダ症があるが,スペーサーの使用および/またはコルチコステロイド吸入後のうがいによって,防止または最小限にできる。

全身性の有害作用は全て用量依存性で,経口でも吸入でも起こりうるし,主に吸入量が800μg/日を超えると起こる。

それらには,副腎-下垂体軸の抑制,骨粗鬆症,白内障,皮膚萎縮,過食症,易傷性などがある。吸入コルチコステロイドが小児の成長を抑制するかは議論がある:ほとんどの子供は予測された成人身長に達する。

非活動性結核がコルチコステロイドの全身投与によって再活性化しうる。





肥満細胞安定薬は肥満細胞からのヒスタミン放出を阻害し,気道反応性亢進を軽減し,アレルゲンに対する早期反応や遅延反応を遮断する。

この薬は運動誘発性およびアレルゲン誘発性の喘息患者に予防的に吸入される;しかし,一度症状が出現してしまうと効果はない。

全ての抗喘息薬の中で最も安全であるが,最も効果が少ない。



ロイコトリエン修飾物質は経口で投与され,軽症持続型から重症持続型までの喘息患者において,長期管理および症状の予防に用いることができる。

主な有害作用は肝酵素の上昇である;極めてまれにチャーグ-ストラウス症候群に似た症候群を発症させる。



メチルキサンチン類は(おそらく非選択的にホスホジエステラーゼを阻害することによって)気管支平滑筋を弛緩させ,また,機序は不明であるが,心筋および横隔膜の収縮能を改善させうる。

メチルキサンチン類はカルシウムの細胞内放出を阻害し,微小血管からの気道粘膜への漏出を減少させ,アレルゲンに対する遅延反応を阻止するようである。

また,気管支粘膜への好酸球の浸潤や上皮へのTリンパ球の浸潤を減少させる。


メチルキサンチン類はβ作動薬の補助薬として長期のコントロールに使用される;徐放性テオフィリンは夜間覚醒の管理に有用である。

この薬は他の薬に比べて有害作用および相互作用が多いため,使用されなくなってきている。有害作用には,頭痛,嘔吐,不整脈,痙攣などがある。


メチルキサンチン類の治療域は狭い;また,複数の薬物(チトクロムP450経路により代謝されるものはどれでも,例,マクロライド系抗生物質)および病態(例,発熱,肝疾患,心不全)がメチルキサンチンの代謝と排泄を変化させる。

血清テオフィリン濃度は定期的にモニターし,濃度は5?15 μg/mL(28〜83 μmol/L)に維持すべきである。


(続く)


posted by ホーライ at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アレルギー性疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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