2014年04月25日

不整脈について(5)

■■■ 不整脈について(5) ■■■

●不整脈の治療(2)

ペースメーカー:

ペースメーカーは電気的事象を感知して,電気刺激を心臓に送ることが必要な場合に反応する。

恒久的ペースメーカーのリードは開胸術により,または経静脈的に設置されるが,緊急時の一時的ペースメーカーのリードは胸壁に設置されることもある。

適応は数多いが,一般に症候性徐脈または高度の房室ブロックが含まれる。

一部の頻脈性不整脈はオーバードライブペーシングにより停止でき,これはより速い心拍で短時間のペーシングを行うことで心室を捕捉するものである;

その後,ペースメーカーは望ましい心拍数まで緩徐化する。

とはいえ,心室性頻拍性不整脈は,植え込み型除細動器のようなペーシングだけでなく心変換および除細動も可能な器具を用いることでより良好に治療される。



ペースメーカーのタイプは3〜5つの文字により示されており,これらの文字は,ペーシングされる心腔,センシングされる心腔,センシング事象に対するペースメーカーの反応(抑制または誘発ペーシング),労作中の心拍数増加の可否(速度変調),多部位ペーシングの可能性(両心房,両心室において,または1つの心腔に2つ以上のペーシングリード)を表している。

例えば,VVIRペースメーカーは心室の事象をペーシング(V)およびセンシング(V)し,センシングされた事象に反応してペーシングを抑制して(I),労作中はレートを増加できる(R)。



VVIおよびDDDペースメーカーは最も一般的に使用されている器具である。

これらは,同等の延命効果をもたらすが,VVIペースメーカーと比較して,生理的ペースメーカー(AAI,DDD,VDD)はAFおよび心不全のリスクを低下させ,生活の質をわずかに改善するようである。


ペースメーカーのデザインの進歩には,低エネルギー回路,新しい電池デザイン,およびコルチコステロイド溶出リード(これはペーシングの閾値を低下させる)が含まれ,これら全てがペースメーカーの寿命を延ばす。

モード切り替えとは,センシング事象に反応してペーシングのモードを自動的に変更することである(例,心房細動中にDDDRからVVIRへ)。


ペースメーカーは,事象の過剰感知や感知低下,ペーシングや捕捉の失敗,または異常レートでのペーシングによる誤作動を生じうる。

頻拍は特に頻度の高い合併症である。

レート変調ペースメーカーは振動,心筋活動,またはMRIの磁場により誘発される電位に反応して刺激を増加させることがある。

ペースメーカー起因性頻拍では,正常に機能している二腔ペースメーカーが,房室結節または逆行性副伝導路を介して心房に伝導される心室性期外収縮またはペーシング拍動を感知し,これが速い周期で反復して心室刺激を誘発する。

正常に機能している装置に関連する合併症にはさらに,二腔ペースメーカーの心室チャネルが心房ペーシングパルスを感知することで心室ペーシングが抑制されるクロストーク抑制や,心室ペーシングが誘発する房室非同期によって漠然とした変動性の脳症状(例,浮遊感),頸部症状(例,頸部拍動),または呼吸器症状(例,呼吸困難)が起こるペースメーカー症候群がある。



外界からの干渉は,外科用電気焼灼器やMRIなどの電磁気源に由来するが,ペースメーカーのジェネレータおよびリードがMRIの磁石の内側にない場合,MRIは安全である。

携帯電話および電子セキュリティ装置は干渉源となる可能性がある;

電話をペースメーカーの近くに置くべきではないが,通常の会話に使用するときは問題にならない。


金属探知機を通過する場合,患者が立ち止まらない限りはペースメーカーの誤作動は起こらない。

移植中の合併症はまれであるが,心筋穿孔,出血,気胸が生じうる。

術後合併症には,感染症,リードの移動,およびパルスジェネレータの移動がある。



以上




posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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