2014年04月16日

糖尿病の概略を説明せよ(2)

●症状と徴候

糖尿病の最も一般的な症状は高血糖症状である:糖尿によって引き起こされた浸透圧利尿が,起立性低血圧や脱水へと進行しうる頻尿,多尿,多飲をもたらす。

重度の脱水は脱力,疲労,および精神状態の変化を引き起こす。

症状は血糖値の変動につれて出現したり消失したりする。

過食は高血糖の随伴症状であるが,典型的には患者の一番の関心事ではない。


高血糖は体重減少,悪心・嘔吐,および視力障害を引き起こす恐れもあり,細菌または真菌に感染しやすくなる。


T型糖尿病患者は典型的には症候性の高血糖を呈し,ときに糖尿病性ケトアシドーシス(DKA,糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病性ケトアシドーシスを参照 )もみられる。

一部の患者は,糖尿病の急性発症に続いて蜜月相(血糖値が基準範囲近くとなる長いが一過性の時期)を経験し,これはインスリン分泌の部分的な回復によるものである。


U型糖尿病患者は症候性の高血糖を呈することもあるが,しばしば無症状であり,患者の病状はルーチンの検査でのみ検出される。

初期症状が糖尿病合併症(後述参照)の症状である患者もおり,糖尿病がしばらく持続していたことが示唆される。

一部の患者では高浸透圧性昏睡が初期にみられ,これは特にストレス下や,コルチコステロイドなどの薬物によって糖代謝がさらに障害されたときに生じる。





●合併症

長年にわたるコントロール不良の高血糖は,主として小血管(細小血管性)および/または大血管(大血管性)に影響を及ぼす複数の合併症につながる。

血管障害の発症機序には,血清蛋白および組織蛋白の糖付加(糖化最終産物形成を伴う),スーパーオキシド産生,シグナル分子プロテインキナーゼCの活性化(血管透過性を亢進させ内皮機能不全を引き起こす),ヘキソサミン生合成経路およびポリオール経路の促進(組織内でのソルビトール蓄積につながる),高血圧症および異常脂質血症(糖尿病に随伴して一般的にみられる),動脈微小血栓,ならびに高血糖および高インスリン血症の炎症誘発効果や血栓誘発効果(血管の自己調節を障害する)がある。

免疫機能不全はもう1つの主要合併症であり,高血糖が細胞性免疫に直接及ぼす影響に起因する。

頻度が高く破壊的な糖尿病の3症状の基礎には細小血管障害がある:3症状とは網膜症,腎症,および神経障害である。

細小血管障害は皮膚の治癒を著しく障害するので,皮膚の完全性がわずかに破壊されただけでも深い潰瘍が生じて容易に感染を起こしうる。

徹底した血糖コントロールによってこれらの合併症の多くを予防できるが,一度生じてしまった合併症は回復しないこともある。





●診断

糖尿病は典型的な症状および徴候によって示され,血糖測定によって確定される。

8〜12時間絶食後の測定(空腹時血糖[FPG])または高濃度ブドウ糖液摂取2時間後の測定(経口ブドウ糖負荷試験[OGTT])が最も優れている(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表参照)。

OGTTが糖尿病および耐糖能障害を診断する感度はFPGよりも高いが,高価で簡便性に乏しく,再現性も低い。

したがって,妊娠糖尿病の診断(妊娠中の合併症: 妊娠中の糖尿病を参照 )および研究目的以外でルーチンに用いられることはまれである。



臨床では,糖尿病または空腹時血糖調節障害は,血糖または糖化ヘモグロビン(HbA1c)の随時測定を用いてしばしば診断される。

随時血糖値が200mg/dL(11.1mmol/L)を上回れば診断がつくが,この値は採血前の食事に影響されることがあり,検査を繰り返して確認しなければならない;糖尿病症状の存在下では2回の検査は不要となる場合もある。

HbA1cの測定結果は,測定前2〜3カ月の血糖値を反映する。

6.5%を上回る値は血糖の異常高値を示す。

しかし,測定法および基準範囲はいまだに標準化されておらず,測定値は偽高値または偽低値となる可能性もある(糖尿病と炭水化物代謝異常症: モニタリングを参照 )。

これらの理由から,HbA1cはFPGやOGTT試験ほど糖尿病の診断において信頼性が高いとは今のところみなされておらず,主に糖尿病コントロールのモニタリングに使用すべきである。



尿糖測定は以前は一般的に使用されていたが,感度も特異度も高くないので,診断やモニタリングにはもはや使用されていない。



T型糖尿病の高リスク者(例,T型糖尿病患者の同胞および子)では,膵島細胞抗体または抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体の有無を検査する場合があり,これらの抗体の発現は臨床的な疾患の発症に先立つ。

しかし,高リスク者に対する予防策として立証されたものはなく,したがってこのようなスクリーニングは通常は研究の場に限られている。



U型糖尿病の危険因子は,年齢45歳以上,肥満,座っていることの多い生活様式,糖尿病の家族歴,血糖調節障害の既往,妊娠糖尿病または4.1kgを上回る産児,高血圧症または異常脂質血症の既往,多嚢胞性卵巣症候群,黒人,ヒスパニック,アメリカインディアンである。

過体重患者(体格指数が25kg/m2以上)におけるインスリン抵抗性のリスクは,血清トリグリセリドが130mg/dL(1.47mmol/L)以上,トリグリセリド/高密度リポ蛋白(HDL)比が3.0(1.8)以上,およびインスリン値が108pmol/L以上になると上昇する。

これらの患者では,血糖値が基準範囲内にある間は少なくとも3年毎に1回,空腹時血糖値異常が明らかにされたならば少なくとも年1回は空腹時血糖値を測定して,糖尿病のスクリーニングを行うべきである(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表を参照)。



全てのT型糖尿病患者では診断の5年後から糖尿病合併症のスクリーニングを開始すべきであり,U型糖尿病患者では診断時からスクリーニングを開始する。

圧覚,振動覚,痛覚,または温度覚の障害について少なくとも年に1回は患者の足を検査すべきであり,これらは末梢神経障害の特徴である。

圧覚はモノフィラメントの触覚計を用いることで最もうまく検査できる(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病患者の足のスクリーニング。図 1: イラストを参照)。

足全体,特に中足骨頭下の皮膚に,ひび割れや,潰瘍形成,壊疽,爪真菌感染,脈拍減弱,脱毛などの虚血徴候がないかを調べる。眼底検査は眼科医が実施すべきである;スクリーニングの間隔については議論があるが,網膜症が確定している患者で年1回から,少なくとも1回の検査で網膜症が認められなかった患者で3年毎までにわたる。

蛋白尿または微量アルブミン尿を検出するために年1回の随時尿検査または24時間尿検査が適応となり,血清クレアチニンを測定して腎機能を評価すべきである。

心疾患のリスクをふまえて,ベースライン時の心電図が重要とみなされることが多い。

脂質プロファイルを少なくとも年1回,異常があるときにはそれよりも頻繁に検査すべきである。



続く

posted by ホーライ at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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