2014年04月16日

糖尿病の概略を説明せよ(1)

糖尿病はインスリン分泌障害および種々の程度の末梢インスリン抵抗性で,高血糖につながる。

初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿である。

晩期合併症は,血管疾患,末梢神経障害,および易感染性である。

診断は血糖測定によって行う。

治療は食事,運動,および血糖値を低下させる薬物で行い,薬物にはインスリンおよび経口血糖降下薬が含まれる。

予後は血糖コントロールの程度によって様々である。



糖尿病(DM)にはT型およびU型の2種があり,特徴の組み合わせによって鑑別される。

発症年齢(若年または成人)または治療の種類(インスリン依存性または非インスリン依存性)を表す用語はもはや正確ではなく,なぜならば年齢群および治療は病型間で重複するからである。




耐糖能異常(耐糖能障害または空腹時血糖障害,糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表を参照)は,正常糖代謝と,加齢に伴って頻度の高まる糖尿病との中間にある,恐らくは過渡期の状態である。

これは糖尿病の有意な危険因子であり,糖尿病発症の何年も前から存在することがある。

心血管疾患のリスク上昇と関連するが,典型的な糖尿病性微小血管合併症は一般に生じない。




T型:

T型糖尿病(従来は若年発症型またはインスリン依存型と呼ばれた)では,自己免疫性の膵β細胞破壊が原因でインスリン産生が欠如しており,この破壊は恐らく遺伝的に感受性の高い集団の環境暴露によって誘発される。

破壊は数カ月または数年かけて無症状に進行し,インスリン濃度がもはや血糖値の調節に十分ではなくなる時点までβ細胞量は減少する。

T型糖尿病は一般に小児期または思春期に発症し,最近までは30歳以前に診断される最も一般的な病型であったが,成人でも発症する(潜在性自己免疫性成人糖尿病)。

T型は糖尿病症例全体の10%未満を占める。


自己免疫性β細胞破壊の病因には,感受性遺伝子,自己抗原,および環境因子の相互作用が関与するが,これは完全には理解されていない。

感受性遺伝子には,主要組織適合複合体(MHC)内の遺伝子―特にHLA-DR3,DQB1*0201,およびHLA-DR4,DQB1*0302が含まれ,これらは90%を上回るT型糖尿病患者に認められる―およびMHC以外の遺伝子が含まれており,MHC以外の遺伝子はインスリンの産生およびプロセッシングを調節し,MHC遺伝子と呼応して糖尿病のリスクを生むと考えられる。

感受性遺伝子は一部の集団では他の集団よりも一般的にみられ,一部の民族(スカンジナビア人,サルデーニャ人)におけるT型糖尿病の罹患率の高さを説明する。



自己抗原にはグルタミン酸脱炭酸酵素,インスリン,インスリノーマ関連蛋白,およびβ細胞中の他の蛋白が含まれる。

これらの蛋白はβ細胞の正常な代謝回転またはβ細胞傷害(例,感染による)の際に暴露または放出され,細胞性免疫反応を活性化してβ細胞の破壊(膵島炎)につながると考えられている。

グルカゴン分泌α細胞は障害されないままである。

自己抗原に対する抗体は血清中に検出され,β細胞破壊に対する反応(原因ではなく)であると考えられる。



数種のウイルス(コクサッキーウイルス,風疹ウイルス,サイトメガロウイルス,エプスタイン-バーウイルス,およびレトロウイルスを含む)はT型糖尿病の発症と関連づけられている。

ウイルスはβ細胞に直接感染してそれを破壊するか,または自己抗原への暴露,自己反応性リンパ球の活性化,免疫反応を刺激する自己抗原の分子配列の模倣(分子擬態),もしくは他の機序によって間接的にβ細胞破壊を引き起こす可能性がある。



食事も要因である。

乳児の乳製品(特に牛乳および乳蛋白βカゼイン)への暴露,飲水中の高濃度硝酸塩,およびビタミンD摂取不足はT型糖尿病のリスク上昇と関連づけられている。

早期(4カ月未満)または後期(7カ月以降)にグルテンおよび穀物に暴露すると膵島細胞自己抗体の産生が増加する。

これらが関連する機序は不明である。




U型:

U型糖尿病(従来は成人発症型または非インスリン依存型と呼ばれた)では,インスリン分泌が不十分である。

特に病初期には,インスリン濃度はしばしばきわめて高くなるが,末梢インスリン抵抗性および肝での糖新生増加が原因で,このインスリン濃度では血糖値の正常化には不十分となる。

インスリン産生はその後減少し,高血糖をさらに悪化させる。

U型糖尿病は一般に成人で生じ,加齢とともにより頻度が高くなる。

若年成人と比較して,高齢者では食後,特に大量の炭水化物を摂取後に血糖値がより高値に達し基準範囲に戻るには時間がかかるが,この一部は内臓脂肪/腹部脂肪の蓄積増加および筋肉量減少によるものである。


小児肥満が蔓延するにつれて小児におけるU型糖尿病の頻度もますます高まってきている:小児の新規発症糖尿病の40〜50%が最近ではU型である。

糖尿病を有する成人の90%以上がU型である。

U型糖尿病の有病率が民族内(特にアメリカインディアン,ヒスパニック,アジア人)および罹患者の親族において高いことから立証されるように,明らかな遺伝的決定因子が存在する。

最も一般的なU型糖尿病の原因遺伝子は同定されていない。


病因は複雑で,完全には理解されていない。

インスリン分泌がインスリン抵抗性を代償できなくなると高血糖が生じる。

インスリン抵抗性はU型糖尿病の患者やそのリスクを有する者に特徴的であるが,β細胞機能不全およびインスリン分泌障害の証拠も存在し,これにはブドウ糖静注に反応して生じる第1相 インスリン 分泌の障害,正常なパルス状インスリン分泌の喪失,インスリンプロセッシング障害を示唆するプロインスリン分泌増加,膵島アミロイドポリペプチド(正常ではインスリンとともに分泌される蛋白)の蓄積が含まれる。

高血糖はβ細胞の脱感作および/またはβ細胞の機能不全を引き起こすので,高血糖自体がインスリン分泌を障害することがある(糖毒性)。

インスリン抵抗性の存在下では,これらの変化は典型的には発生までに数年かかる。



肥満および体重増加はU型糖尿病におけるインスリン抵抗性の重要な決定因子である。

肥満や体重増加には遺伝的決定因子も存在するが,食事,運動,生活様式も反映される。

脂肪組織は,インスリン刺激性のブドウ糖輸送および筋肉でのグリコーゲン合成酵素活性を障害する遊離脂肪酸の血漿濃度を増加させる。

脂肪組織は内分泌器官として機能するとも考えられ,糖代謝に有利(アディポネクチン)または不利(腫瘍壊死因子α,IL-6,レプチン,レジスチン)な影響を及ぼす複数の因子(アディポサイトカイン)を放出する。

子宮内での成長抑制および低出生体重もその後の生涯におけるインスリン抵抗性と関連づけられており,出生前の環境が糖代謝に及ぼす影響を反映している可能性がある。


以上

posted by ホーライ at 06:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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