2014年07月27日

炎症性腸疾患(IBD)とは

●炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(IBD)は,クローン病および潰瘍性大腸炎(UC)を含み,下痢および腹痛をもたらす消化管各部の慢性炎症を特徴とする,再発と寛解を繰り返す病態である。


炎症は,消化管粘膜における細胞性免疫反応により生じる。

正確な病因は不明である;証拠が示唆するところによると,多因子性の遺伝的素因(おそらく,異常な上皮性関門および粘膜の免疫防御が関与)を有する患者において,正常腸内細菌叢が免疫反応を引き起こすということである。

特異的な環境的,食事性,感染性の原因は同定されていない。


免疫反応には,サイトカイン,インターロイキン,および腫瘍壊死因子(TNF)などの炎症メディエーターの放出が関与している。

クローン病とUCは似ているが,両者はほとんどの症例で鑑別できる。

大腸炎症例の約10%は中間型と考えられる。

大腸炎という用語は,大腸の炎症性疾患に対してのみ適用される(例,潰瘍性,肉芽腫性,虚血性,放射性,感染性)。

痙攣性(粘液性)大腸炎というのは,機能障害である過敏性腸症候群(下部消化管症状を訴える患者へのアプローチ: 過敏性腸症候群(IBS)を参照 )に対してときどき用いられる誤称である。




●炎症性腸疾患の疫学

IBDは全ての年齢で起こるが,通常,30歳未満に始まり,発生率のピークは14〜24歳である。UCは50〜70歳に1回目よりは小さい2回目のピークがあることがある;しかしながら,この後のピークには一部の虚血性大腸炎症例が含まれている可能性がある。

IBDは北欧人およびアングロサクソン系の人に最も多く,ユダヤ人では数倍多い。

中欧および南欧において,発生率はより低く,南米,アジアおよびアフリカにおいてはさらに低くなる。

しかしながら,北米に居住する黒人およびラテンアメリカ人における発生率は増加している。


罹患率に男女差はみられない。IBD患者の第1度近親者は,リスクが4〜20倍高い;その絶対リスクは7%にまで達することがある。

家族性の傾向は,UCよりもクローン病においてずっと高い。

クローン病(UCではない)のリスクを増大させる特定の遺伝子突然変異が同定されている。

喫煙はクローン病の発症または増悪の一因となるようであるが,UCのリスクを低下させる。

非ステロイド性抗炎症薬はIBDを悪化させることがある。




●腸管外発現

クローン病およびUCは双方とも腸以外の器官を侵す。

腸管外発現のほとんどは,小腸に限局するクローン病よりも,UCおよびクローン結腸炎で起こることが多い。

腸管外発現は次の3つのカテゴリーに分類される:




1.通常,IBDの急性増悪に平行する(すなわち,それとともに再燃と寛解を繰り返す)障害。

これらには,末梢関節炎,上強膜炎,アフタ性口内炎,結節性紅斑,および壊疽性膿皮症などがある。関節炎は大関節を侵す傾向があり,また,移動性および一過性の傾向がある。

IBDで入院している患者の3分の1以上で,これらの平行する障害のうち1つ以上が発現する。




2.おそらくIBDから生じるが,IBDの急性増悪とは無関係のように思われる障害。

これらには強直性脊椎炎,仙腸骨炎,ぶどう膜炎,および原発性硬化性胆管炎などがある。

強直性脊椎炎は,HLA-B27抗原を有するIBD患者に好発する。

脊椎または仙腸骨病変のある患者の大多数は,ぶどう膜炎の所見を有し,逆のこともいえる。

原発性硬化性胆管炎は胆道癌の危険因子であり,胆道癌は結腸切除から20年後でも発症することがある。

患者の3〜5%に肝疾患(例,脂肪肝,自己免疫性肝炎,胆管周囲炎,肝硬変)が起こるが,軽度の肝機能検査値異常はより高頻度にみられる。

これらの病態の一部(例,原発性硬化性胆管炎)はIBDの発症よりも何年も前に起こることがあり,診断時にIBDの評価を行うべきである。



3.腸の生理機能の障害が原因して生じた結果である疾患。

これらは主に,重度の小腸クローン病において起こる。

吸収不良は,広範な回腸切除により生じ,ビタミンB12およびミネラルの欠乏を引き起こすことがあり,結果として貧血,低カルシウム血症,低マグネシウム血症,凝固障害,骨の無機質減少,小児では成長および発達の遅延が起こる。


他の障害には,食事性シュウ酸の過剰吸収に起因する腎結石,腸の炎症過程による尿管圧迫から生じる水尿管症および水腎症,胆汁酸塩の回腸での再吸収障害による胆石,および長期間続く炎症や化膿性疾患に続発するアミロイドーシスなどがある。

3つの全てのカテゴリーの多数の因子が原因で血栓塞栓症が起こることがある。


posted by ホーライ at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 内臓疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

前立腺肥大症とは?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)基礎医学、薬学の試験問題 290
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問題1.次の文章は正しいか?

前立腺肥大症とは、内腺の肥大によって前立腺部尿道の
通過促進を中心とした症状を生じたものをいう。

(A)正しい  (B)間違い






」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

(B)間違い

通過促進 ⇒ 通過障害








問題2.次の文章のかっこに入るのは何番か?

前立腺肥大の発生機序についてはすべてが解明されて
いるわけではないが、( A )の存在と加齢が原因と
なっていることは確かである。

(1)アンドロゲン(男性ホルモン)

(2)エストロゲン(女性ホルモン)







」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

(1)アンドロゲン(男性ホルモン)









問題3.次の文章は正しいか?

前立腺肥大症の症状としては、排尿困難、残尿などの
閉塞症状と、頻尿(特に夜間頻尿)、尿意切迫などの
膀胱刺激症状がみられる。

(1)正しい  (2)間違い









」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

(1)正しい 







問題4.「前立腺肥大症」は次のどれか?

1)urocystitis

2)nephritis

3)hypertrophy of prostate gland








」」」」」」」」」」」」
   答え
」」」」」」」」」」」」

正解は「3)hypertrophy of prostate gland 」です。


*1)urocystitis =膀胱炎

*2)nephritis =腎炎


posted by ホーライ at 06:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月19日

アトピー性皮膚炎とは?(2)

●アトピー性皮膚炎とは?(2)


●診断

診断は臨床像で行う( 皮膚炎: アトピー性皮膚炎の臨床的所見*表 1: 表を参照)。

ADはしばしば他の皮膚疾患(例,脂漏性皮膚炎,接触皮膚炎,貨幣状皮膚炎,乾癬)との鑑別が困難であるが,アトピーの家族歴および病変の分布が鑑別に役立つ。

乾癬は通常屈側よりも伸側に分布して,手指の爪を侵すことがあり,ADよりも光沢のある(雲母状)鱗屑を伴う。

脂漏性皮膚炎は顔面(例,鼻唇溝,眉毛,眉間部,頭皮)に最も好発する。

貨幣状皮膚炎は屈側に生じず,苔癬化することはまれである。

ADのアレルギー性増悪因子は,皮膚テストおよび/またはアレルゲン特異性IgE濃度の測定で同定できる。

患者に他の皮膚疾患が発症する可能性もあるので,続発する皮膚疾患が全てADに由来するわけではない。



●予後と治療

小児のADはしばしば5歳までに改善するが,思春期を通して,さらには成人期になっても増悪がよくみられる。

女児および重症の患者,発症の早い患者,家族歴のある患者,鼻炎または喘息を伴う患者では,本疾患の長引く傾向がある。

このような患者でも,ADは30歳までに完全消退することが多い。

人格の形成期に,目に見え,ときには身体障害を来す皮膚疾患を背負って生きるという数多くの課題に小児が直面するため,ADでは長期にわたって心理学的続発症を来すことがある。

長期にわたるAD患者は,20代か30代に白内障を発症することがある。


治療は通常家庭で行えるが,剥脱性皮膚炎(皮膚炎: 剥脱性皮膚炎を参照 ),蜂巣炎,ヘルペス性湿疹の患者は入院が必要なこともある。



支持療法:

スキンケアとして保湿がある。入浴および手洗いは頻繁に行わず,ぬるま湯(熱くない)を使用するべきである;セッケンは病変を乾燥させ刺激となるので,皮膚炎部での使用は最小限にとどめるべきである。

コロイド性のオートミール浴が有用なこともある。

ボディオイルを使用したり,白色ワセリン,植物油,親水ワセリン(患者がラノリンにアレルギーがなければ)などの皮膚軟化剤を入浴直後に外用すれば,有用なことがある。

重症の病変に対しては,持続的に湿ったドレッシング(wet-to-dryドレッシングではなく)を用いてもよい。

コールタールクリームまたはコールタール油は効果的な止痒性外用薬である。



抗ヒスタミン薬はそう痒の軽減に役立つ。

抗ヒスタミン薬の使用法として,ヒドロキシジン25mg,経口,1日3回または4回投与(小児では,0.5mg/kgを6時間毎,または2mg/kgを単回投与で眠前に投与)およびジフェンヒドラミン25〜50mg,経口,眠前投与がある。

ロラタジン,フェキソフェナジン,セチリジンといった鎮静作用の弱いH1ブロッカーが効くこともあるが,それらの有用性はまだ確定していない。

三環系抗うつ薬のドキセピンもH1および H2レセプター遮断作用を持ち,25〜50mg,経口,眠前投与を行えば有益かもしれないが,12歳未満の小児では勧められない。

手指の爪は短く切り,引っかき傷や二次感染を最小限にとどめるべきである。






増悪因子の回避:

家庭内の抗原は,合成繊維の枕や不透過性のマットレスカバーを使用する;熱湯で寝具を洗う;布張り家具,柔らかい玩具,カーペット,ペット(チリダニおよび動物のフケ)を除去する;地下室などの風通しの悪い湿った部屋では除湿器を使う(カビを減らすため)ことで制御できる。

情動的ストレスの軽減は有効であるが,しばしば困難である。

抗ブドウ球菌性抗生物質は,外用薬(ムピロシン,フシジン酸)であれ内服薬(ジクロキサシリン,セファレキシン,エリスロマイシン,いずれも250mg,1日4回投与)であれ,黄色ブドウ球菌の鼻腔内コロニーを制御でき,特異的な治療に反応せず鼻腔培養が陽性の重症患者に適応である。

抗原性をもつ食物に対する暴露を除く目的で広範な食事変更を行うことは不要であり,おそらく効果がない;食物過敏症が小児期を過ぎても持続することはまれである。




コルチコステロイド:

コルチコステロイドは中心的な治療手段である。

クリームまたは軟膏を1日2回塗布すれば,軽症から中等症の患者の大半で有効である。

皮膚軟化剤はコルチコステロイドの塗布の間に用いるが,病変部に外用するコルチコステロイドの必要量を減らすために,コルチコステロイドと混合してもよい。

コルチコステロイドの全身投与(プレドニゾン60mg投与,または小児では1mg/kg,経口,1日1回投与,7〜14日の短期間使用)は病変が広範で難治性の場合に適応であるが,しばしば病変が再発し外用療法の方が安全なので,可能なら避けるべきである。

乳幼児に対し長期かつ広範に強力なコルチコステロイドクリームまたは軟膏を使用するのは,副腎抑制を続発させることがあるので避けるべきである。



他の治療法:

タクロリムスおよびピメクロリムスはADに有効なT細胞阻害薬である。

これらの薬剤は,患者がコルチコステロイドやタール剤に反応しない時,または皮膚萎縮,皮膚伸展線条の形成,副腎抑制などコルチコステロイドの副作用が懸念されるときに用いるべきである。

タクロリムスまたはピメクロリムスのクリームは1日2回塗布する。

塗布後のほてり感またはピリピリ感は通常一過性であり,数日後には軽減する。潮紅はさらに少ない。




光線療法は広範なADに有用である。

自然の日光を浴びれば,多くの患者で病気が軽快する。

別法として,紫外線A(UVA)または紫外線B(UVB)を用いた治療を行ってもよい。

ソラレンを用いるUVA療法(PUVA―乾癬および鱗屑を伴う疾患: 光線療法を参照 )は広範で難治性のADに残しておく。

副作用には日光による障害がある(例,PUVA黒子,黒色腫以外の皮膚癌);このため,PUVAは小児や若年成人に適応となることはまれである。



少なくとも一部の患者で有効な全身性免疫調節薬には,シクロスポリン,インターフェロン-γ,ミコフェノレート,メトトレキサート,アザチオプリンがある。

いずれの薬剤もT細胞の機能を抑制または阻害し,抗炎症作用をもつ。

これらの薬剤は,外用療法や光線療法で改善しなかった広範で難治性または身体障害を来すADに適応である。



疱疹状湿疹はアシクロビルで治療する。

乳幼児では10〜20mg/kgを8時間毎に静脈内投与する;軽症の年長児および成人では200mg,経口,1日5回投与を行う。



以上


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2014年07月16日

アトピー性皮膚炎とは?(1)

●アトピー性皮膚炎とは?(1)

アトピー性皮膚炎は免疫が介在する皮膚の炎症で,しばしば遺伝的な要素が大きい。

そう痒が主たる症状である;皮膚病変は軽度な紅斑から高度な苔癬化まで様々である。

診断は病歴と身体診察で行う。治療には保湿薬を用いたりアレルギー性および刺激性誘因を避けることに加え,しばしばコルチコステロイドの外用薬を用いる。


アトピー性皮膚炎(AD)は,IgEが介在する型(外因型,症例の70〜80%)もあればIgEが介在しない型(内因型,症例の20〜30%)もある。

IgEの介在する型の方が特徴は明らかである;IgEの介在しない型は家族性に発症せず,特発性である。



●病因と病態生理

ADは主として都市部または先進国の小児が罹患する;米国では少なくとも5%の小児が罹患している。

ADは,喘息と同様に,アレルギー炎症性のT細胞免疫反応に関連がありそうである。

そのような反応は先進国で以前より多くみられるようになってきたが,その理由は,核家族化傾向,清浄な室内環境に加え,幼少時に予防接種が行われ抗生物質が使われるため,アレルギー性T細胞を抑制し耐性を誘導する感染やアレルゲンへの暴露が小児期に起こらないためである。

ADは遺伝的に本疾患に罹りやすい人で環境暴露が免疫反応を惹起するときに生じ,通常その免疫反応はアレルギー性(すなわち,IgE介在性)である。

よくみられる環境誘因には,食物(例,牛乳,卵,大豆,小麦,ピーナツ,魚),空気中にあるアレルゲン(例,チリダニ,カビ,フケ),内因性抗菌ペプチドの不足による黄色ブドウ球菌の皮膚におけるコロニー形成がある。

ADでは家族性の発症がよくみられ,遺伝的要因が示唆される。



疱疹性湿疹(カポジ水痘様発疹症)は,ADの患者に生じるびまん性の単純ヘルペス感染である。

典型的な集簇性小水疱が活動性のあるまたは最近生じた皮膚炎の部位に生じるが,正常皮膚も罹患することがある。

数日後に高熱およびリンパ節腫脹を来す。皮膚病変ではブドウ球菌の感染がよくみられる。

ときに内臓の感染を伴うウイルス血症が生じ,致死的なことがある。

他のヘルペス感染と同様,再発することもある。

皮膚の真菌感染,および尋常性疣贅や伝染性軟属腫といったヘルペスウイルス以外の皮膚感染症も,ADに合併することがある。



●症状と徴候

ADは通常乳幼児期,典型的な場合は3カ月までに出現する。

1〜2カ月続く急性期では,赤く滲出性の痂皮化病変が顔面に出現し,頸部,頭皮,四肢,腹部に拡大する。

慢性期では,掻破したり擦ったりすることにより皮膚病変が生じる(典型的な場合は紅斑と丘疹で,掻破が続くために苔癬化する)。

典型例では,肘窩,膝窩,眼瞼,頸部,手首に病変が生じる。

病変は徐々に消退して鱗屑を伴う乾燥した斑(乾皮症)になり,このような状態になると亀裂を生じて刺激物およびアレルゲンに対する暴露が促進されることがある。

年長児または成人では,強いそう痒が中心的病状である。

患者はかゆみに対する閾値が低下しており,かゆみは,アレルゲン暴露,乾燥した空気,発汗,局所的刺激,ウールの衣服,情動的ストレスで増悪する。



ADは全身に広がることがある。

細菌の二次感染や局所リンパ節炎がよくみられる。

外用薬を頻繁に使うと患者を多くのアレルゲンに曝すことになるかもしれず,これらの患者によくみられる全身性乾燥皮膚が病状を増悪・複雑化させるのと同様,接触皮膚炎を生じてADを増悪し,複雑化させる恐れがある。

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2014年07月13日

ビタミンB12と欠乏症(2)

●ビタミンB12と欠乏症(2)


●診断(2)

シリングテスト: 古典的悪性貧血のように,内因子欠乏症の診断が重要な場合にのみ,シリングテストは有用となる。

このテストは,ほとんどの高齢患者には必要ではない。

シリングテストでは,経口投与された遊離型の放射性標識ビタミンB12の吸収量を測定する。

放射性標識ビタミンB12を経口投与した後,1〜6時間内に1000μg(1mg)のビタミンB12を非経口にて投与するが,これは肝臓による放射性標識ビタミンB12の取り込みを減少させるためである。

吸収された放射性標識ビタミンB12は,その後尿中に排泄されるが,その尿を24時間採取する。

そして,尿中の全放射性標識ビタミンB12量の割合を測定する。吸収が正常であれば,投与された量の9%以上が尿中に現れる。

尿中への排泄が低下していれば(腎機能が正常の場合5%未満),ビタミンB12吸収不十分が示唆される。尿の採取が不完全の場合や,腎不全の場合,しばしばシリングテストを行うことや,結果の解釈が困難になる。

さらに,シリングテストでは,蛋白結合ビタミンB12の吸収を測定しないため,高齢者によくみられる,食物から摂取したビタミンB12の遊離障害は検出されない。


シリングテストは,ビタミンB12を補給することになり,欠乏症を覆い隠すことがあるので,他の全ての診断検査および試験的治療を行った後に初めて遂行されるべきである。

経口にて抗生物質を2週間試験投与した後,シリングテストを繰り返してもよい。

抗生物質による治療で吸収不良が改善されれば,可能性のある原因として,腸管での細菌の過剰繁殖(例,盲管症候群)が考えられる。



●治療

重度の欠乏症または神経症状や徴候がない患者には,ビタミンB12,1000〜2000μgを経口にて,1日1回投与してもよい。この大量経口投与は,内因子が欠如している場合にも,質量作用により吸収される。MMA値(ときに治療をモニタリングするために使用される)が低下していない場合は,患者がビタミンB12を服用していない可能性がある。より重度の欠乏症には通常,血液学的異常が改善するまで,ビタミンB12,1mgを1週間に1〜4回,数週間筋注投与し,その後,同用量を1カ月に1回投与する。血液学的異常は通常,6週間以内に改善するが(網状赤血球数は1週間以内に改善しうる),神経症状の消散にはさらに時間を要することがある。数カ月または数年間持続する神経症状は,非可逆的になる。ほとんどのビタミンB12欠乏症と認知症のある高齢者では,治療後に認知力は改善されない。ビタミンB12療法は,同欠乏症の病態生理学的機序が是正されない限り,一生涯続けなければならない。

完全菜食の母親をもつ乳児は,出生時よりビタミンB12の補給を受けなければならない。



以上
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2014年07月09日

ビタミンB12の欠乏の病因と病態生理

●ビタミンB12の欠乏の病因と病態生理

完全菜食の場合,ビタミンB12の摂取が不十分になりうるが,そうでない場合はほとんど起こらない。

ビタミンB12欠乏症は通常,吸収が不十分なことにより起こるが,高齢者の場合は,胃酸分泌の減少による吸収不全が最も一般的である。

この場合,結晶性のビタミンB12(ビタミン補給剤で利用可能なタイプ)は吸収されるが,食物中に含まれるビタミンB12は遊離されず,正常に吸収されない。

盲管症候群(細菌の過剰繁殖を伴う)または魚条虫の寄生により吸収が不十分になりうるが,この場合,細菌または寄生虫が摂取されたビタミンB12を利用するため,吸収できる量が減少する。

回腸の吸収部位が炎症性腸疾患により破壊されたり手術により除去された場合は,ビタミンB12の吸収が不十分になることがある。

慢性膵炎,胃の手術,吸収不良症候群,AIDS,ある種の薬物の使用(例,制酸薬,メトホルミン),亜酸化窒素への繰り返し暴露,回腸での吸収不良を引き起こす遺伝性疾患(イマースルンド-グラスベック症候群)などによっても,頻度は低いがビタミンB12吸収低下が起こりうる。




悪性貧血は,しばしばビタミンB12欠乏症と同義で使用される。

しかしながら,悪性貧血とは,特に内因子を喪失した自己免疫性胃炎により起こるビタミンB12欠乏症(胃炎および消化性潰瘍: 自己免疫化生性萎縮性胃炎を参照 )を指す。

若年成人に最も多い古典的な悪性貧血では,胃や他の消化管癌の発症リスクが高い。




亜急性連合変性症は,ビタミン12 欠乏を原因とする神経系の退行性変化を指し,ほとんどの場合で脳および脊髄白質に影響を与える。

脱髄性,または軸索性の末梢神経障害が起こりうる。




●症状と徴候

貧血は通常,潜行性に進行する。貧血の緩徐な進行は生理的適応を可能にするため,貧血はしばしば症状が示す以上に重度の場合がある。

ときに,脾腫および肝腫大が生じる。食欲不振,便秘,および限局性に乏しい腹痛などの様々な消化管症状がみられることがある。

通常舌の灼熱感と記述される舌炎はまれである。


神経症状は,血液学的異常とは無関係に,またしばしば血液学的異常を伴わずに発現する。

初期段階では,四肢の位置覚および振動覚が低下し,軽度から中等度の筋力低下と反射低下を伴う。

後期段階では,痙性,伸展足底反応,下肢における位置覚および振動覚のより大幅な低下,運動失調が現れる。

これらの異常は,靴下-手袋型の分布を示す。触覚,痛覚および温度覚は通常損なわれないが,高齢者においては評価が困難なことがある。



患者によっては,いらいら感と軽度のうつがみられる。

進行した症例では,パラノイア(巨赤芽球性狂気),せん妄,錯乱,痙性運動失調や,ときに起立性低血圧が起こることがある。

欠乏症による錯乱と,アルツハイマー病などの年齢に関係した認知症によるものとを鑑別するのは困難なことがある。




●診断

診断は,CBC(全血球計算)やビタミンB12および葉酸濃度に基づいて行う。

症状が脊髄圧迫,または多発性硬化症を示唆すれば,MRIなどを用いた神経の画像検査が必要となる。

巨赤芽球性貧血はCBCで発見される。

組織における欠乏や大球性赤血球指数が,貧血の発症に先行することがある。

ビタミンB12レベルが,200pg/mL(145pmo/L)を下回る場合,ビタミンB12欠乏症を示す。

巨赤芽球性貧血の原因として,ビタミンB12欠乏によるものと,葉酸欠乏によるものとを鑑別する必要があるため葉酸濃度を測定するが,葉酸の補給によりビタミンB12欠乏が覆い隠されることがあり,また巨赤芽球性貧血は軽快するものの,神経学的異常を進行させることがある。



臨床判断ではビタミンB12欠乏症が示唆されても,ビタミンB12レベルが正常下限(200〜350pg/mL [145〜260pmol/L]),または血液学的指標が正常であれば,他の検査が行われる。


血清メチルマロン酸(MMA)値の測定が,有用な場合がある。

MMAレベルが上昇していれば,ビタミンB12欠乏症の裏づけとなるが,腎不全が原因の場合もある。MMAレベルは,治療に対する反応をモニタリングするためにも使用される。


ホモシステインレベルは上昇することがある。一般的ではないが,ホロトランスコバラミンU(トランスコバラミンU-B12複合体)含有量を測定し,ホロトランスコバラミンUが40pg/mL(30pmol/L)を下回る場合は,ビタミンB12が欠乏している。


欠乏症が診断された後,若年成人には追加検査が適応となることがあるが,通常高齢者には適応とならない。

食事中のビタミンB12が明らかに不十分な場合を除き,自己免疫性の化生による萎縮性胃炎の可能性を排除するため,上部消化管内視鏡検査,および胃の壁細胞に対する血清自己抗体の測定が行われることがある。

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2014年07月07日

ビタミンB12と欠乏症

●ビタミンB12と欠乏症

コバラミンは,生物学的ビタミンB12の作用を有する化合物の一般的用語である。

これらの化合物は,核酸代謝,メチル転移,ミエリン合成および修復に関与している。

また,正常な赤血球の生成に必要である。



食物中のビタミンB12は,胃の酸性環境に放出され,R蛋白に結合している。

膵酵素が,小腸でこのB12複合体(B12-R蛋白)を切断する。

切断後,胃粘膜の壁細胞から分泌される内因子は,ビタミンB12と結合する。

内因子は,回腸末端におけるビタミンB12の吸収に必要である。



血漿中のビタミンB12は,トランスコバラミンTおよびUと結合している。

トランスコバラミンUは,主にビタミンB12を組織へ運搬する役割を担っている。

肝臓は,大量のビタミンB12を貯蔵している。

腸肝循環による再吸収は,ビタミンB12の保持を助けている。

内因子欠如の場合は,肝臓に貯蔵されているビタミンB12で,正常に3〜6年間生理的必要量を保持できるが,腸肝循環による再吸収能の欠如の場合は,数カ月から1年しか保持できない。

大量のビタミンB12を一般強壮薬として使用すべきではないが,大量でなければ毒性はないと思われる。




●ビタミンB12欠乏症

食事性ビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収によるが,ビタミン補給剤を摂らない完全菜食者に欠乏症が起こることがある。

欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,末梢神経障害が起こる。

診断は通常,血漿ビタミンB12値の測定によって行う。

シリングテストは,病因を決定するのに役立つ。

治療は,経口または非経口によるビタミンB12投与からなる。

葉酸は,貧血を軽減することがあるが,神経障害を進行させることもあるため,ビタミンB12の代わりに使用すべきではない。

肝臓の貯蔵(正常では豊富)が限られ,かつ急速な成長速度により,需要が高い場合(例,完全菜食の母親の母乳栄養児において),月齢4〜6カ月までに欠乏症が起こることがある。

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2014年07月03日

全身性エリテマトーデスとは(4)

●全身性エリテマトーデスの予後

経過は通常,慢性,再発性で予測が不可能である。

寛解は,何年も持続することがある。

初期の急性期がコントロールされる場合, たとえきわめて重症である(例,脳血栓症または重症の腎炎)としても,長期的な予後は通常良好である。

ほとんどの先進諸国の10年生存率は,95%を超える。

予後が改善されたのは,一部には早期の診断と有効な治療法に起因する。

より重症の疾患にはより毒性の強い治療法が必要であり,それは死亡のリスクを増大する。

そのような合併症の例には,免疫抑制による感染症と,長期間にわたるコルチコステロイド投与による冠動脈疾患または骨粗鬆症が含まれる。


●治療

治療を簡単にするために,SLEを,軽度(発熱,関節炎,胸膜炎,心膜炎,頭痛,発疹)または重度(例,溶血性貧血,血小板減少性紫斑病,広範囲の胸膜および心膜の障害,重大な腎障害,四肢や胃腸管の急性脈管炎,病勢盛んな中枢神経系障害)に分類すべきである。


軽度または弛張性の場合: ほとんどまたは全く治療が必要ないことがある。

関節痛は通常,NSAIDによりコントロールする。

アスピリン(80〜325mgを1日1回)は,抗カルジオリピン抗体と関連する血栓傾向の患者と血栓事象がこれまでにない患者に有用であるが,SLE患者に大量投与すると肝毒性を起こしうる。

抗マラリア薬は,特に関節と皮膚症状が著明であるときに有用である。

ヒドロキシクロロキン200mgの1日1回または1日2回の経口投与がよく行われる。

その他の選択肢には,クロロキン250mg,1日1回の経口的投与や,キナクリン50〜100mg,1日1回の経口的投与などがある。

これらの薬物の併用もときに行われる。ヒドロキシクロロキンは,網膜毒性を発生しうる。眼を6カ月毎に検査すべきである。



重度の場合: 重度の場合:コルチコステロイドは,第一選択の治療法である。

プレドニゾンと免疫抑制薬の併用は,活動性で重篤なCNSループス,特に内臓または神経を侵す脈管炎,活動性で可逆性のループス腎炎に推奨される。

プレドニゾンは通常40〜60mgを1日1回経口投与するが,用量はSLEの症状に応じて変わりうる。

経口アザチオプリン1〜2.5mg/kg,1日1回投与または経口シクロホスファミド1〜4mg/kg,1日1回投与を,免疫抑制薬として使用しうる。

腎障害には,毎日の経口投与の代わりにシクロホスファミドの“適用量”を通常間欠的に静注し,例えば,約500mg〜1g/m2 を(膀胱を保護するためにメスナおよび補液とともに)6カ月間は毎月静注し,その後18カ月間は3カ月に1回静注する(腎毒性または血液学的毒性があれば頻度を減らす。




CNSループスまたはその他の危機的症状には,3日連続でメチルプレドニゾロン1gの緩徐な(1時間)静注がしばしば初期の治療法であり,その後,前述のように静注シクロホスファミドを静注する。ミコフェノール酸モフェチル500〜1000mgの1日1回または1日2回の経口投与は,腎性SLEに対するシクロホスファミドに代わるものである。5日間連続の免疫グロブリンG(IgG)400mg/kg,1日1回静注は,抵抗性血小板減少症に有用でありうる。幹細胞の動員後のシクロホスファミド2g/m2の静注を伴った幹細胞の移植は,抵抗性SLEの患者に試験的に施行されている。移植は,末期腎疾患に適用しうる。

重度のSLEの改善にはしばしば4〜12週間を要し,コルチコステロイドを減らすまでは明らかにならないことがある。大脳,肺,胎盤の血管の血栓症または塞栓症は,ヘパリンによる短期的な治療とワルファリンによる長期的な治療を必要とし,国際標準比3を目標とする(ときに生涯にわたる)。

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全身性エリテマトーデスとは(5)

●全身性エリテマトーデスの抑制的治療: ほとんどの患者において,高用量コルチコステロイドの投与を延長しなくても再燃の危険性を減らすことができる。

慢性疾患は,最小用量のコルチコステロイドと炎症をコントロールするその他の薬物(例,抗マラリア薬,低用量免疫抑制薬)で治療すべきである。

抗2本鎖DNA抗体価または血清補体価の低値を追跡調査しうるけれども,治療は主として臨床的特徴に応じて行うべきである。

患者が長期的に高用量コルチコステロイドを必要とする場合,代替の経口免疫抑制薬の投与を考慮すべきである。長期のコルチコステロイド療法を受けている患者には,Ca,ビタミンD,ビスホスホネートによる治療を考慮すべきである。

限局性の合併症と共存する病態: 長期的な抗凝固療法は,抗リン脂質抗体と再発性の血栓症の患者にとって重要である


妊娠した患者が抗リン脂質抗体を有する場合,血栓合併症はコルチコステロイド(プレドニゾン30mg以下を1日1回),低用量アスピリン,ヘパリンによる抗凝血療法によって避けうる。

妊娠の第2トライメスターおよび第3トライメスターを通して1錠の小児用アスピリンと併用または単独で毎日ヘパリンを皮下投与することが最も成功率の高い予防法である。


●ループスの亜型

エリテマトーデス(DLE):

円板状エリテマトーデスは,ときに慢性皮膚エリテマトーデスとも呼ばれ,全身性障害の有無にかかわらずループスの一部として各種の皮膚変化が生じることがある。

皮膚病変は紅斑に始まり,萎縮性瘢痕へと進行する。

それらは,顔や,頭皮,耳のような皮膚の露光部に好発する。

未治療の場合,病変は拡大し,中央が萎縮して瘢痕を生じる。

広範な瘢痕化した脱毛がありうる。粘膜障害が,特に口によくみられる。

典型的な円板状の病変を示す患者は,SLEであるかどうかを評価すべきである。

2本鎖DNAに対する抗体は,必ずといっていいほど円板状エリテマトーデス患者にはない。

皮膚病変の活動性縁辺の生検によって,円板状エリテマトーデスを全身性エリテマトーデス(SLE)と鑑別しえないけれども,その他の疾患(例,リンパ腫またはサルコイドーシス)を除外しうる。

早期の治療により永久的な萎縮症を予防しうる。

日光または紫外線への暴露は,最小限にすべきである(例,屋外では強力な日焼け止めを使用する)。

局所用コルチコステロイドの軟膏(特に乾燥皮膚に)またはクリーム(軟膏より油分が少ない)を1日3〜4回塗布すると(例,トリアムシノロンアセトニド0.1%または0.5%,フルオシノロン0.025%または0.2%,フルランドレノリド0.05%,吉草酸ベタメタゾン0.1%,および,特にジプロピオン酸ベタメタゾン0.05%)通常は小さな病変を退縮させうるが,過度にまたは顔(皮膚の萎縮を起こす)に使用すべきではない。

抵抗性の病変は,フルランドレノリドを塗布したプラスチックテープで覆う。

その代わりとして,トリアムシノロンアセトニドの0.1%懸濁液の皮内注射(1部位につき0.1mL未満)は病変を解消しうるが,二次性の萎縮が続いて生じることがよくある。

抗マラリア薬(例,ヒドロキシクロロキン200mg,1日1回または1日2回の経口投与)は有用である。

抵抗性症例では,併用療法(例,ヒドロキシクロロキン200mg/日とプラスキナクリン50〜100mg,1日1回の経口投与)を数カ月から数年間続けることが必要なことがある。



●亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE):

亜急性皮膚エリテマトーデスは,皮膚障害が顕著であるSLEの亜型である。

亜急性皮膚エリテマトーデスの患者は,広範囲にわたる再発性の皮膚発疹を生じる。

輪状または丘疹鱗屑性の病変が,顔,腕,体幹に生じる。

病変は通常光線過敏性で,色素脱失を示すことがあるが,瘢痕化はまれである。

関節炎と疲労は亜急性皮膚エリテマトーデスの患者によくみられるが,神経症状および腎症状はみられない。

患者は,ANA(抗核抗体)陽性またはANA陰性でありうる。

ほとんどの患者が,Ro(SSA)に対する抗体を有する。

母親にRo抗体があれば,その乳児は,先天性の亜急性皮膚エリテマトーデスまたは先天性の心ブロックを有する可能性がある。

亜急性皮膚エリテマトーデスは全身性エリテマトーデス(SLE)と同様に治療すべきである。



以上


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2014年07月02日

全身性エリテマトーデスとは(3)

●全身性エリテマトーデスの診断

特に若い女性で,何らかのSLEの症状および徴候がある患者ではSLEを疑うべきである。

しかしながら,SLEの初期の段階は,関節炎の症状が優勢である場合,RAを含むその他の結合(または非結合)組織疾患に類似する。

混合結合組織病はSLEに類似していることがあるが,さらに全身性硬化症,リウマチ様多発関節炎,多発性筋炎または皮膚筋炎の特徴を伴うことがある。

治療に起因する免疫抑制の結果として発病する感染症もまた,SLEに類似していることがある。



臨床検査は,SLEをその他の結合組織疾患と鑑別する;抗核抗体(ANA),CBC,尿検査,腎機能検査および肝臓機能検査を含む化学プロフィールを得るべきである。

SLEの診断は,自己免疫リウマチ性疾患:

SLEであると推測されるが,診断が確定ではない場合,自己抗体の追加的な検査が有用でありうる。

診断を確定するには,数カ月または数年にわたって反復評価を必要とすることがある。


ANAの蛍光検査は,SLEのスクリーニングに最適であり,SLE患者のうち98%を超える人がANA検査に陽性を示す(通常は高力価:> 1:80)。

しかしながら,RA,その他の結合組織病,悪性腫瘍の患者も,さらには健常な人の1%さえもANA検査で陽性を示しうる。

ヒドララジン,プロカインアミド,β-遮断薬,腫瘍壊死因子(TNF)-α拮抗薬のような薬物は,ループス(狼瘡)様症候群と同様にANA検査結果を陽性にしうるが, 薬物の投与を中止すると,ANAは最終的には陰性になる。


ANAが陽性であれば,抗二本鎖DNA抗体の検査を迅速にすべきであり,高値であることはSLEにきわめて特異的であるが,SLE患者のわずか25〜30%にしか示されない。

SLEの診断が別の方法でも明らかでない場合は,その他のANAや抗細胞質抗体(例,Ro[SSA],La [SSB],Sm,RNP,Jo-1)を調べるべきである。

Roは,主に細胞質であり,抗Ro抗体は,ときに慢性皮膚ループスを示すANA陰性のSLE患者に存在する。

抗Ro抗体は新生児ループスと先天性心ブロックの原因抗体である。

抗Sm抗体はSLEにきわめて特異的であるが,抗2本鎖DNA抗体と同様に感度が高くない。



白血球減少症はよくみられ,疾患が活動性であればリンパ球減少症が起こる。

溶血性貧血を起こしうる。SLEの血小板減少症を特発性血小板減少性紫斑病と鑑別することが,患者がANA陽性であることを除いては困難または不可能である。

SLE患者の5〜10%が梅毒血清検査に偽陽性を示す。

それはループス抗凝固因子や部分トロンボプラスチン時間(PTT)の延長と関連している可能性がある。


これらの検査の1つ以上に異常な値が示された場合,抗リン脂質抗体(例,抗カルジオリピン抗体)の存在が示唆され,次には直接ELISA(enzyme-linked immunosor-bent assay,酵素結合イムノソルベント検定法)で測定すべきである。

β2-糖蛋白Iに対する抗体は,おそらくより感度が高い。



抗リン脂質抗体陽性例は,動脈または静脈の血栓,血小板減少症,さらに妊娠中は自然流産または後期死産が起こりうる。

その他の試験は,重症度を監視し,治療の必要性を判定するのに役立つ。血清補体価(C3,C4)は疾患が活動時にはしばしば抑制され,通常は活動性腎炎の患者で最も低い。

ESRは疾患の活動期にはほぼ一様に上昇する。C反応性蛋白(CRP)値を測定する必要はない(SLE患者の場合,ESRが100mm/時を超える場合でさえ顕著に低い)。



腎臓障害のスクリーニングは,尿検査から始まる。

RBC(赤血球)と顆粒円柱は活動性腎炎を示唆する。

尿検査は定期的に,場合によって6カ月毎に,見かけ上寛解している患者にも実施すべきである。

しかしながら,生検で実証された腎障害にもかかわらず,尿検査は繰り返し正常でありうる。

腎生検は,SLEの診断や腎障害の確認のためには通常は必要ないが,腎疾患の状態を評価(すなわち,活動性の炎症か,炎症後の瘢痕かを判定)し,治療法を指導するために役立ちうる。

慢性腎機能不全症と大部分が硬化した糸球体を有する患者は,積極的な免疫抑制療法により利益を得る可能性は低いようである。
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2014年07月01日

全身性エリテマトーデスとは(2)

●全身性エリテマトーデスの症状と徴候

臨床所見はきわめて多様である。

SLEは,熱を伴って突然発症することも,または数カ月もしくは数年の間に関節痛や倦怠感を繰り返しながら潜行的に進行することもある。

血管性頭痛,てんかん,精神病が初期の所見であることもある。

あらゆる器官系統に関係する症状が発現しうる。

周期的な病状再燃(フレア)が起こりうる。




関節症状は,間欠性関節痛から急性多発性関節炎にまで及び,患者のおよそ90%に起こり,他の症状が現れる前に数年を経ることもある。

ほとんどのループス多発関節炎は非破壊的および非変形性である。

しかしながら,長期にわたる疾患では,変形が起こりうる(例,中手指節関節および指節間関節は,尺側偏位や骨性または軟骨びらんのないスワン-ネック変形[ジャコー関節炎]を発病することがある)。




皮膚病変には,一般に鼻唇溝部を除いた頬部の蝶形紅斑(平らまたは隆起した)を含む。

丘疹と膿疱がないことは,この蝶形紅斑を酒さと区別するのに役立つ。

多様なその他の紅斑性の硬い斑丘疹状病変は,顔面,首,上胸部,肘などの露出部を含み,あらゆるところに生じうる。



皮膚の水疱形成と潰瘍化はまれであるが,粘膜の反復性潰瘍(特に,硬口蓋と軟口蓋の移行部に近い硬口蓋中央部,頬側や歯肉の粘膜,前鼻中隔)は一般的である。

広汎性または限局性の脱毛は,SLEの活動期によくみられる。


脂肪組織炎は,皮下の結節性病変を生じうる。

脈管炎による皮膚病変は,手掌および手指の斑点状紅斑,爪周囲の紅斑,爪郭梗塞,じんま疹,および明白な紫斑などがありうる。

点状出血が血小板減少に続いて起こることがある。光過敏性は患者の40%にみられる。




心肺症状には,胸膜滲出液の有無にかかわらず再発性の胸膜炎がよくみられる。

肺炎はまれであるが,肺機能の軽度の障害はよくみられる。

重度の肺出血がときに起こり,死亡率は50%である。

その他の合併症は,肺塞栓,肺高血圧症,萎縮性肺症候群などがある。

心臓合併症には,心膜炎(最も多くみられる),心膜液貯留,心筋炎がある。

まれに起こる重篤な合併症は,冠状動脈血管炎とリブマン-サックス心内膜炎である。

加速性のアテローム性動脈硬化症は,罹病率と死亡率の増加原因である。先天性心ブロックは,新生児に起こりうる。




全身性リンパ節腫脹はよくみられ,特に小児,若い成人,黒人に多い。

脾腫は患者の10%にみられる。脾臓は動脈周囲に線維化を起こす。

神経学的症状は,中枢または末梢の神経系または髄膜のあらゆる部分の障害から起こりうる。

軽度の認知障害はよくある。


さらに,頭痛,人格変化,虚血性脳卒中,クモ膜下出血,痙攣,精神病,器質性脳症候群,無菌性髄膜炎,末梢神経障害,横断性脊髄炎,小脳機能不全などがみられる。


腎臓障害はいつでも発症する可能性があり,SLEの唯一の徴候であることもある。

腎障害は,無症状で良性であることもあるが,進行性で致死的であることもある。

腎病変の重症度は,限局性の通常は良性の糸球体炎から,びまん性で致死的となりうる膜性増殖性糸球体腎炎まで多様である。

一般によくある徴候は,蛋白尿(最も多い),赤血球円柱および白血球に現れる尿沈渣の異常,高血圧,浮腫などである。




産科の徴候には,妊娠の早期および後期の胎児死亡がある。

しかしながら,妊娠は(特に寛解して6〜12カ月以降は)成功しうる。

血液学的な徴候には,貧血症(しばしば自己免疫溶血性),白血球減少症(< 1500/μLのリンパ球減少症を含む),

血小板減少症(ときに致死的な自己免疫性血小板減少症)などがある。

再発性の動脈または静脈の血栓,血小板減少症,再発性の動脈または静脈の血栓,血小板減少症,高確率で起こる産科的合併症が,抗リン脂質抗体を有する患者に起こる。

SLEの合併症の多くは(産科的合併症を含めて)血栓症により説明しうる。



胃腸症状は,腸管の脈管炎または腸蠕動の減少から起こりうる。

さらに,膵炎はSLEにより,またはコルチコステロイドもしくはアザチオプリンによる治療の結果起こりうる。

症状には,漿膜炎に起因する腹痛,悪心,嘔吐,腸穿孔症状,偽性閉塞が含まれることがある。

SLEが実質性肝疾患を引き起こすことはまれである。


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