2014年05月01日

■■■ 心不全について(4) ■■■

【治療】

特定の障害(例,急性心筋梗塞,心室拍動数の増加を伴う心房細動,重度高血圧症,急性弁逆流)による心不全を有する患者,ならびに肺水腫(心不全および心筋症: 肺水腫を参照 ),重度の症状,新規発症の心不全,または外来治療に不応の心不全を有する患者では,早急な入院治療が必要である。

過去に心不全と診断され,それが軽度増悪した患者は在宅で治療可能である。

主要な目標は心不全に至る障害を診断して修正または治療することである。



短期の目標としては,症状および血行動態を改善すること,低カリウム血症,腎機能不全,および症候性低血圧症を回避すること,神経液性因子の活性化を修正することが挙げられる。

長期の目標としては,高血圧症を修正すること,心筋梗塞およびアテローム硬化を予防すること,入院回数を減らすこと,生存率および生活の質を改善することが挙げられる。

治療には,食事および生活習慣の変更,薬物(心不全および心筋症: 薬物を参照 ),ときに手術が必要となる。



食事性Naの摂取制限は体液貯留の制限に役立つ。

全ての患者は,調理時の食塩使用をやめ,食卓に食塩を置かず,塩分の多い食品を控えるべきである;最重症患者では,減塩食品のみを摂取することでNaを1g/日未満に制限すべきである。

毎朝の体重モニタリングはNaおよび水分貯留の早期検出に役立つ;もし体重が4.4kgを超えて増加したならば,患者自身が利尿薬の用量を調整することも可能であるが,体重が増加し続けたり症状が生じたりするようであれば医療機関を受診するべきである。

粥状動脈硬化または糖尿病の患者は各自の障害に応じた適切な食事を厳守すべきである。

肥満が生じる場合があり,これは常に心不全の症状を悪化させる;患者はBMIで21〜25を目指すべきである。



症状に合わせた定期的な軽い運動(例,歩行)が一般に推奨される。

骨格筋の機能低下は機能的状態を悪化させるが,運動はこれを予防する;この方法が生存を改善するかは研究中である。急性増悪期には安静が適切である。



治療は患者に合わせて行い,原因,症状,および副作用を含む薬物に対する反応を考慮する。

収縮機能不全と拡張機能不全とで治療はいくぶん異なるが,重複する部分もある。

患者や家族は治療選択に参加するべきである。

患者や家族には,服薬遵守の重要性,代償不全を警告する徴候,および症状緩和のための追加薬物の使用について指導するべきである。

症例の一元管理,特に服薬遵守ならびに予定外の来院や救急搬送および入院の頻度をモニタリングすることで,介入が必要な局面を同定できる。

心不全を専門とする看護師は,事前に設定されたプロトコールに従って教育,経過観察,用量調整を行う際にきわめて役立つ。

多くの医療施設(例,専門外来クリニック)では,様々な分野の医療従事者(例,心不全を専門とする看護師,薬剤師,ソーシャルワーカー,リハビリテーション専門家)を集学的治療チームまたは外来心不全管理プログラムに組み入れている。

このような試みにより転帰を改善して入院を減少させることが可能で,最重症患者では非常に効果的である。



高血圧症,重度の貧血,ヘモクロマトーシス,コントロール不良の糖尿病,甲状腺中毒,脚気,アルコール中毒,シャーガス病,またはトキソプラズマ症の治療が成功すれば,患者は劇的に改善する可能性がある。

広範な心室浸潤(例,アミロイドーシスにおける)の管理は依然として不満足な状況である。



(明日へ続く)



posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする