2014年04月16日

糖尿病の概略を説明せよ(3)

●治療

治療は高血糖をコントロールして症状を改善し合併症を予防すると同時に,低血糖の出現を最小限にとどめることである。

治療目標は,日中は80〜120mg/dL(4.4〜6.7mmol/L),就寝前は100〜140mg/dL(5.6〜7.8mmol/L)に血糖値を維持すること(家庭での測定によって決定する,糖尿病と炭水化物代謝異常症: モニタリングを参照 ),およびHbA1c値を7%未満に維持することである。

これらの目標は,高齢者,余命の短い患者,低血糖発作,特に無自覚低血糖を繰り返す患者,低血糖症状の存在を伝えられない患者(例,幼児)など厳格な血糖コントロールが勧められない患者では調整されることもある。



全ての患者で重要となる要素は,患者教育,食事指導,運動指導,および血糖コントロールのモニタリングである。

T型糖尿病の全患者はインスリンを必要とする。

血糖値が軽度上昇したU型糖尿病患者には食事療法および運動療法を試験的に処方すべきであり,生活様式の変更で不十分であれば続いて単一の経口血糖降下薬を処方し,必要に応じて経口薬を追加して(併用療法),2剤以上を使用しても推奨目標の達成に有効でないときにはインスリンを処方する。


診断時により顕著な血糖上昇がみられるU型糖尿病患者には,典型的には生活様式の変更および経口血糖降下薬を同時に処方する。

妊娠中のU型糖尿病患者,および非ケトン性高浸透圧症候群(NKHS)またはDKAなどの急性代謝代償不全を呈する患者では,インスリンが初期療法として適用となる。


血糖調節障害患者は,糖尿病発症のリスク,および糖尿病予防を目的とした生活様式の変更に焦点を当てたカウンセリングを受けるべきである。

これらの患者では,糖尿病症状または血糖上昇がないかを慎重に監視すべきである;理想的な経過観察間隔は明らかにされていないが,年1回または2回の検査が恐らくは適切であろう。



糖尿病の原因,食事,運動,薬物,手指での自己血糖測定,ならびに低血糖,高血糖,および糖尿病合併症の症状や徴候についての患者教育は,治療を最適化するために不可欠である。

大半のT型糖尿病患者には,インスリン用量の調節方法を指導する。

教育は毎回の診察時および入院時に強化すべきである。

一般には糖尿病専門看護師および栄養士によって実施される正規の糖尿病教育プログラムは,しばしばきわめて有効となる。



個人の状況に合わせた食事は患者が血糖値の変動を調節する際に有用となる場合があり,U型糖尿病患者では体重を減らす上でも役立つ可能性がある。

一般に,全ての糖尿病患者は飽和脂肪やコレステロールが少なく,中等量の炭水化物(望ましくは食物繊維含有量の多い全粒粉由来の炭水化物)を含む食事について教育を受ける必要がある。

食物中の蛋白および脂肪は熱量摂取(したがって体重の増減)に関与するが,唯一炭水化物が血糖値に直接的な影響を及ぼす。

炭水化物が少なく脂質の多い食事は一部の患者で血糖コントロールを改善するが,長期の安全性については不明である。



T型糖尿病患者は,インスリンの用量と炭水化物の摂取量とを釣り合わせて生理的なインスリン補充に役立てるために,カーボカウントまたは炭水化物交換システムを使用すべきである。

食事中の炭水化物量の“カウント”は,食前のインスリン用量の算出に使用する。

一般に患者は,食事中の炭水化物15gにつき1単位の超速効型インスリンを必要とする。

このアプローチには詳細な患者教育が必要であり,経験豊富な糖尿病専門栄養士が指導を行ったときに最も成功しやすい。


一部の専門家は,glycemic indexを使用して急速に代謝される炭水化物と緩徐に代謝される炭水化物との境界を明らかにすることを勧めるが,他の専門家はこの指数にはほとんど効果がないと考えている。

U型糖尿病患者は熱量を制限し,規則正しく食事をし,食物繊維の摂取を増やし,精製炭水化物および飽和脂肪の摂取を減らすべきである。

一部の専門家は,早期腎症の進展を予防するために食事蛋白を0.8g/kg/日以下に制限することも推奨している(糸球体疾患: 糖尿病性腎症を参照 )。

栄養指導は医師の診察を補完すべきであり,患者および患者の食事を用意する者のいずれもが指導に参加すべきである。

運動には,どのようなレベルであれ患者が耐容できる程度まで身体活動を漸増させることを含むべきである。

一部の専門家は,減量および血管疾患予防には等尺性運動よりも有酸素運動が優れていると考えるが,筋力トレーニングも血糖コントロールを改善する場合があり,あらゆる種類の運動は有益である。

運動中に低血糖症状を経験する患者には,血糖値を測定し,必要に応じて炭水化物を摂取するかインスリンの用量を減らし,運動直前の血糖値が基準範囲をわずかに上回るように指導する。

激しい運動中に生じる低血糖では,運動中に炭水化物,典型的には5〜15gの蔗糖または他の単糖の摂取が必要となることもある。


心血管障害が診断されている,または疑われる患者では,運動プログラム開始前に運動負荷試験を実施すると有益な場合があり,神経障害や網膜症などの糖尿病合併症を有する患者では活動目標を下げる必要が生じることがある。

モニタリング: 糖尿病コントロールは血糖,HbA1C,またはフルクトサミンの値を用いて監視できる。

指先の血液,試験紙,および血糖測定器を用いた自己全血血糖モニタリングが最も重要である。

これは患者が食事摂取量や インスリン を調節し,医師が薬物の投与時間や用量の調節を勧める際に役立てる。

多数の異なるモニタリング装置が利用可能である。

ほぼ全ての装置が,試験紙および皮膚を刺して検体を採取する手段を必要とする;大半には対照溶液が付属しており,装置が適切に較正されているかを確認するために定期的にこれを使用すべきである。

装置の選択は,結果が出るまでの時間(通常は5〜30秒),表示パネルの大きさ(大スクリーンは視力の低下した患者に有益となりうる),較正の必要性など,装置の特色に関する患者の嗜好に基づいて通常は行う。

指先よりも疼痛の少ない場所(手掌,前腕,上腕,腹部,大腿)での測定が可能な測定器も市販されている。



新型の装置は血糖を経皮的に測定するが,これらの使用には皮膚刺激および不安定な測定による限界が生じている;より優れた技術によって,このような装置によるほぼ持続的な測定が間もなく可能になるであろう。



血糖コントロールの不良な患者,新しい薬物が処方された患者,または既に使用中の薬物の用量が変更になった患者は,自己血糖測定を1日1回(通常は早朝空腹時)〜5回以上行うように求められる場合があり,これは患者の必要性や能力,治療計画の複雑さに依存する。

大半のT型糖尿病患者は,少なくとも1日4回の測定を行うことによって恩恵を受ける。


HbA1C値は,先行する2〜3カ月間の血糖値を反映し,したがって受診と受診との間のコントロールを評価する。

HbA1C値はT型患者では3カ月毎に,血糖値が安定していると考えられるU型患者では少なくとも年1回(コントロールが不明確なときにはより頻回に)評価すべきである。

家庭検査キットは,検査説明書に正確に従える患者に有用となる。

HbA1C値によって示唆されるコントロールは,ときに毎日の血糖測定によって示唆されるコントロールと異なるように見受けられ,これは高値や基準範囲内の値が誤って示されるためである。

偽高値は,腎不全(尿素が定量を妨げる),赤血球代謝の低下(鉄欠乏性貧血,葉酸欠乏性貧血,またはビタミンB12欠乏性貧血でみられるような),高用量アスピリン,血中アルコール濃度高値などで生じうる。

溶血性貧血および異常ヘモグロビン症(例,HbS,HbC)などでみられる赤血球代謝の亢進,または欠乏性貧血の治療中には,基準範囲内の値が誤って生じる。



フルクトサミンは,大半は糖化アルブミンであるがその他の糖化蛋白からもなり,過去1〜2週間の血糖コントロールを反映する。

フルクトサミンのモニタリングは,糖尿病の集中治療中の患者や,変異ヘモグロビンを有する患者,または赤血球代謝の亢進している患者(HbA1Cの誤測定が生じる)に用いられることもあるが,主に研究の場で使用される。


尿糖のモニタリングは高血糖の大まかな指標となり,血糖モニタリングが不可能なときにのみ推奨される。

一方,嘔気,嘔吐,腹痛,発熱,感冒様症状,インフルエンザ様症状,自己血糖測定上で異常に持続する高血糖(>250〜300mg/dL)など,ケトアシドーシスの症状,徴候,または誘引を認めるT型糖尿病患者では尿ケトン体の自己測定が推奨される。



インスリン: インスリンは,インスリンがなくてはケトアシドーシスを起こすT型糖尿病の全患者で必要となり,多くのU型患者の管理にも有用である。

インスリン補充は,2種のインスリンを使用して基礎および食事時の必要量をまかなうことで,理想的にはβ細胞機能を再現すべきである(生理的補充);これには,食事,運動,およびインスリンの投与時間や用量に対する細心の注意が必要となる。

現在では大半のインスリン製剤は組換えヒトインスリンであり,インスリンが動物から抽出されていた頃には一般的であった薬物に対するアレルギー反応は実質的になくなっている。

レギュラーインスリン静注がまれに使用されることを除き,インスリンは皮下投与される;ヒトインスリン分子を修飾して皮下吸収速度を変化させることで作られた多数のアナログが市販されている。

インスリンの種類は,一般的に作用の発現時間および持続時間によって分類される。

しかし,様々な因子(例,注射部位,注射技術,皮下脂肪量,注射部位の血流)に依存して,これらのパラメーターは患者内および患者間で異なる。



続く
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糖尿病の概略を説明せよ(2)

●症状と徴候

糖尿病の最も一般的な症状は高血糖症状である:糖尿によって引き起こされた浸透圧利尿が,起立性低血圧や脱水へと進行しうる頻尿,多尿,多飲をもたらす。

重度の脱水は脱力,疲労,および精神状態の変化を引き起こす。

症状は血糖値の変動につれて出現したり消失したりする。

過食は高血糖の随伴症状であるが,典型的には患者の一番の関心事ではない。


高血糖は体重減少,悪心・嘔吐,および視力障害を引き起こす恐れもあり,細菌または真菌に感染しやすくなる。


T型糖尿病患者は典型的には症候性の高血糖を呈し,ときに糖尿病性ケトアシドーシス(DKA,糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病性ケトアシドーシスを参照 )もみられる。

一部の患者は,糖尿病の急性発症に続いて蜜月相(血糖値が基準範囲近くとなる長いが一過性の時期)を経験し,これはインスリン分泌の部分的な回復によるものである。


U型糖尿病患者は症候性の高血糖を呈することもあるが,しばしば無症状であり,患者の病状はルーチンの検査でのみ検出される。

初期症状が糖尿病合併症(後述参照)の症状である患者もおり,糖尿病がしばらく持続していたことが示唆される。

一部の患者では高浸透圧性昏睡が初期にみられ,これは特にストレス下や,コルチコステロイドなどの薬物によって糖代謝がさらに障害されたときに生じる。





●合併症

長年にわたるコントロール不良の高血糖は,主として小血管(細小血管性)および/または大血管(大血管性)に影響を及ぼす複数の合併症につながる。

血管障害の発症機序には,血清蛋白および組織蛋白の糖付加(糖化最終産物形成を伴う),スーパーオキシド産生,シグナル分子プロテインキナーゼCの活性化(血管透過性を亢進させ内皮機能不全を引き起こす),ヘキソサミン生合成経路およびポリオール経路の促進(組織内でのソルビトール蓄積につながる),高血圧症および異常脂質血症(糖尿病に随伴して一般的にみられる),動脈微小血栓,ならびに高血糖および高インスリン血症の炎症誘発効果や血栓誘発効果(血管の自己調節を障害する)がある。

免疫機能不全はもう1つの主要合併症であり,高血糖が細胞性免疫に直接及ぼす影響に起因する。

頻度が高く破壊的な糖尿病の3症状の基礎には細小血管障害がある:3症状とは網膜症,腎症,および神経障害である。

細小血管障害は皮膚の治癒を著しく障害するので,皮膚の完全性がわずかに破壊されただけでも深い潰瘍が生じて容易に感染を起こしうる。

徹底した血糖コントロールによってこれらの合併症の多くを予防できるが,一度生じてしまった合併症は回復しないこともある。





●診断

糖尿病は典型的な症状および徴候によって示され,血糖測定によって確定される。

8〜12時間絶食後の測定(空腹時血糖[FPG])または高濃度ブドウ糖液摂取2時間後の測定(経口ブドウ糖負荷試験[OGTT])が最も優れている(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表参照)。

OGTTが糖尿病および耐糖能障害を診断する感度はFPGよりも高いが,高価で簡便性に乏しく,再現性も低い。

したがって,妊娠糖尿病の診断(妊娠中の合併症: 妊娠中の糖尿病を参照 )および研究目的以外でルーチンに用いられることはまれである。



臨床では,糖尿病または空腹時血糖調節障害は,血糖または糖化ヘモグロビン(HbA1c)の随時測定を用いてしばしば診断される。

随時血糖値が200mg/dL(11.1mmol/L)を上回れば診断がつくが,この値は採血前の食事に影響されることがあり,検査を繰り返して確認しなければならない;糖尿病症状の存在下では2回の検査は不要となる場合もある。

HbA1cの測定結果は,測定前2〜3カ月の血糖値を反映する。

6.5%を上回る値は血糖の異常高値を示す。

しかし,測定法および基準範囲はいまだに標準化されておらず,測定値は偽高値または偽低値となる可能性もある(糖尿病と炭水化物代謝異常症: モニタリングを参照 )。

これらの理由から,HbA1cはFPGやOGTT試験ほど糖尿病の診断において信頼性が高いとは今のところみなされておらず,主に糖尿病コントロールのモニタリングに使用すべきである。



尿糖測定は以前は一般的に使用されていたが,感度も特異度も高くないので,診断やモニタリングにはもはや使用されていない。



T型糖尿病の高リスク者(例,T型糖尿病患者の同胞および子)では,膵島細胞抗体または抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体の有無を検査する場合があり,これらの抗体の発現は臨床的な疾患の発症に先立つ。

しかし,高リスク者に対する予防策として立証されたものはなく,したがってこのようなスクリーニングは通常は研究の場に限られている。



U型糖尿病の危険因子は,年齢45歳以上,肥満,座っていることの多い生活様式,糖尿病の家族歴,血糖調節障害の既往,妊娠糖尿病または4.1kgを上回る産児,高血圧症または異常脂質血症の既往,多嚢胞性卵巣症候群,黒人,ヒスパニック,アメリカインディアンである。

過体重患者(体格指数が25kg/m2以上)におけるインスリン抵抗性のリスクは,血清トリグリセリドが130mg/dL(1.47mmol/L)以上,トリグリセリド/高密度リポ蛋白(HDL)比が3.0(1.8)以上,およびインスリン値が108pmol/L以上になると上昇する。

これらの患者では,血糖値が基準範囲内にある間は少なくとも3年毎に1回,空腹時血糖値異常が明らかにされたならば少なくとも年1回は空腹時血糖値を測定して,糖尿病のスクリーニングを行うべきである(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表を参照)。



全てのT型糖尿病患者では診断の5年後から糖尿病合併症のスクリーニングを開始すべきであり,U型糖尿病患者では診断時からスクリーニングを開始する。

圧覚,振動覚,痛覚,または温度覚の障害について少なくとも年に1回は患者の足を検査すべきであり,これらは末梢神経障害の特徴である。

圧覚はモノフィラメントの触覚計を用いることで最もうまく検査できる(糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病患者の足のスクリーニング。図 1: イラストを参照)。

足全体,特に中足骨頭下の皮膚に,ひび割れや,潰瘍形成,壊疽,爪真菌感染,脈拍減弱,脱毛などの虚血徴候がないかを調べる。眼底検査は眼科医が実施すべきである;スクリーニングの間隔については議論があるが,網膜症が確定している患者で年1回から,少なくとも1回の検査で網膜症が認められなかった患者で3年毎までにわたる。

蛋白尿または微量アルブミン尿を検出するために年1回の随時尿検査または24時間尿検査が適応となり,血清クレアチニンを測定して腎機能を評価すべきである。

心疾患のリスクをふまえて,ベースライン時の心電図が重要とみなされることが多い。

脂質プロファイルを少なくとも年1回,異常があるときにはそれよりも頻繁に検査すべきである。



続く

posted by ホーライ at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「abdominal epilepsy」は次のどれ?

「abdominal epilepsy」は次のどれ?


(1)腹膜炎顔貌  

(2)腹部癲癇

(3)腹部膨満






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   答え
>>>>>>>>>>>

「abdominal epilepsy」=(2)腹部癲癇

(1)腹膜炎顔貌 =abdominal face

(3)腹部膨満 =abdominal fullness



posted by ホーライ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | カルテ用語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

糖尿病の概略を説明せよ(1)

糖尿病はインスリン分泌障害および種々の程度の末梢インスリン抵抗性で,高血糖につながる。

初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿である。

晩期合併症は,血管疾患,末梢神経障害,および易感染性である。

診断は血糖測定によって行う。

治療は食事,運動,および血糖値を低下させる薬物で行い,薬物にはインスリンおよび経口血糖降下薬が含まれる。

予後は血糖コントロールの程度によって様々である。



糖尿病(DM)にはT型およびU型の2種があり,特徴の組み合わせによって鑑別される。

発症年齢(若年または成人)または治療の種類(インスリン依存性または非インスリン依存性)を表す用語はもはや正確ではなく,なぜならば年齢群および治療は病型間で重複するからである。




耐糖能異常(耐糖能障害または空腹時血糖障害,糖尿病と炭水化物代謝異常症: 糖尿病および耐糖能異常の診断基準表 2: 表を参照)は,正常糖代謝と,加齢に伴って頻度の高まる糖尿病との中間にある,恐らくは過渡期の状態である。

これは糖尿病の有意な危険因子であり,糖尿病発症の何年も前から存在することがある。

心血管疾患のリスク上昇と関連するが,典型的な糖尿病性微小血管合併症は一般に生じない。




T型:

T型糖尿病(従来は若年発症型またはインスリン依存型と呼ばれた)では,自己免疫性の膵β細胞破壊が原因でインスリン産生が欠如しており,この破壊は恐らく遺伝的に感受性の高い集団の環境暴露によって誘発される。

破壊は数カ月または数年かけて無症状に進行し,インスリン濃度がもはや血糖値の調節に十分ではなくなる時点までβ細胞量は減少する。

T型糖尿病は一般に小児期または思春期に発症し,最近までは30歳以前に診断される最も一般的な病型であったが,成人でも発症する(潜在性自己免疫性成人糖尿病)。

T型は糖尿病症例全体の10%未満を占める。


自己免疫性β細胞破壊の病因には,感受性遺伝子,自己抗原,および環境因子の相互作用が関与するが,これは完全には理解されていない。

感受性遺伝子には,主要組織適合複合体(MHC)内の遺伝子―特にHLA-DR3,DQB1*0201,およびHLA-DR4,DQB1*0302が含まれ,これらは90%を上回るT型糖尿病患者に認められる―およびMHC以外の遺伝子が含まれており,MHC以外の遺伝子はインスリンの産生およびプロセッシングを調節し,MHC遺伝子と呼応して糖尿病のリスクを生むと考えられる。

感受性遺伝子は一部の集団では他の集団よりも一般的にみられ,一部の民族(スカンジナビア人,サルデーニャ人)におけるT型糖尿病の罹患率の高さを説明する。



自己抗原にはグルタミン酸脱炭酸酵素,インスリン,インスリノーマ関連蛋白,およびβ細胞中の他の蛋白が含まれる。

これらの蛋白はβ細胞の正常な代謝回転またはβ細胞傷害(例,感染による)の際に暴露または放出され,細胞性免疫反応を活性化してβ細胞の破壊(膵島炎)につながると考えられている。

グルカゴン分泌α細胞は障害されないままである。

自己抗原に対する抗体は血清中に検出され,β細胞破壊に対する反応(原因ではなく)であると考えられる。



数種のウイルス(コクサッキーウイルス,風疹ウイルス,サイトメガロウイルス,エプスタイン-バーウイルス,およびレトロウイルスを含む)はT型糖尿病の発症と関連づけられている。

ウイルスはβ細胞に直接感染してそれを破壊するか,または自己抗原への暴露,自己反応性リンパ球の活性化,免疫反応を刺激する自己抗原の分子配列の模倣(分子擬態),もしくは他の機序によって間接的にβ細胞破壊を引き起こす可能性がある。



食事も要因である。

乳児の乳製品(特に牛乳および乳蛋白βカゼイン)への暴露,飲水中の高濃度硝酸塩,およびビタミンD摂取不足はT型糖尿病のリスク上昇と関連づけられている。

早期(4カ月未満)または後期(7カ月以降)にグルテンおよび穀物に暴露すると膵島細胞自己抗体の産生が増加する。

これらが関連する機序は不明である。




U型:

U型糖尿病(従来は成人発症型または非インスリン依存型と呼ばれた)では,インスリン分泌が不十分である。

特に病初期には,インスリン濃度はしばしばきわめて高くなるが,末梢インスリン抵抗性および肝での糖新生増加が原因で,このインスリン濃度では血糖値の正常化には不十分となる。

インスリン産生はその後減少し,高血糖をさらに悪化させる。

U型糖尿病は一般に成人で生じ,加齢とともにより頻度が高くなる。

若年成人と比較して,高齢者では食後,特に大量の炭水化物を摂取後に血糖値がより高値に達し基準範囲に戻るには時間がかかるが,この一部は内臓脂肪/腹部脂肪の蓄積増加および筋肉量減少によるものである。


小児肥満が蔓延するにつれて小児におけるU型糖尿病の頻度もますます高まってきている:小児の新規発症糖尿病の40〜50%が最近ではU型である。

糖尿病を有する成人の90%以上がU型である。

U型糖尿病の有病率が民族内(特にアメリカインディアン,ヒスパニック,アジア人)および罹患者の親族において高いことから立証されるように,明らかな遺伝的決定因子が存在する。

最も一般的なU型糖尿病の原因遺伝子は同定されていない。


病因は複雑で,完全には理解されていない。

インスリン分泌がインスリン抵抗性を代償できなくなると高血糖が生じる。

インスリン抵抗性はU型糖尿病の患者やそのリスクを有する者に特徴的であるが,β細胞機能不全およびインスリン分泌障害の証拠も存在し,これにはブドウ糖静注に反応して生じる第1相 インスリン 分泌の障害,正常なパルス状インスリン分泌の喪失,インスリンプロセッシング障害を示唆するプロインスリン分泌増加,膵島アミロイドポリペプチド(正常ではインスリンとともに分泌される蛋白)の蓄積が含まれる。

高血糖はβ細胞の脱感作および/またはβ細胞の機能不全を引き起こすので,高血糖自体がインスリン分泌を障害することがある(糖毒性)。

インスリン抵抗性の存在下では,これらの変化は典型的には発生までに数年かかる。



肥満および体重増加はU型糖尿病におけるインスリン抵抗性の重要な決定因子である。

肥満や体重増加には遺伝的決定因子も存在するが,食事,運動,生活様式も反映される。

脂肪組織は,インスリン刺激性のブドウ糖輸送および筋肉でのグリコーゲン合成酵素活性を障害する遊離脂肪酸の血漿濃度を増加させる。

脂肪組織は内分泌器官として機能するとも考えられ,糖代謝に有利(アディポネクチン)または不利(腫瘍壊死因子α,IL-6,レプチン,レジスチン)な影響を及ぼす複数の因子(アディポサイトカイン)を放出する。

子宮内での成長抑制および低出生体重もその後の生涯におけるインスリン抵抗性と関連づけられており,出生前の環境が糖代謝に及ぼす影響を反映している可能性がある。


以上

posted by ホーライ at 06:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

閉経(更年期障害)の概略と診断、症状と徴候、治療方法を説明せよ

閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。

発現する症状には,のぼせ,萎縮性腟炎,骨粗鬆症などがある。

診断は臨床症状:1年間の無月経により行う。

症状に対し治療する場合がある(例,ホルモン療法やSSRIにより)。



生理的閉経は,1年間無月経である場合に確定診断される。

米国では,生理的閉経の平均年齢は51歳である。

閉経期とは,最終月経前の数年間(期間は大きく異なる)と後の1年をいう。

閉経期は通常,初めのうちは月経頻度が増加しその後の減少(過少月経)するという特徴があるが,あらゆるパターンが起こりうる;閉経期でも妊娠の可能性はある。



更年期とは,女性が生殖能力を喪失していくより長期間の時期を指す;閉経期の前に始まる。

卵巣が老化するにつれ,下垂体ゴナドトロピンである卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)への反応が低下するが,最初に卵胞期が短くなって(周期が短く不規則になる)排卵が少なくなるため,プロゲステロン産生量が減少する(女性の生殖内分泌学: 正常な月経周期に生じる,下垂体ゴナドトロピン,エストラジオール(E2),プロゲステロン(P)および子宮内膜の理想的な周期的変化。を参照 図 5: イラスト)。

最終的には,卵胞が反応しなくなり,エストラジオールをほとんど産生しなくなる。

エストロゲン (この時点では主にエストロン)はまだ循環血中に存在する;エストロゲンは末梢組織(例,脂肪,皮膚)のアンドロゲン(例,アンドロステネジオン, テストステロン )から産生される。しかしながら,総 エストロゲン レベルは非常に低くなる。アンドロステネジオンレベルは閉経前後に半分に低下するが, テストステロン レベルの低下(青年期に徐々に始まる)は閉経期に急速に進むことはなく,それは,卵巣基質および副腎が閉経後も相当量の分泌を持続するためである。

卵巣のインヒビンおよび エストロゲン (これらは下垂体からのLHおよびFSH放出を抑制する)のレベルが低下すると,LHとFSHの血中レベルが大きく増加する。

早発閉経(早発性卵巣機能不全―月経異常: 早発性卵巣機能不全を参照 )は,非医原性の卵巣機能不全による40歳以前の月経停止である。

寄与因子には,喫煙,高地での生活,低栄養などがある。医原性(人工)閉経は,医療行為(例,卵巣摘出,化学療法,骨盤部への放射線照射,その他,卵巣への血流低下を引き起こす処置)により生じる。



●症状と徴候

通常,閉経期の月経の変化は40代で始まる。経血量と周期の長さが変化しうる。

月経は不規則になり,その後間隔があくようになる。

エストロゲン レベルの日内変動は通常閉経の1年以上前から大きくなり,これにより閉経期の症状が生じると考えられる。

症状は,6カ月〜10年余り続いたり,全くないものから重度なものまで様々である。



血管運動の不安定さから生じるのぼせ(ほてり)および発汗は,女性の75〜85%に生じ,通常は月経停止前から始まる。

のぼせは多くの女性で1年以上,50%で5年以上続く。

暖かいまたは暑いと感じ,発汗することがある(ときに大量);深部体温が上昇する。皮膚(特に頭頸部)は紅潮し,温度が上昇することがある。

一時的なのぼせが30秒〜5分ほど続き,その後悪寒の生じることがある。

のぼせは,寝汗とともに夜間に起きることもある。のぼせの機序は分かっていないが,喫煙,温かい飲料,亜硝酸塩または亜硫酸塩を含む食品,刺激のある食品,アルコール,およびおそらくカフェインが誘因となりうる。



神経精神的変化(例,集中力低下,記憶障害,抑うつ,不安)が閉経とともに生じうるが, エストロゲン の減少とは直接関係しない。

反復性の寝汗により睡眠が妨害されることがあり,これが不眠,疲労,過敏性,集中力低下の原因となりうる。


エストロゲン の減少により腟および外陰部の乾燥と菲薄化が生じ,腟粘膜の炎症(萎縮性腟炎)を起こす場合がある。

萎縮により刺激,性交痛,排尿障害が生じ,腟のpHが上昇しうる。

小陰唇,陰核,子宮,卵巣が縮小する。間欠性の浮遊感,感覚異常,動悸が起きることがある。

悪心,便秘,下痢,関節痛,筋肉痛,手足の冷えが起きる場合もある。

腹部脂肪蓄積の増加による体重増加と筋肉量の減少もよくみられるが,加齢も原因の1つであると考えられる。

閉経は正常なことであるが,健康上の問題が生じたり,ときにはQOLが低下する場合もある。

エストロゲン が減少するため,骨粗鬆症のリスクが増加し,破骨細胞による骨吸収が増加する(骨粗鬆症を参照 )。

最も急激な喪失は, エストロゲン が減少し始める最初の2年間に起きる。




●診断

診断は臨床症状により行う。

月経の回数が次第に減少し,6カ月間無月経の状態が続くようになれば,閉経の可能性が高い。

無月経の女性には検査を行い,50歳未満であれば妊娠を,さらに年齢を問わず卵巣腫瘍を除外する(無月経の評価に関しては月経異常: 診断を参照 )。

異常な骨盤内腫瘤がないか評価する(婦人科患者へのアプローチ: 評価を参照 )。

50代の女性で,不規則な月経が続いた後に月経が停止し( エストロゲン 欠乏症状の有無は問わず),他に異常所見がない場合は,診断のための検査は必要ない。

FSHレベルを測定してもよいが,必要である場合はまれである。

FSHレベルの上昇が続く場合は閉経が予測されるが,閉経は数カ月〜1年先になることもある。

骨粗鬆症の危険因子をもつ閉経後女性,および65歳以上の全女性には,骨粗鬆症のスクリーニングを行うべきである(骨粗鬆症: スクリーニングと診断を参照 )。




●治療

閉経の生理的原因,および発現しうる症状と徴候について,患者と話し合うことが重要である。治療は対症療法となる。

のぼせに関しては,誘因を避け,衣服を重ね着して必要時に脱衣できるようするとよい。

ブラックコホシュはエストロゲン様の作用をもつとされ,いくらか効果があるようであるが,長期的安全性は不明である。

大豆蛋白が用いられているが,その効果は確認されていない。

その他の医療用ハーブ,ビタミンE,鍼治療は有用ではないようである。

定期的な運動,ストレスの回避,リラクゼーション療法は睡眠を改善し,いらだちを軽減しうる;リラクゼーション療法により血管運動症状も軽減しうる。

のぼせに対する非ホルモン療法として,SSRI(例,フルオキセチン,徐放性パロキセチン,セルトラリン),セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例,ベンラファキシン),およびクロニジン(0.1mg,経皮,1日1回)がある。

SSRIの必要用量は様々である;開始用量は抑うつ治療の場合より低用量とし,必要に応じて増量していくとよい。



OTCの腟潤滑剤および保湿剤は,腟乾燥を緩和するのに役立つ。

骨粗鬆症を予防,治療する方法を検討する(骨粗鬆症: 予防と治療を参照 )。



●ホルモン療法:

ホルモン療法を,中等度〜重度の閉経期の症状に対して行うことがある。

子宮摘出を受けた女性には, エストロゲン を単独で経口的に,または経皮パッチ,ローションやゲルとして投与すべきである。

子宮のある女性には,投与する エストロゲン の種類にかかわらずプロゲスチンを一緒に投与するが(併用療法),これは,拮抗を受けない エストロゲン が子宮内膜癌のリスクを上昇させるからである。

大部分の女性で,経口ホルモン療法のリスクは有益性を上回る。

有益性には,のぼせ,寝汗(ひいては睡眠障害),および腟乾燥の軽減がある。

併用療法により,年間疾患発生件数(治療を受けた女性10,000名当たり)が,骨粗鬆症(15件から10件へ)および直腸結腸癌(16件から10件へ)で減少する。

無症状の女性については,治療がQOLへ及ぼす総合効果はそれほど大きくない。



併用療法のリスクは,年間疾患発生件数(治療を受けた女性10,000名当たり)が乳癌(30件から38件),虚血性発作(21件から29件へ),肺塞栓(16件から34件へ),認知症(22件から45件へ),および冠動脈疾患(30件から37件へ)で増加することに反映されている。

冠動脈疾患のリスクは,治療を開始した最初の1年間にほぼ2倍になり,治療前の低比重リポ蛋白のレベルが高かった女性では特にリスクが高くなる;アスピリンおよびスタチンはこのリスクの上昇を抑制しない。

さらに,乳癌は発症すると,腫瘍の大きさはより大きく,転移する可能性も高く,マンモグラム上偽陽性となることも多くなる。



エストロゲン 単独療法は,冠動脈疾患の発生件数(治療を受けた女性10,000名当たり)には影響しないが,虚血性発作を増加させ(32件から44件へ),股関節骨折を減少させる(17件から11件へ);乳癌,認知症,大腸癌,肺塞栓への影響はよく分かっていない。

腟乾燥や萎縮に対しては,外用 エストロゲン (例,クリーム,腟錠,腟リング)が経口投与と同じように効果的である。

エストロゲン クリームを使用する場合,子宮のある女性にはプロゲスチンも投与する。

ホルモン療法が骨粗鬆症の予防と治療に推奨されないのは,他に効果的な治療法(例,ビスホスホネート系)があるためである。

プロゲスチン(例,酢酸メゲストロール10〜20mg,経口,1日1回,酢酸メドロキシプロゲステロン10mg,経口,1日1回またはそのデポ剤150mg,筋注,1カ月1回)は,のぼせを緩和しても腟乾燥には無効と思われる。

プロゲスチンには副作用(例,腹部膨満,乳房の圧痛,乳房密度の上昇,頭痛,低比重リポ蛋白の増加,高比重リポ蛋白の減少)がある;微粉化プロゲステロンの方が副作用は少ないであろう。

プロゲスチン長期投与に関する安全性データはない。


以上
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2014年04月15日

「腹部狭心症」は次のどれ?

「腹部狭心症」は次のどれ?


(1)abdominal angina  (2)abdominal aortic aneurysm  (3)abdominal bleeding




>>>>>>>>>>>
   答え
>>>>>>>>>>>

「腹部狭心症」=(1)abdominal angina

(2)abdominal aortic aneurysm=腹部大動脈瘤

(3)abdominal bleeding=腹部出血


posted by ホーライ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | カルテ用語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月14日

(a) element (b) hydrogen (c) iodine (d) oxygen (e) pigment

3.色素 は次のどれ?

(a) element (b) hydrogen (c) iodine (d) oxygen (e) pigment





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   答え
>>>>>>>>>>>

色素=(e) pigment

(a) element=元素、要素

(b) hydrogen=水素

(c) iodine=ヨウ素

(d) oxygen=酸素

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『片頭痛』の概略、病態生理、症状、診断、治療、予後について述べよ



『片頭痛』の概略、病態生理、症状、診断、治療、予後について述べよ


●片頭痛

片頭痛は慢性で発作性の一次性頭痛である。

症状は典型例では4〜72時間持続し,重症例もある。

痛みは常にではないものの,しばしば一側性,拍動性で,労作により増悪し,自律神経症状(例,悪心,光・音・匂いに対する過敏)を伴う。

少数の患者で,通常は頭痛の直前に,閃輝暗点など一過性の局所神経障害が起こる。

診断は臨床的に行う。

治療はセロトニン1B/1D受容体作動薬,制吐薬,鎮痛薬を用いる。

予防的措置としては,生活習慣改善(例,睡眠習慣や食生活)および薬物療法(例,β遮断薬,アミトリプチリン,バルプロ酸,トピラメート)がある。


●疫学と病態生理

片頭痛は反復性の中〜重度の頭痛の原因として最も一般的で,米国における生涯有病率は女性で18%,男性で6%である。

思春期または若年成人期における発症が最も一般的で,その後何年にもわたり一進一退を繰り返し,通常50歳以降で消失する。

研究によると片頭痛には家族集積性が認められる。


片頭痛は,中枢神経処理の異常(脳幹核活性,皮質性過剰興奮,拡延性皮質性抑制)および三叉神経血管系の関与(神経ペプチド放出の誘発により,頭蓋内血管および硬膜の疼痛性炎症を引き起こす)を伴う神経血管性の疼痛症候群と考えられている。

特異的発作の誘発機序はしばしば不明である。

しかしながら,片頭痛の潜在的な誘因が多数特定されている;赤ワイン摂取,食事抜き,過剰な求心性刺激(例,点滅光,強い匂い),天候の変化,睡眠遮断,ストレス,ホルモン因子などである。

頭部外傷,頸部痛,顎関節機能不全が,片頭痛を誘発または増悪させることがある。

エストロゲンレベルの変動は片頭痛の強力な誘因である。

多くの女性が初潮時に片頭痛を発症し,月経時に重度の発作を経験し(月経時片頭痛),閉経後増悪する。

ほとんどの女性は,妊娠期に片頭痛が寛解する(しかしときに,妊娠の第1トライメスターまたは第2トライメスターで増悪がみられる)。

経口避妊薬およびその他のホルモン療法は片頭痛を誘発または増悪させることがあり,前兆のある片頭痛を抱える女性の脳卒中との関連が示されている。



●症状と徴候

一部の患者で,片頭痛発作に先行する,または発作に伴う神経症状の前兆(前駆症状)がみられ,数分から1時間持続する(前兆のある片頭痛)。

最も一般的な前兆は視覚症状(閃輝暗点;例,両眼性閃光,閃輝の弧,ジグザグの光,暗点)である。

感覚異常およびしびれ(典型的には片手から始まり同側の腕と顔面に進展),言語障害,一過性の脳幹・視床機能障害は,視覚症状ほど一般的ではない。

一部の患者には,頭痛をほとんど,または全く伴わない片頭痛前兆の発作がみられる。



痛みは中等度から重度までと様々で,発作は数時間から数日持続し,典型的には睡眠により寛解する。

痛みは両側性または片側性で,最好発部位は前頭側頭部であり,うずくような,締めつけられるような,ときにはずきずきするなどと形容される。

片頭痛の症状は頭痛に限らない。悪心(ときに嘔吐を伴う),羞明,音過敏,匂い過敏などの自律神経症状が顕著にみられる。

患者は発作中,集中力の欠如を訴える。

片頭痛は通常,日常的な身体活動により増悪し,羞明および音過敏を伴うため,患者の大多数は発作中,暗く静かな部屋に横になりたがる。

重度の発作は家庭生活や仕事を妨げるほど耐え難いものでありうる。



発作の頻度および重症度は著しく異なる。

多くの患者には,悪心や羞明を伴わない軽度の発作を含め数種類の頭痛がみられ,緊張性頭痛に似た発作がみられることもある。

片頭痛の中でも脳底動脈片頭痛はまれで,めまい,運動失調,視野欠損,感覚障害,局所の筋力低下,意識水準の変化といった症状の組み合わせを伴う。

腹性片頭痛(周期性症候群)は片頭痛の家族歴のある小児に発症し,2時間持続する腹痛発作,潮紅または蒼白,悪心,嘔吐が特徴である。

小児期の周期性症候群は典型的には,後年になりしばしば片頭痛に移行する。




●診断

診断は,特徴的な症状および身体診察(神経学的診察を含む)の所見が正常であることに基づく。

懸念すべき所見(頭痛: 検査を参照 )を伴わない典型例には中枢神経系画像診断は必要ない。

一般的な診断ミスは,片頭痛がしばしば両側性疼痛を伴うことや,必ずしもずきずきする痛みと形容されるとは限らないことに対する認識不足に起因する。

片頭痛の自律神経症状および視覚症状はしばしば,洞性頭痛や眼精疲労との誤診を招く。

片頭痛患者の頭痛が全て片頭痛発作であるという思い込みは危険な誤りである。

雷鳴頭痛,またはこれまでの頭痛パターンの変化は,新たな重篤疾患を示唆することがある。



高齢の患者では,前兆がある片頭痛は,特に前兆が頭痛を伴わずに起こる場合に,一過性脳虚血発作と誤診されることがある。

若年の患者では,前兆がある片頭痛に類似しうる特異な疾患がいくつかみられる:頸動脈または椎骨動脈解離,抗リン脂質抗体症候群,脳血管炎,もやもや病,CADASIL(カダシル:皮質下梗塞および白質脳症を伴った常染色体優性脳動脈症),MELAS症候群(ミトコンドリア脳筋症,乳酸アシドーシス,脳卒中様エピソード)などである。



●予後と治療

一部の患者にとって,片頭痛は,頻度が低く,不都合ではあるものの許容できる疾患である。

その他の患者にとっては,無能力,生産性の喪失,生活の質の著しい低下を一定期間,頻繁にもたらす深刻な疾患である。

そのため,治療は発作の頻度,持続時間,重症度に基づき層別化される。

疾患について十分に説明することで,片頭痛は完治はしないがコントロール可能であることを患者が理解し,治療に積極的に参加するように促すことができる。



発作回数,タイミング,可能性のある誘因および治療に対する反応を頭痛日誌に記録するよう患者に促す。

特定された誘因は可能な限り除去する。行動療法(バイオフィードバック,ストレス管理,精神療法)は,ストレスが主要な誘因である場合や鎮痛薬が過剰使用されている場合に用いられる。



急性片頭痛: 軽度〜中等度の発作はNSAIDまたはアセトアミノフェンにより対応する。

オピオイド,カフェイン,ブタルビタールを含む鎮痛薬は頻度の低い軽度の発作に有効であるが,過剰使用される傾向があり,反跳頭痛や連日性頭痛症候群を招くことがある。


軽度の発作がしばしば動けないほどの片頭痛に進展する患者や,発作開始から重度である患者には,トリプタン系薬が使用される。

トリプタン系薬は選択的セロトニン1B/1D受容体作動薬である。

トリプタン系薬は鎮痛薬そのものではないが,片頭痛の痛みを誘発する血管作動性神経ペプチドの放出を特異的に遮断する。

トリプタン系薬は発作開始時に服用すると最も有効である。

使用可能な投与形態としては経口,経鼻腔,皮下注(頭痛: 片頭痛および群発頭痛に対する薬物表 2: 表参照)があり,皮下注の効果が比較的高いが副作用も強い。

悪心が顕著である場合,発作開始時にトリプタンと制吐薬を併用すると効果的である。



ジヒドロエルゴタミン静注とドパミン拮抗性制吐薬の併用(例,メトクロプラミド10mg,静注,プロクロルペラジン5〜10mg,静注)は非常に重度の持続性発作を中断するのに有効である。

軽度な発作であれば制吐薬のみで軽減することがある。



トリプタン系薬およびジヒドロエルゴタミンは冠動脈狭窄の原因となりうるため,冠動脈疾患またはコントロール不良の高血圧の患者には禁忌であり,また高齢者や血管危険因子を有する患者には慎重に使用しなくてはならない。

ジヒドロエルゴタミンまたはトリプタン系薬はクモ膜下出血やその他の器質的異常による頭痛を軽減することがあるため,これらの薬物への反応が良好であっても片頭痛が診断的であると判断すべきではない。

オピオイドは,重度の頭痛に対し他に有効策がない場合の最後の手段(レスキュー薬)とすべきである。



●予防

急性治療にもかかわらず頻繁な片頭痛により活動が阻害される場合,日常的な予防療法が必要となる。

頻繁に鎮痛薬を使用する患者,特に反跳頭痛のある患者は,予防薬(頭痛: 片頭痛および群発頭痛に対する薬物表 2: 表参照)と並行して,鎮痛薬の過剰使用を止めるためのプログラムを実施すべきである。

薬物の選択は合併症により決定しうる:例えば,抑うつや不眠症を有する患者には就寝時に低用量のアミトリプチリン;高血圧や冠動脈疾患を有する患者にはβ遮断薬;肥満の患者には減量に有効なトピラメートなどである。

他の予防的治療に反応しない患者に少量のボツリヌス毒素を周期的に頭皮注射すると片頭痛発作の回数と重症度が軽減する場合がある。



posted by ホーライ at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ノイロトロピン」は何の薬? 特徴は? 何に注意しないといけない?

●ノイロトロピン

中枢性の鎮痛機構である痛みを抑える神経の働きを高め、鎮痛効果を現します。

また、炎症を起こすブラジキニンの遊離を抑え、血行を改善し自律神経系の働きを調整する作用などにより痛みを和らげます。

通常、帯状疱疹後神経痛、腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、変形性関節症の治療に用いられます


●特徴

特異な作用をもつ鎮痛薬です。痛みの神経の感受性を低下させることで、鎮痛効果を発揮します。

このため、一般的な鎮痛薬が効きにくい神経の損傷による神経障害性疼痛によい効果が期待できます。

炎症をともなう急性の痛みよりも、慢性に長引く足腰や肩の痛み、しびれ、冷感、あるいは帯状疱疹後のしつこいピリピリする痛みなどに適します。

下行性疼痛抑制系賦活型疼痛治療薬とされ、一般的な鎮痛薬や抗炎症薬(NSAIDs)とは作用のしかたが違います(非オピオイド系、非シクロオキシゲナーゼ阻害薬)。

神経の変性や損傷による神経障害性疼痛、いわゆる神経痛の治療に適します。

外科、整形外科、麻酔科領域を中心に、腰痛症や頸肩腕症候群、肩関節周囲炎(五十肩)などの治療に用いられることが多いです。

さらに、1999年 帯状疱疹後神経痛に対する効能が追加承認されました。


●副作用

主な副作用として、発疹、蕁麻疹、かゆみ、胃部不快感、吐き気、食欲不振などが報告されています。

このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。

このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。

・呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下 [ショック、アナフィラキシー様症状]

・全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる [肝機能障害、黄疸]

以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。



前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。

妊娠または授乳中他に薬などを使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意してください)。


posted by ホーライ at 02:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ロキソニン」は何の薬? 特徴は? 何に注意しないといけない?

●ロキソプロフェン ナトリウム(ロキソニン)

解熱鎮痛消炎剤/プロピオン酸系/鎮痛・抗炎症・解熱剤


【働き】

炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状をおさえます。

熱を下げる作用もあります。

ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。


【薬理】

炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。

プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによります。


【特徴】

●この薬の仲間は「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれ、いろいろな痛みに広く用いられています。

なかでも、このロキソプロフェンは安全性が高く効き目もよいので、一番よく使われています。

熱やノドの痛みをともなうカゼにも使います。


●化学構造的には、プロピオン酸系に分類されます。

解熱、鎮痛、消炎作用を均等にもち、比較的副作用の少ない系統です。


●体の中に入ってから活性化し効力を発揮するプロドラッグです。

胃腸の副作用が軽減されています。


【副作用】

●もっとも多い副作用は胃腸症状です。

重症化することはまれですが、胃潰瘍など消化性潰瘍にも念のため注意が必要です。

とくに高齢の人、あるいは服用が長期になるときは気をつけてください。


●人によっては発疹ができたり、喘息発作を起こすおそれがあります。

アレルギー体質の人や、もともと喘息のある人は注意してください。

そのほか、腎臓や肝臓の働きが悪くなってくることがあります。

リウマチなどで長期に服用する場合は、定期的に肝機能や腎臓の検査、また胃の検診を受けるとよいでしょう。

以上
posted by ホーライ at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月13日

胃潰瘍の初期治療における薬物治療の基本としては胃内pHは?

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■治験担当モニターとCRCに必要な基礎医学知識、薬学の試験問題、カルテ用語 (265)
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問題1.次の文章のかっこに入るのは何番?

胃潰瘍の初期治療における薬物治療の基本としては胃内pHを持続的に(  A  )以上に保つことが潰瘍の治癒ならびに症状の改善のために必要となる。


(1)=3.0

(2)=7.0





=================
   正解
=================

(1)=3.0






問題2.次の文章のかっこに入るのは何番?

胃内pHが3.0以上の場合にはペプシン活性が(  A  )するため自己消化が起こらなくなる。


(1)=活性化

(2)=失活







=================
   正解
=================

(2)=失活







問題3.次の文章のかっこに入るのは何番?

胃潰瘍の治療で、胃内のpHを3.0以上に保たせるためにシメチジン(販売名:タガメットなど)やラニチジン(販売名:ザンタックなど)、ファモチジン(販売名:ガスターなど)の(  A  )が使用される。

また、上記のほかにオメプラゾール(販売名:オメプラールなど)やランソプラゾール(販売名:タケプロン)、ラベプラゾール(販売名:パリエット)の(  B  )も使用される。


(1)=プロトンポンプ阻害薬

(2)=H2ブロッカー







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   正解
=================

A=(2)=H2ブロッカー

B=(1)=プロトンポンプ阻害薬







問題4.次の文章のかっこに入るのは何番?

胃潰瘍や胃がんなどへの関与が指摘されているH.pyloriの除菌治療としては(  A  )と(  B  )の併用治療が知られている。


(1)=プロトンポンプ阻害薬

(2)=H2ブロッカー

(3)=抗ウィルス薬

(4)=抗生物質







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   正解
=================

A=(1)=プロトンポンプ阻害薬

B=(4)=抗生物質



posted by ホーライ at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学知識・薬学知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(a) aorta (b) artery (c) capillary (d) nerve (e) vein は何?

2.神経 は次のどれ?

(a) aorta (b) artery (c) capillary (d) nerve (e) vein




>>>>>>>>>>>
   答え
>>>>>>>>>>>

神経= (d) nerve

(a) aorta=大動脈

(b) artery=動脈

(c) capillary=毛細血管

(e) vein =静脈

posted by ホーライ at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | カルテ用語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(a) compound (b) hydrogen (c) iodine (d) nitrogen (e) oxygen は何?

1.酸素は次のどれ?

(a) compound (b) hydrogen (c) iodine (d) nitrogen (e) oxygen



>>>>>>>>>>>
   答え
>>>>>>>>>>>

酸素=(e) oxygen


(a) compound=化合物

(b) hydrogen=水素

(c) iodine=ヨウ素

(d) nitrogen=窒素


posted by ホーライ at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 上級モニターのために | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月06日

「ulcer」とは?

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■治験担当モニターとCRCに必要な基礎医学知識、薬学の試験問題、カルテ用語 (262)
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問題1.次の文章のかっこに入るのは?

慢性胃炎(chronic gastritis)は急性胃炎(acute gastritis)と異なり、病態に応じた薬物の選択が必要となる。

腹痛や重圧感は「酸症状」と呼ばれ、(  A  )が効果的である。


1=消化管運動改善薬

2=胃酸分泌抑制薬








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   正解
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2=胃酸分泌抑制薬







問題2.次の文章のかっこに入るのは何番?

胃酸分泌抑制薬としては(  A  )等がある。


1=ドンペリドン(ナウゼリン)

2=クエン酸モサプリド(ガスモチン)

3=シメチジン(タガメット)





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   正解
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正解は3=シメチジン(タガメット)・・・H2ブロッカー


*ドンペリドン(ナウゼリン)はドパミン受容体拮抗薬で消化管運動改善薬。

*クエン酸モサプリド(ガスモチン)はセロトニン受容体作動薬で消化管運動改善薬。







問題3.次の文章のかっこに入るのは何番?

潰瘍とは粘膜下層以下にまで及ぶ組織の( A )をいう。

1=欠損
2=炎症







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   正解
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1=欠損





問題4.「潰瘍」は次のどれ?


1=inflammation

2=ulcer

3=edema





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   正解
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正解は2=ulcer


*inflammationは「炎症」

*edemaは「浮腫」


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